天正遣欧使節団の足跡を追って(ヴェローナ)

遣欧使節団一行はベネチアから毎日ほぼ30㎞の道のりを進んだと思われます。
昨日のヴィチェンツァから西に30㎞行くと、ヴェローナになります。
松田毅一さんの著書ではヴェローナの記述がありませんが、1泊して、次の
マントヴァに急いだと思われます。
しかし、ここでヴェローナをスキップするわけにはいきませんので、ヴェローナの見所をご紹介します。

ヴェローナの町は、北部山岳地帯のドロミテ山塊を源にするアディジェ川のほとりに開けた町で、古代ローマの時代の一大拠点の町でした。その名残は町の中心にある古代円形劇場(アレーナ)が物語っています。

画像1

(2000年前の建造物とは思えないアレーナ・・・Wikimediaより)

古代ローマは版図を拡大してゆく際の拠点になった町には、ローマ帝国の標として、円形劇場や水道橋、そして、城塁など土木の遺構を方々に建てていきました。
ヴェローナの円形劇場は大変均整の取れた、そして、後世の破壊や地震にも耐えた遺構として名高い。創建は初代ローマ皇帝アウグストゥスの時代、紀元前27年から30年の歳月をかけて造られたというのが定説になっています。

このアレーナ、ジュゼッペ・ヴェルディーの生誕100年を記念して毎夏、オペラの公演が一か月ほど続く夏の風物詩になっています。
私も一度、「アイーダ」を鑑賞する機会があり流石の大仕掛けに驚いた経験があります。
今年は、コロナ禍でどういうことになるかわかりませんが、今日のチケットサイトは発売予定になっています。
今年の私のお薦めは、ベートーベン生誕250年に当たりますので、その企画として8月23日に「第九」の演奏会です。
実は、遣欧使節団の足跡を訪ねながら、「第九」をアレーナで鑑賞する企画を立てていたのですが・・・これから先、どういう形で企画実現できるか、あくまで、コロナ次第ですので、終息度合いを見極めつつ判断してゆきたいと思います。
今年がだめなら来年もありますので、気長に構えましょう。

画像2

(舞台はオペラアイーダの舞台設定・・・平土間でなく上の方の席なら35$位の料金で見ることができます・・・Wikimedeaより)

次なるヴェローナの見所は・・・シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」の舞台がここヴェローナで、キャピュレット家とモンターギュ家が町に残っています。
特に、ジュリエットのキャピュレット家のバルコニーで写真を撮るのが定番の観光スポット。
真偽のほどはわかりません。第一、シェイクスピアはイギリスにいて、イタリアを旅していません。
彼は他に、「ベニスの商人」も書いていますので、イタリア好きの戯曲家であることは間違えないようです。

画像3

(ジュリエットが待っていた?であろうバルコニー。今頃行くと、修学旅行の学生たちでいっぱい。いずこの人も、この類の話は好きなようです。若者たちもみんな楽し気です・・・Wikimedeaより)


もう一つ。Wikimedeaのデータでクレジットがかかっていない絵がありましたので紹介しておきましょう。
サンタ・アナスターシア教会にあるピサネロの「聖ゲオルギウスと王女(フレスコ)
ピサネロは15世紀初頭の画家で、ゴシックから抜け出てルネッサンスへの移行期の画家。その時代の貴重な一枚がここヴェローナにあります。

画像4

聖ゲオルギウスは「竜を退治した聖人」として、初期キリスト教時代からモザイク画、フレスコ画に描かれてきた聖人で、竜の絵が出てきたら、ゲオルギウスをまず思い描いても間違えがないほどの定番中の定番。
ちなみに、かつて、グルジアと呼ばれたコーカサスの国はこの聖人ゲオルギウス伝説が基になっている。
2015年にジョージアに表記が変更されました。
また、欧米人の名前でジョージはこの聖ゲオルグが由来になっています。イギリス王ジョージ〇世とか、政治家のジョージ・ブッシュさんなど・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?