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僕らの世代が医療の世界を変えていく。ITの力で医療をもっと身近に。

今年の1月、エバーセンスは新会社「株式会社ノーススター」を設立し、現在は三井物産と一緒にヘルステック事業に取り組んでいます。

▲設立の背景はこちらのnoteをご覧ください。

今回インタビューしたのは、ノーススターの代表を務める田北浩大さん。コロナ禍でリモートワークもあり、私自身もゆっくりお話しできたのは実は今回が初めてです。

「向こう5年、10年で劇的にIT業界の方たちが入っていくのがヘルステック界隈だと思います。非常に盛り上がってきている領域なので、そういった場所で新しいチャレンジをしたい方にとってはうってつけの場所だと思います。」

そう話す田北さんから、医療の世界で起こっていること、変えていきたいこと、今取り組んでいることをたっぷり聞かせてもらい、その可能性にとてもワクワクした時間でした。次の活躍の場を探しているIT業界の方、ヘルステックに興味のある方にもぜひ読んでいただけたら嬉しいです!

話し手:田北浩大(株式会社ノーススター代表取締役社長)
聞き手:真辺藍(株式会社エバーセンス広報)

中国、ジャカルタ、メルカリ…新規事業に携わってきた10年。そして、キッズドクターと出会う。

真辺 早速ですが、田北さん。これまでどんなお仕事をされてきたんですか?

田北 2010年に三井物産に入社して以降、基本的には新規事業の投資担当をしてきました。最初はメディア事業室というところで、中国の国営のテレビ局傘下のテレビショッピング会社への投資や事業支援を担当。その後2013年には、インドネシアのジャカルタにある会社への出資を担当し、そのままその事業会社に出向することになったんです。営業企画、経営企画、CRMのマネジメント業務などを3年弱ほど携わった後、国内フリマアプリの会社のメルカリに出向することになりました。

真辺 ジャカルタからメルカリに…!当時メルカリのことは知っていたんですか?

田北 ジャカルタに行った当初はメルカリも設立してあまり経っていない時期だったので、全く知りませんでしたね。2019年夏まで3年半ほどいましたが、UKメルカリの新会社立ち上げや、メルカリ便、メルペイ、メルカリNOW、メルチャリなど新規事業開発を色々とやらせてもらいました。

真辺 キャリアとしては新規事業に携わることが本当に多かったんですね。メルカリの後は三井物産に戻ったんですか?

田北 そうですね。2019年の夏に物産に戻って、ヘルスケアの新規事業投資担当として仕事をする中で、キッズドクターに興味を持ちました。

▲元々エバーセンスで展開していた、夜間・休日にオンライン診療や往診、チャット相談を依頼できるキッズドクター。現在はノーススターに事業譲渡して展開しています。

 オンライン診療×子供×時間外というキッズドクターの可能性。

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真辺 三井物産としても今特にヘルスケア事業に力を入れていると聞きました。

田北 私は物産の中でもICTの部隊にいたので、特にITとの掛け合わせでヘルスケアをどう変えていけるか、というところにテーマを置いて出資を検討していましたね。ヘルステック企業が少しずつ出てくる中で、物産としてやっていきたかったのがオンライン診療だったんです。

真辺 オンライン診療はコロナ禍でも注目されていますよね。

田北 この1、2年で急速に浸透してきていますね。オンライン診療は、診断の質やすぐに処置ができないという課題はありますが、技術の進歩によって今後もっと広がるだろうなという期待はあります。
その中でも子供向けに展開しているキッズドクターは、サービスとしてもユニークだなと感じていました。

真辺 たしかに、子供向けにオンライン診療などのヘルスケアサービスを展開しているものはまだ少ないですよね。

田北 実は子供の病気はオンライン診療と親和性が高いんですよね。しかも親はスマホをよく使う世代。オンライン診療は慢性疾患とも親和性が高いのですが、その患者さんであるシニアの方たちは、スマホをあまり使っていない人も多い。
だから子供向けのサービスという立ち位置を取っているキッズドクターに興味を持ちました。それに、病院の診療時間外にサービスを提供している点も、良い立ち位置だなと思っていました。

