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【J2第23節】FC琉球vsアルビレックス新潟 マッチレビュー ~白熱した采配対決~

琉球は中2日でホーム2連戦。新潟は中3日でアウェー沖縄に乗り込んだ1戦。

結果は0-1で勝利!新潟は4戦ぶりの白星となりました。

非常に見ごたえのあるゲームでした。そしていつもレビューでは新潟の攻撃についてしかかかないのですが、今日は新潟の攻撃については一切触れず、初めて守備についてピンポイントレビューを書いていきます。


◯琉球が魅せた新潟のハイプレス回避術

前半開始~10分

新潟のスタメンは驚きの純CFが誰もいないという驚きの采配をみせたアルベル監督(驚きすぎて驚き2回使う。)

試合開始から激しいハイプレスをかけていきました。

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試合開始3分。CKの得点が生まれる前のシルビーニョがGKと1vs1になったシーンのハイプレスはまさに新潟の特徴が表れたハイプレスでした。

①ボランチが前からプレッシング
②SHが敵のCBにプレッシング

新潟のハイプレスの特徴は大きくこの2つが挙げられると思います。

前半5~10分くらいまでは新潟がFC琉球を圧倒していました。

前半10分~給水タイム

前半10分すぎから新潟のハイプレスにボロとFC琉球のハイプレス回避の策略が見えてきました。

FC琉球の樋口監督はDAZNの試合後インタビューでこのようなことをおっしゃっていました。

Q. 自分のゲームとおっしゃっていましたが、相手を崩してリズムを作れた瞬間があったように感じるのですが、何が変わった瞬間だったのか教えてくれますか?
A. 僕らの時間を作るときには、相手のプレスを逆に利用しながら、縦にボールが入って、しっかり足もとに入って相手を食いつかせる動かし方。つまり主体的にボールを動かすことができた時間は僕らの時間だったとおもいます。

新潟のハイプレスを利用して自分たちの時間を作っていきたいと考えていた樋口監督は先ほど挙げた新潟のハイプレスの特徴の穴をねらってきました。

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先ほども書いた通り新潟はボランチが前からかけてきて、SHもCBに対してアタックしていきます。

琉球はまず、片方のSBが高い位置をとることにより、前からかけたい新潟のSHのマークを振り切ります。

そして琉球はSHが高い位置をとることで、新潟のDF4枚がそれぞれをピン止めします。そしてSHのポジションが中のため新潟のDF4枚が中に圧縮されます。
ピン止め・・・ボール保持側の選手が、ボール非保持側の選手の動きを制限させるポジショニングを取ること。)

これにより新潟のDFラインがそれぞれピン止めされてるため、サイドにスライドできない状態を作り、琉球のSBが常にフリーの状態を作ります。

そしてボランチがボールサイドで新潟のボランチをピン止めすることで、琉球左CBが持った時、琉球の左SHのパスコースを空けます。
また、この時新潟の右SHの高木選手は自分の左SBのマークを捨ててプレスにかけるため、左SBのコースを切りながらプレスをかけるので、琉球の左SHへのパスコースは必然的に空きます。

そして琉球左SHに縦パスを当てて、フリーの左SBにというのが琉球の狙いでした。

ただ給水タイムまでは、琉球の技術が新潟の勢いに上回ってなかったのと、新潟の福田選手が2人分の動きをしていたので、琉球はミスが出てねらい通り攻めることができませんでした。

給水タイム以降~前半終了

琉球の樋口監督が給水タイムで修正を加えてきます。

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琉球は一回中央から右サイドにボールを展開して、新潟守備陣を一回琉球の右サイドによせます。

右SHの高木選手は中に絞るため、琉球が逆サイドに展開してきたとき、琉球の左CBにプレスがかけやすいようになりました。

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琉球は今度は右サイドから逆サイドの左CBに展開して、見事琉球は高木選手の引き付けさせるのを完了し、高木選手は琉球の左SBのコースをけしながらかけるため、琉球左SHはフリーに。

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1個ずつ新潟はプレスがずれていき、阿部選手が抜けたスペースをうまく池田選手にフリーな形で使われてしまいました。

