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30日間の革命 #毎日小説69日目

 加賀が家に着くと、もう夕食の準備が出来ていた。

 「あれ、母さん今日は帰り早いんだね」

 いつもなら、仕事で自分と同じくらいの時間に帰宅する母親が、今日は既に夕食の準備を済ませていた。

 「あらお帰り。今日は早上がりだったのよ。もう夕飯出来てるから、食べちゃって。あ、そういえば今日は再面談だったんでしょ? どうだった?」

 「全然だめ。まったく聞き入れてもらえなかったよ。ほんと嫌になるくらいね」

 加賀は、カバンをイスに置きながら肩を落として答えた。

 「まあそりゃしょうがないわね。なんたって”世界に旅へ出る”だからね。母さんが先生でも同じように絶対に反対するわよ」

 「そんな悪いことかなぁ。高卒で大学に進学しないってさ」

 「まあ先生たちにとってはそうなんじゃないの? 就職ならまだしも、旅だからね」

 「同じこと言われたよ。また再面談だってさ」

 「どうするの? ずーっと反対されたら」

 「そりゃ納得してもらうまで説得するよ。こっちだって真剣に考えたんだから、簡単に折れるわけにはいかないよ。母さんたちにもようやく納得してもらったんだし」

 「そっか。まああんたがしっかり考えた結果なら、もう反対しないから先生もしっかり説得するのよ」 

 「了解。まあ頑張るよ」

 すると、妹が2階から降りてきて、

 「なにお兄ちゃん、また何か悪いことでもしたの?」

 と冷やかしにきた。

 「ばーか。真剣な話をしてんだよ。茶々入れるなよ」

 加賀も少しおどけて話、その場は穏やかな笑いに包まれた。加賀は夕食と風呂を済ませ、自分の部屋へと戻った。

 「はあ、何か最近色々あるな。とりあえず、今は進路のことを先生に説得することと、白の会。そして、小春とのことを何とかするか」

 そう考え、眠りについた。

 翌日、加賀は早めに登校をした。そして、登校中に坂本の姿を見つけた。そして、やはりその隣には仙波の姿があった。加賀は何とか話しかけようとしたが、どうしても動くことが出来なかった。そしてそのまま教室へ着き、坂本へ話しかけようとしたとき、クラスメイトから呼ばれた。

 「加賀! ちょっといい?」

 加賀はそのまま廊下へと向かった。すると、そこにはクラスメイトと仙波の姿が見えた。

 「仙波さんが用事あるんだって」

 そう言うと、クラスメイトは去っていった。加賀は、まさか仙波から呼び出されるとは思っていなかったので、驚いていた。

 「ごめんね急に呼び出して。ちょっと時間ある?」

 「う、うん。いいよ」

 そうして、二人は人気のない場所へと向かっていった。


▼30日間の革命 1日目~68日目
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