真辺 夜間や休日ですね。子供ってそういう時に限って熱出したりするので、私も1人の親としてすごく助かっています。

田北 これまで時間外というと、救急病院に連れていくしかありませんでした。そこにオンライン診療や往診という選択肢を増やすことができた。
しかもユーザー側だけでなく医療機関側にもメリットがあると思っています。救急病院を受診されるお子さんの多くは軽症だと言われていて、診療時間外に小児の医療相談やオンライン診療・往診を通して対処していくことは、結果的に救急病院の負担を下げていくことにもつながり、医療全体のことを考えても良いアプローチなのではと思っています。

真辺 キッズドクターの可能性をそのように考えてもらえて嬉しいです…!今キッズドクターで具体的に動いていることってどんなことですか?

田北 大きく動いてる方向性は2つですね。
1つはサービスの利用地域を広げていくこと。今キッズドクターでは、オンライン診療・往診・チャット相談の3つのサービスを提供しています。チャット相談はもともと全国対応でしたが、オンライン診療・往診に関しては今は関東と名古屋だけなので、各都市部をカバーしていきたいなと思っています。全国に提携できる病院をどんどん増やしていきたいですね。

もう1つは、今のサービスの機能を拡張していく、ということです。今は平日夜や休日等の診療時間外のサポートのみですが、キッズドクターとしては、小児の総合健康プラットフォームとして、それ以外の時間で提供できる価値を増やしていくことも考えています。例えば朝、会社に行かないといけないタイミングで、子供が体調不良で保育園に預けられない。そこで病児保育やシッターサービスと組み合わせて往診やオンライン診療を提供することができれば、親御さんをサポートできることが増えますよね。そういう機能拡張は積極的にやっていきたいなと考えています。

真辺 朝起きると熱が高かった、みたいなことは本当によくありますね…!選択肢が増えるのは親としても本当にありがたいです!

医療をもっと身近に。キーワードは双方向性。

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真辺 ノーススターはキッズドクターをはじめ、インターネットを使った医療・ヘルスケアサービスを提供する会社として立ち上げていますが、目指しているビジョンを教えてもらえますか?

田北 私たちは「医療をもっと身近に」というビジョンを掲げています。これまでの医療って、医師から患者さんへ、どこか一方的な世界だったと思うんです。でも、インターネットの特性を活かせばもっと双方向にすることが出来ると思うし、質高く納得感のある情報を患者さんに伝えられると思っています。一方で、インターネットの中にはいろんな情報が溢れているので、それが信頼できる情報なのかどうか、という不信感があるのも事実です。
ノーススターとしては、これらの解決に取り組むことで、医療をもっと身近なものにしていきたいと思っています。

真辺 双方向と言うと、患者さんからも発信ができる、というようなことですか?

田北 そうですね。患者さんが発信する情報は、医療の発展にもつながると思っています。例えば食べログさんのように、お客さんからの評価があれば、サービスの質が上がったり、改善にも繋がりますよね。結果的にいいサービスを提供するお店が増えていく。でも、実態はもっと複雑で、医療は非常に高い専門性が必要とされるものなので、基本的には各種ルールや慣習でそういった口コミの発信は禁止されていて簡単ではないんです。

真辺 なるほど…。個人的には病院の雰囲気だったり、先生の説明の仕方など気になりますが、そういった情報の取り扱いが難しいんですね。

田北 でも、患者さんにとってはおっしゃる通り知りたい情報ですよね。もちろん規制はしっかりと守る必要はありますが、そのルールの範囲内で、ユーザー参加型で医療をよくする仕組みを作ることにチャレンジしたいと思っています。
キッズドクターでも、診察した医師やサービスの評価をもらって、プロダクトに反映、改善につなげていく、ということをしていきたいなと思っています。フィードバックがリアルタイムに反映されていくのは、インターネットサービスの良さでもありますよね。

真辺 オンライン診療や往診って新しいサービスでもあるので、そういった評価があるとやはり安心感につながりますね。ぜひ実現していってほしいです…!

