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30日間の革命 #毎日小説26日目

 翌朝、加賀は坂本と通学路で会うことを期待して、いつもより早めに登校した。そして期待通り、通学路の途中で坂本の姿を見つけた。

 「小春、おはよう」

 「あらセト、今日も早いのね」

 坂本は、加賀が自分に会うために早めに登校していることを悟った。

 「その様子だと、メンバーの勧誘が上手くいったみたいね」

 「え、わかる? 相変わらずスゲーな小春は」

 「表情見れば、誰だってわかるわよ。顔に”褒めて欲しい”って書いてあるわよ」

 「まじか。やっぱ俺って単純なのかな」

 坂本は続けて質問をした。

 「それで、誰をメンバーに入れることになったの?」

 「うん。実は、3人メンバーに加えることにしたんだ。小春にはあと1人って言われてたのに、それを破ることになっちゃったけど」

 加賀は坂本の顔色をうかがった。坂本に無断でメンバーを増やしたことに、少しだけ不安があった。

 「そっか。セトが入れたいと思った人なら、3人でも問題ないわよ。前にも言ったけど、セトのことを信頼してこの仕事をお願いしているの。だから私は、任せた以上どんな決断でもそれを応援するって決めているわ」

 加賀の不安に反して、坂本は穏やかな笑顔を見せながら答えた。加賀は気持ちが和らいでいくのを感じ、そして、坂本のためにも絶対革命を成功させようと改めて思った。

 「ありがとう。それじゃあ、今日の放課後に第二視聴覚室に来てほしいんだ。その3人も呼んでいるから、小春と森下にも紹介するよ」

 「ええ、いいわよ。楽しみにしているわ」

 「なら森下には、今から野球部の部室に行って俺から声かけとくよ」

 「ありがと。あ、そういえば、その3人の名前だけ先に教えてもらってもいいかしら」

 坂本は、野球部の部室に向かおうとする加賀を止めて聞いた。

 「えっと、まず前に相談した、2年の手崎さんと、3年の神原君。最後に、1年の馬場君だよ」

 「……ありがと。それじゃ、森下君のことお願いね」

 こうして、加賀は森下のいる野球部の部室へと走っていった。坂本はその後ろ姿を見つめながら、少し目を細めてこう思った。

 (難しい道を選んだね)

 それからあっという間に時間は過ぎ、いよいよ放課後になった。それぞれが様々な気持ちを持って第二視聴覚室へと向かった。

 馬場は、初めて坂本と対面できることに、少し興奮していた。手崎は、加賀以外の上級生と初めて話すことになるので、緊張し足取りは重かった。神原は、何か変なことが起きそうなら、ここで革命を止めてやろうと、そんな決意を持っていた。森下は、このあと野球部の練習があるので、早めに終わればいいなと思っていた。加賀は、自分が集めたメンバーによって、どんな雰囲気になるのか、期待と不安の半々だった。そして坂本は、いつもと変わらず、穏やかな表情で向かっていた。

 そして、全員が第二視聴覚室へと集まった。教室内には、様々な思惑が重なった、異様な雰囲気に包まれていたーー


▼30日間の革命 1日目~25日目
まだお読みでない方は、ぜひ1日目からお読みください!

takuma.o 


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