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ノーファインダーと7歩分の歩幅。

 ライカの良さを語る動画やブログでは、その良さの一つに、ノーファインダーで写真を撮るのに向いている、ということを挙げられる場合が多い。
 レンズについている距離指標を頼りに撮影すれば、フォーカスにかかる時間は実質ゼロ。スナップに良いというような話になる。

 確かにそんな撮影方法もあるわけで、自分もやってみたりするのだけれど、ちょっと待てよ、それは別にライカでなくてもできるんじゃないっけ?と思ったりする。
 それは当然ながらマニュアルレンズをつけたミラーレスでもできるし、CanonなりNikonなりの、純正のレンズでもできなくはないはずだ。
 EFレンズ時代のCanonを使っていたが、そこそこ上級機であれば、距離指標がレンズ根元に設けられた窓から見えるようなかたちになっていて、それを見てノーファインダーで撮ることも可能ではあった。けれども、やはりオートフォーカスがあると、積極的にマニュアルでピントを合わせることはしなくなる。また、そもそもピントリングの感触もあまりいいとは思えない。ライカに似たx100シリーズでもあまり感触が良いとは思えなかったし、そもそも距離指標がついていない。

 さて、昨今のミラーレスはどうかとちょっと見てみると、指標のついたレンズはあまりないようだ。普及価格帯のレンズは特にそうで、シンプルなデザインになっている。マニュアルで合わせるにしてもファインダーや液晶ありきということになる。恐らく、実際それで困ることはない。

 とはいえ、ノーファインダーで撮れると言うのは、ライカに限った特徴ではない。そうしたレンズがあれば、どんなメーカーのカメラでも、ファインダーや液晶を見ずにピントの合った写真を撮ることができる。(構図は置いておいて)

 さて、レンズについている距離指標を頼りにピントを合わせる、あるいはその写程に入ったものを撮るとき、しかしそれは簡単な話ではない。

 35mmf5.6の時、5メートルのところにピントを持っていくと、その手前数メールから、その先何メートルまでピントが合ったように見えますよ、というのが距離指標の使い方だが、それについての見方は動画などで確認することはできるものの、ちょっと待て、そもそも5メートルってどれくらいよ?という疑問がわいてくる。5メートルがどんな距離感かよく分からないのだ。

 そこで、レンズを5メートルの位置にしてファインダーを覗いてみる。え? ウソだろ? 5メートルってこんなに近いの!? 小学生低学年のころ泳いでいた10メートルプールはあんなに遠くにあったのに、その半分ってこのくらいなのか?
 いや、間違っている。きっとレンズの方がおかしいんだ。とは言ってもメジャーなんか持ち合わせてないし、そもそも1メートルってどのくらいなんだろう。

 こんなふうに戸惑ってしまう。僕が感覚的にあ、5メートルかな?と思った距離は、実際にはけっこうな距離があるのだ。

 そんなとき、ふと試したのが「歩幅」である。なんとなく、目標物から何歩離れているかは分かったりする。で、あれば、自分の歩幅がどのくらいかを知っておくと、それで距離感がつかめるというわけだ。

 と言うわけで調べてみたのが次の計算式。

身長×0.45=歩幅(大股)

 僕は典型的な胴長短足(汗)なので、ズレはあるだろうが、およそこれで割り出せるらしい。自宅の玄関のタイルが30センチなので、それを基準に目測で測ってみてもだいたいそのくらいになる。5メートルだと、およそ7歩分。それを基準にして撮れば、あとは絞りを深めにしておけばピントが合ったように見える、という算段だ。

 そうは言っても、目測でピントを合わせるのはなかなか難しい。広角ならパンフォーカスで行けるけれど、感度の関係も考えるなら、GRなどでオートに任せた方が早いくらいだろう。あるいは豆粒センサーの昔のコンデジとか、いやいや、なんならスマホのカメラの方が下手したら良いかもしれない。ボケないし、画質もむしろパッと見、いいくらいだ。

 でも、そうじゃなくて、このカメラで撮りたいのだから、色々考える。その一つが5メートルは7歩分というわけだ。僕の7歩先はどこかなんてことを考えながら、今日も街へ出たりするのだ。

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