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エッセイ

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執筆した雑記、月報などをここにまとめています。
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#コンテンツ会議

Orphe『HEARTS OF IRON』――Death, death, and death

Orphe『HEARTS OF IRON』――Death, death, and death

Orphe『HEARTS OF IRON』、50 blessings、2019を読んだ。『ドールズフロントライン』というソーシャルゲームの同人誌であり、二次創作だ。主にboothで販売されている。

ゲームを知らない人のために書くと、このゲームでは戦術人形(女性)が登場する。そしてこの戦術人形はおおむね実在の銃から名前を取られている。有名な銃だとAK47がキャラクター化されているし、バイオハザード

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belne『belneのComicWorkShop 総集編』――熱量で語る、熱気で語るマンガ

belne『belneのComicWorkShop 総集編』――熱量で語る、熱気で語るマンガ

belne『belneのComicWorkShop 総集編』、新潟コミティア実行委員会、2009を読んだ。

コミティアって何? これはどんな本?
コミティアというイベントがある。主に創作同人誌を持ち寄って売り買いしたり交流したりするイベントで、東京コミティアは年に数回ある。4500サークルくらい参加するのでものすごく規模が大きい。開催されていくうちに、だんだん関西コミティアとか新潟コミティア、九

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銅大『SF飯 宇宙港デルタ3の食糧事情』――だるまさんがころんだ、ぐりっ、ぴーっ!

銅大『SF飯 宇宙港デルタ3の食糧事情』――だるまさんがころんだ、ぐりっ、ぴーっ!

銅大『SF飯 宇宙港デルタ3の食糧事情』、ハヤカワ文庫、2017を読んだ。以下続刊している。

飯である。宇宙で飯である。もともと住めるところでなかった宇宙まで来れたんだからそこまでこだわらなくてもいい気がするが、そんな融通がきかないのが人類である。栄養を取らなくては倒れるし、栄養を取れるなら、ちょっと一捻りしようじゃないか。焼こう。煮よう。発酵させよう。

ということで、食料合成機ができた。宇宙

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マックス・ブルックス『WORLD WAR Z』――ゾンビ出現を経たパラレルドキュメンタリー

マックス・ブルックス『WORLD WAR Z』――ゾンビ出現を経たパラレルドキュメンタリー

マックス・ブルックス(訳:浜野アキオ)『WORLD WAR Z』2013、文春文庫(上下)を読んだ。実際にはもっと前に読み終えていたのだが、やっと感想を書く気になれたというほうが正しい。

一口でいうならゾンビと人間の戦争である。個人やグループ間の逃げる話でなく、人類がアジアやユーラシアの場所で戦いきってゾンビを絶滅させる話だ。つまり、ゾンビに勝った。

他のゾンビ作品ではゾンビと人間の争いや人間

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飴村行『ジムグリ』――まつろわぬ民、銃、地雷、そしてシャッテン

飴村行『ジムグリ』――まつろわぬ民、銃、地雷、そしてシャッテン

飴村行『ジムグリ』集英社文庫、2018を読んだ。ジャケットそのものが極彩色で怖いし書いてあることの意味もわからない。帯には「関根勤さんも大絶賛!」と書いてあるのだが、作者の粘膜シリーズを読んで大ファンになったそうだ。解説も関根勤さんが書かれている。

どこから始まるのかというと、トンネルだ。主人公である博人が大宮あたりから引っ越してきた小仲代群獅伝町には、虻狗隧道と呼ばれるトンネルがある。トンネル

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水城正太郎『道化か毒か錬金術』――自由に暴れるエンタテイメント

水城正太郎『道化か毒か錬金術』――自由に暴れるエンタテイメント

水城正太郎『道化か毒か錬金術』HJ文庫、2018を読んだ。以下続刊している。

どんな作品かと聞かれたら、半分シリアスだが半分自由な作品だ。陰謀が出たと思ったら日本の相撲取りの話になったり、事情聴取のすぐ後でヘヴィメタ突っ込んできたりとギャップが忙しい。雰囲気としては夜中になんとなくつけた深夜ドラマのノリなのだが、最終的にはエンタメに収束していく。

舞台設定がなかなか凝っている。ページを開くと最

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三河ごーすと『友達の妹が俺にだけウザい』を読んだ

三河ごーすと『友達の妹が俺にだけウザい』を読んだ

三河ごーすと『友達の妹が俺にだけウザい』GA文庫、2019を読んだ。1巻である。

この世界のウザさは褒め言葉に入ると思う。何故かというと最初の語りから若干ウザいのだが、フキノトウめいた味がある。苦いが、山を乗り越えるとおいしくなる。お前……分かっててその語りだな……という入りだ。

出てくる人物は、デキる系主人公にまとわりつく友達の妹で美少女……主人公の教室に転校してくる従姉妹の美少女……そして

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星野実『漫画アシのABC総集編その1』を読んだ

星野実『漫画アシのABC総集編その1』を読んだ

星野実『漫画アシのABC総集編その1』を読んだ。

2010年ころの同人誌だが、すごい……4コマ漫画でアシスタント目線から漫画業界を描いているが、表紙に『ブラック会社も裸足で逃げ出す業界へようこそ』とか書いてある。ヴォエッとなる。

内容は基本的に実録漫画、暴露漫画だ。実名は出ておらず、登場人物はパンダさんとかクマ子さんとハートフルなのだが、どっちかというとジョージ・オーウェルの『動物農場』に近い

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星野実『漫画アシのABC』を読んだ

星野実『漫画アシのABC』を読んだ

星野実『漫画アシのABC(2015年夏から2017年までのまとめ本)』を読んだ。

同人誌だが、かなりカッチリした仕事本でもある。学校で進路指導用に置いてあるぐらいだ。多分『13歳のハローワーク』や『声優魂』と同じ棚に置いてあるのだろう。

漫画業界に関する実録の話なので「アシスタント経験をしていないと漫画業界の暗黙のルールを学ぶ機会がないまま作家デビュー」とか「内蔵壊して働けなくなっても誰も助け

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中原道夫『彷徨』を読んだ

中原道夫『彷徨』を読んだ

中原道夫『彷徨』ふらんす堂、2019を読んだ。ちなみに彷徨と書いて『うろつく』と読む。ちょっとダラッとした感じがあって楽しい。

俳人の中原道夫はよく旅をするのだが、今回の本に載せた俳句は海外(インド、モロッコ、ニューヨークなど)を旅行している時に作った俳句からできている。本の帯では「約五十年間で地球を五周くらい旅をしたのではないかと思う」と書いてあることからもわかるように筋金入りの海外である。旅

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