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トイレで運気が回る話

うねる髪の毛の如何とも御しがたく、縮毛矯正をあてる。
量が多くて生え際のクセがすごい(←漫才のネタをしようとしているわけではない)のだが、

「僕、言わないようにしてます。髪の量を言うとき、『量が少なくないほうなので』って言います」
と、スタイリストさんは言う。

「だって、クセっ毛とか髪の量が多いとかって、自分でわかってるじゃないですか。
それで「結構クセありますね」って言われても、『分かってる』ってなりますよね」
「なるほどー。こっちは何となく不安でつい聞きたくなってしまうんですよね。
それって、この仕事をしていくなかで『この方がいい』って学んだんですか?それとも元からそう思ってはったんですか?」

「元からですねー。僕、最初からそんな感じです。何ででしょうね、僕自身がくせっ毛で言われるたびに『わかってる』って思ってたからかもしれないですね」

そして、こういう言葉をきっかけに指名してくださっているお客さんが多いらしい。
美容師としての腕もさることながら、自分が費やしたいのは「髪を切ること」だけでなく「リフレッシュする時間」なのであって、
もしかしたらその間の声かけや言葉の選び方も含めて髪を切ってもらう時間をまるごと楽しみたいと思ってるのかもなぁ、
そう考えたら本業(髪を切ること)以外の部分の重要性も結構あるのかもしれないなぁ。
と、思った。

「男性の方とかでかなり薄くなっている場合、『量どうします?』とか聞けないじゃないですか」
「確かに…もしかしたら笑いに貪欲な関西人なら『増やしてください』とか言うかもですが、全員には無理ですね」

その後、どこかの話から「風水的にトイレに回るものを置くと良いらしい」というのを私がテレビで見たことを思い出し、その話をすると、スタイリストさんは一番最初に思いついたものを口にした。

「ハムスター?」

何だかわからないが、これからもこの方に切ってもらおうと思った。多分、ハムスター自体は回っていないと思います。

薬を髪になじませるため時間をおいた後、
「僕、回るものひらめきましたよ」
と教えてくれた。
一時期ちょっと流行ったもので、電池とかいらなくて、置き物にもなるものです。

次のヒントをもらうまで全くわからなかったけれど、よく思いついたなと思った。発想がすごい。

自分から言い出した手前、置くのがネタと義理人情というものだろうと思い、ネットで1個注文した。
意外に種類豊富でびっくりした。

きっと来週から自分にも運気が回ってくることだろう。

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