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音が健康だけでなく子供…そして医療にもこんな影響を与えるとは…という研究のお話。

皆さん音には敏感ですか?

私は非常に敏感です…
(同じ研究室で他の人がキーボードを打つ音ですら煩わしいと思っています程敏感です…)

交通機関の発達や人口が都市に集まることで
騒音はより注目されています。

では、実際に騒音がどのような健康障害を引き起こすのか?

皆さんご存でしょうか。

実は騒音により多くの健康被害が見られことが分かっています。

さらに、健康だけでなく子供たちのあれも…

騒音が私たちの健康とどのように関係しているのか、
どのような原因で起こるのか、そして予防のためには…
医学4大誌の1つLancetに掲載された論文から学んでいきましょう。


1.聴力の低下

 これは銃弾の発砲音などのような音や75~85dB以上の音を長時間効くことにより耳にある蝸牛の聴覚感覚細胞が減ることにより引き起こされると分かってきています。
 残念ながらこの細胞は再生することができませんから治ることはないと考えられています(iPS細胞などの再生医療で今後可能かもしれませんがならないに越したことはありません…)。そのため、騒音による難聴の防止は、聴力を維持するための唯一の方法であるようですね。
 また、聴力の低下により話し声が聞こえにくくなるためコミュニケーションが困難になる(社会的なつながりに影響)、認知機能にも影響し、注意力の必要な仕事のパフォーマンスが低下し、20年以内の死亡リスクが10~20%増加することが分かっています。
 また、耳鳴りも視力の低下とともに増えており、QOLや睡眠障害、うつ、注意力が続かないなどの問題も引き起こすため注意が必要です。

2. 社会的な騒音曝露

 音楽プレイヤーの普及により仕事場だけでなく、若い人々の聴覚障害が増えています。また、ナイトクラブやロックコンサートでは一時的な耳鳴りなどの症状も見られています。さらに、青年期に大きな音をよく聞いていると高齢になった際に聴覚障害をもつ可能性が高くなることが分かっています。
 私もよくやってしまいますが、雑音を消すために音楽を聴く場合などはやはりノイズキャンセリングヘッドフォンをすることが有効であることも分かってきていますので、ぜひ…

3.年齢と生活習慣 

 聴覚の低下は年齢が上昇するごとに見られることは皆さん経験的にお分かりになると思います。実際に年齢と聴力は密接に関連することが分かっています。また、意外にもアルコール、喫煙、高脂血症が聴力の低下と関連があることが分かっていますから、やはり生活習慣は非常に大切ですね。

4.治るようになるの?

 上記に、現在は治療できないがiPSなどを用いた治療法を開発しようとしている動きはあるようです。また、抗酸化物質のグルタチオンやD-メチオニンは耳の細胞を保護する効果が動物実験で見られたそうなので人に応用できるものか今後研究されていくと思います。
 しかし、現時点では決定的な治療法がありませんから注意することは必須という感じですね。

5.煩わしさ

 騒音に煩わしさはつきもの。この煩わしさが、日々の活動や気分、思考に影響し、睡眠などに影響を与えることが分かっています。また、疲労感や不快、ストレス症状とも関連があることが分かっています。なかでも、騒音による睡眠障害が最も多いようなので、やはり寝室などはできるだけ静かなん環境を作った方がよさそうですね。すぐにはできない…という方はぜひ耳栓を!

6.循環器疾患

 短期的な騒音により血圧の上昇やストレスホルモンの分泌が増加していることが分かっています。
 また、長期的に騒音を感じているとホメオスタシスのバランスが崩れ、代謝や循環器システムに影響を及ぼすことが明らかになっています。そのため、高血圧や動脈国化が進み、心不全や脳卒中につながるものと考えられています。
 実際に騒音を多く受けていた群はそうでない群よりも循環器疾患のリスクが高いことが分かっています。
 また、ある研究では10dB上昇するごとに7~17%循環器疾患のリスクが高くなることが分かっています。(私はこれをこれらを基にうるさい人を訴えたいくらいです…)

7.認知機能

 認知機能は既に出てきたよね?と思った方々…
 騒音による認知機能の低下は子供たちに非常に影響を与えるのです。
 子供たちの認知機能低下の中にはコミュニケ―ション、注意力の低下、無力感、欲求不満、睡眠障害などが含まれており、学業面に大きな影響を与えていることが分かっています。
 実際に、空港や交通量が多い場所、電車の近くなどの子供は、Reading能力や学力テストのスコアが低いことが明らかになっています。(気が散ってしまうのは容易に想像できますしね…)
 また、ある研究では5dB空港の音が増加するごとにReading能力が2か月分遅れるなどの結果もありますからやはり学校は静かなところにあることがベストかなと。お子さんが勉強する際には静かな場所でというのも大切ですね。

8.睡眠障害

 騒音による睡眠障害は最も有害であると述べられています。睡眠をしっかりとれないとうつなどの精神障害だけでなく、高血圧などにもつながり循環器疾患と関連してしまいます。また、睡眠時間と肥満の関連なども分かっておりますので、騒音対策はやはり重要。近隣がうるさい!という経験はあると思いますし、長い目で見て引っ越しするのも一つの選択ではないでしょうか?(私も苦しんでいますので引っ越しを検討中です…)

9.病院

 まさかこんなところにも影響が…騒音により入院患者のストレスの増加、回復までの期間が伸びる、再入院率が上がるなどの問題も分かっています。さらに、看護師においても騒音により医療ミスにつながることが分かっていますので、病院ではお静かに…というのはやはり正しいみたいですね。

まとめ

 騒音により、健康面に大きな影響を与えることが分かりました。それだけでなく、病院への影響もあるとは…
今のところ聴力低下を治療できません騒音にはやはり注意する必要がありますね。
 また、騒音を立てないことも他の人の健康を守ることにつながりますし、お子さんの成績もあがるかもしれませんよ!?
 これからの時代、ますます首都圏に人が集中することが予測されていますが田舎には田舎の良いところがあるということかもしれませんね(緑も健康には大切ですから)
 ぜひお役立てください。では!

Reference
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3988259/


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