推しを好きになりきった話


私にはいわゆる“推し”がいました。

推しっていう表現は個人的にあまりしっくりこないんだけど、今伝わりやすい表現が“推し”しかないので使いますね。

推しがいた日々は楽しかったな。

夜行バスとか特急とか新幹線とか色々乗り継いで現場に通って

握手会では何周もしまくって

その為に働いていたな。

そこで出会った友達と会えるのも嬉しくて

現場が終わった後の帰り道にごはん行ったりして今日楽しかったねーって話して

遠征したらご当地のごはん食べて

推しがMCで言ってた名物を食べたりして

今思っても毎日がきらきら輝いていました。

推しの音楽を聴いて、推しの言葉をひとつ残らず拾い集めて、私の幸せにしていたね。

でも、ある日会えなくなることが決まりました。

推しは脱退し、引退。

グループは事実上解散。

目の前が真っ暗になったのを今でも覚えている。

このことを聞いた瞬間は涙は出なくて

実感がなくて、何かの間違いじゃないかなって思ったけど

その日の夜は眠れなかった。

涙が音もなく流れてきて自分でもびっくりした。

それからというものの仕事中でも気を抜いたら涙が訳もなく溢れてきて、何で泣いてるのか分からないし何が悲しいのかも分からない、自分でも感情の手綱を手放してしまっていて本当に訳がわからなかった。

何で泣いているのか分からないけど涙が止めどなく溢れてくる。

だいすきな人に、

だいすきな人たちに会えなくなる。

そんな恐ろしい現実が迫ってくる。

それから最後の接触イベント、ツアーがあったけど

毎回毎回泣き続けていた。

げろげろ泣いてた。はずかし。

メンバーに慰められるくらいには泣いていたなあ。。

恥ずかしいね。今思うとほんと恥ずかしくてやってられない。。

若かったって言葉で片付けられないくらい、恥ずかしい、でも、それが私の青春だった。

さていざ実質解散ライブ。

どれだけ泣くんだろう…って周りの人も私のことを心配してくれていた。

そしたら、、

一滴も泣かず。

まじかよ。自分でもびびった。

悲しくて悲しくて辛いし胸が張り裂けそうな気持ちでいっぱいで

推しに会えないこれからの人生は絶対楽しくない、楽しいことがあっても推しに伝えられない。推しがいない人生なんて考えられない。

そう思っていたんだけど、

最後に見た推しの姿はかっこよくて、世界でいちばん輝いていた。

だから涙なんて出なかったよね。

推しが世界でいちばんかっこいい姿を見せてくれるなんて。

幸せだよね。

だから泣かなかった!

推しは引退するから、もう一生会えなくなったんだけど、

でもこんなにかっこいい姿を見せてくれるならそれでもいいのかなあ、と。

逆に、引退するって決めたらもう出てこないでね。とも思った。

会いたいし、会えたらいいな、とは思うけど

貴方が決めた道なんだから突き通してよね。

美しく散ってください。

私が推した人なんだから、そこは徹底してね。

って思ったし、推しにもそういう手紙を書いた。

会いたいけど、もう会っちゃだめです。って

かなり矛盾してるけど本心だったんですよ。

推しには別の人生が待ってる。そこで頑張ってほしい。

話は逸れるけど、ステージ上の推しにしか興味がないので、

ステージを降りた推しはただの人間に戻るんですよね、私の中で。

冷たい言い方をするとあまり興味がなくなる。

元気いてくれれば十分なんですよ。

だから、もういいの、私は推しを好きになりきったから。

そりゃ、もっともっと好きになりたかったし、好きでいたかったけど、

推しがゴールを決めたから、それに向かって私の好きも最高値に設定したよ。

好きになりきった!そう自信をもって言えたから

私は泣かなかった…のだと思う。

とは言え、強がりなのかなあとか自分の中で色々思いを巡らせてみたけど

でも泣かなかったのは事実だし、

我慢したわけでもなかった。

こんな気持ちになったのは初めてだよ、推しよ、ありがとう。

今はもうステージを降りてしまったけど

元気で頑張ってね。

…とまあ、推しがいる人にいずれやってくる、さよならの時のお話。

私は最後に見る姿が分かっていたからいいけど

分からない時だってあると思う。

だから、悔いなく全力でいきたいよね。

好きになりきった!って言わなきゃ、こっちだって楽しくないよ。

そう思わせてくれる推しを好きになって良かったよ。

結局、推しがいちばん。

あー、今何してるかな。

推しはSNSも全部やめたから(こういうところが好き)もう生存確認もできないのだけれど

きっと元気にやってると思う。

というか、今の私にはそう信じるしかない。

幸せを信じて、願って、でも本当のところは分からない。

ただのファンってもろいよねえ。虚しい。

あーでもほんとに、推しがいた日々は私の人生の宝物です。未だに輝いてるよ。無駄だったことはない。すべてが大切な思い出。そう言い切れる。何故なら推しが素敵だから!!

久々にじっくり思い出しちゃったよ。

毎日思い出してはいるんだけどね笑

もう会えないけど、元気でね。

私はあなたより、絶対に素敵な人間になるからねーっ!



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