盛り上がりを見せるヘルステック。toC向けサービスに携わりたい方募集中!

真辺 さまざまな課題解決に取り組む中で、今困っていることや大変なことはありますか?

田北 とにかくプロダクトづくりにかけられるリソースが足りないことですね!やりたいことはたくさんあるので、この半年くらいで、採用含めて開発チームの強化はやっていきたいなと思っています。

真辺 具体的にはどのポジションを募集しているんですか?

田北 エンジニアやデザイナー、それから外部とのアライアンスを仕掛けていける事業開発メンバーも募集中です!

▲現在Wantedlyにてメンバー募集中です!

真辺 どんな方に来てもらいたいですか?

田北 とにかくまだ立ち上げフェーズなので、色々整っていません(笑)そういったカオスな状況を楽しんでくれる方でないと難しいかもしれませんね。また、医療という人の命が関わる難しい領域なので、そこに立ち向かっていく思いのある方や、医療の世界を変えたいと思っている方にぜひ仲間になっていただきたいです。

国内にも大きなヘルステック企業が出てきて、この2〜3年で流れは大きく変わってきました。向こう5年、10年で劇的にIT業界の方たちが入っていくのがヘルステック界隈だと思います。非常に盛り上がってきている領域なので、そういった場所で新しいチャレンジをしたい方にはうってつけの場所だと思います。

真辺 ちなみに、他のヘルステック企業との違いはどういうところになりますか?

田北 今大きくなってきているヘルステック企業はいくつかありますが、医療機関や製薬会社へのDXを提供しているところが多いですね。一方ノーススターが提供するのは、toC向けの医療サービス。同じヘルステックといっても、解決しようとしている課題はそれぞれ違いますね。

真辺 なるほど。課題解決へのアプローチや、ものづくりで重視する部分も違いそうですね。

田北 ノーススターが実現したい世界観としては、個別化・最適化をテーマに掲げています。医療って、患者さんが抱えている問題がすごく細分化されていますよね。だから全く同じサービスを、全員に対してアプローチできない難しさがあります。いかに年齢や抱えている病気によって個別化・最適化していけるかというのが私たちにとって大きな課題であり、サービスを作る上でも大切にしていきたいところです。

医療情報を提供するサービスは今でも色々とありますが、どのサービスもこうした個別化までは対応できていません。逆に言えば、個別化された情報コンテンツを提供できると、すごく粘着性高く使ってもらえると思います。個別化・最適化は必ず実現して、医療をもっと身近にできるサービスを届けていきたいですね。

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株式会社ノーススター 代表取締役社長
田北浩大

2010年、三井物産株式会社入社。テレビショッピング事業、インターネットサービスや通信事業の新規投資に携わったのち、ジャカルタの通信会社に出向。2016年からはメルカリに出向となり、UKメルカリの立ち上げ、その他国内新規事業に取り組む。2019年に本社に戻り、ヘルスケア新規事業投資担当としてキッズドクターに興味を持ち、エバーセンスと出会う。2021年1月より株式会社ノーススター代表取締役に就任。プライベートでは6歳と3歳の男の子のパパ。

インタビューを終えて

一人の親として、ユーザーとして、キッズドクターがサービスとしてどんどん良くなっていくのをとてもうれしく感じていたので、今回代表である田北さんのお話を聞くのをとても楽しみにしていました。とはいえ、田北さんの事前情報がほとんどない状態でのインタビュー。どんなお話が聞けるのかドキドキしていましたが、改めて医療業界の解決すべき課題の多さに驚き、ノーススターがビジョンとして掲げる「医療をもっと身近に」の意義を強く感じた時間となりました。
ヘルステックの盛り上がりは私も感じていますし、きっと立ち上げ初期だからこそのおもしろさ、他にはない経験ができるのだろうと思っています。(実際にノーススターに出向しているエバーセンスのメンバーはすごくいい顔で働いているなぁと思うし、また彼らにも話を聞いてみたいと思います!)ノーススターにいい仲間が集まり、ビジョンを実現して医療の世界を変えていくのを楽しみにしています!

【取材・文】真辺藍 【撮影】鈴木満明