このシーンに限らずですが、琉球はうまく右サイドに展開してから左サイドを容赦なく前半終了までめった刺しでついてきました。

新潟の問題。右SHの心理的部分

もちろん、琉球の狙いも素晴らしかったのですが、新潟の方にも大きな問題がありました。それは右SHの意識的な部分です。

今回右SHを務めてた高木選手は攻撃時、サイドでプレーするよりも中央でプレーする方が活きるので攻撃時、中央に入ってきます。
また運動量豊富の選手ではないのでサイドのアップダウンが得意ではありません。

守備から攻撃に移ったとき、中のポジションをとりたいのと、アップダウンをあまりしたくない高木選手は、無意識か意識的にかは分かりませんが、前からCBにかけるか、中央をケアするポジションをとるようになり、高い位置をとる琉球の左SBについていくことはほぼほぼなかったと思います。

先ほど説明した通り琉球は前線に4枚いてピン止めされてるため、新井選手も敵のSBにアタックするにもできません。

最初からこの心理的部分を樋口監督が狙っていたかは分かりませんが、この新潟の右SHの心理的部分が琉球の前半の攻撃を大きく加速させたと思われます。

◯アルベル監督VS樋口監督。お互いが見せた采配。

後半開始~60分

新潟はリードしてるにもかかわらず、ハーフタイムで4枚替え。
このアルベル監督の采配が功を奏します。

フレッシュな選手をいれたことにより、攻→守の切り替え(ネガトラ)がはやくなり、セカンドボールが拾えるようになりました。

またSBからトップ下にコンバートされた堀米選手のネガトラ、ボランチへのプレス。SBからCBになった新井選手の出足の速さなどが目立ち、後半15分くらいまでは新潟が支配する形になりました。

60分~80分

樋口監督は57分に3枚替えを行い修正を加えていきます。

前線の風間選手(兄?弟?)と上原選手を投入してより、相手のハーフコードでプレッシングを。上里選手の投入で琉球の攻撃を落ち着かせてリズムを作れるように変えてきました。

この交代が見事的中して、試合は徐々に琉球ペースに。また新潟の右サイドを狙われつづけます。

64分のシーン

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先ほど詳しく右サイドの崩され方のロジックは説明したので、説明はしませんが、このシーンの大本選手をCBに食いつかせる上里選手の体の向きの作り方にしびれました。

80分まで前半同様琉球の左SB沼田選手にガンガンいかれ琉球はチャンスを演出していきました。

80分ごろ~

新潟は78分本間選手に変えて中島選手を投入。

このタイミングで新潟は守備時に5-3-1-1(5-4-1)のような立ち位置になり5バックになりました。

これが交代タイミングで行われたアルベル監督の指示なのかは不明です。大本選手が80分以降で中に絞って右SHの位置をとった時、早川選手に下がれと指示されていたのでもしかしたら早川選手の判断かもしれませんがこの真偽は分からないです。

ただ新潟が5バックにしたのが功を奏します。

80分のシーン

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5バックにしたことで後ろの枚数が足りて、ボランチが下がらず前から圧力をかけられるようになったのと、中島選手も後ろの枚数が足りたことで右サイドの高い位置に貼る選手を荻原選手に任せれるようになったので中央のケアができるようになり中盤が分厚くなりました。

また大本選手が下がったため左SBの沼田選手が上がってクロスを上げるスペースもなくなったため、琉球にボールをもたせながらも新潟は決定的なチャンスを作らせず試合は終了しました。

とにかくこの試合は両監督の采配が面白かったのが感想です。

◯その他。気持ちの良いDAZN観戦

この試合みてて気持ちが良かったのですが、その大きな要因として1つは試合内容とは関係ないですが、あったゆういちさんの実況がめちゃくちゃ良かったなと思います。

あったさんのツイートでこんなのをみつけたのですが、まさにほんとこの通りの実況だったなと思いました。

新井選手が去年キャンプで練習生ではいってきて、去年32試合出場したとか、前日か前々日にサッカーマガジンにでたアルベル監督とシルビーニョのインタビュー情報を挟みこんだりと、どこまでアウェーチームリサーチしてるんだっていうのも感じましたし、

ん?この人解説者と思わせるような試合の目の付け所も聞いててうぉーと思いました。

DAZNで放送していることを意識した実況でめちゃくちゃプロフェッショナル!!と思いましたし、何よりサッカー愛みたいなのがあふれてて聞いてて気持ちが良かったです。

よく実況・解説がちょっとひどい試合だと、Twitterで検索すると酷評の嵐だったりしますが、今回の実況についてTwitterで検索しても称賛みたいなのはなかったので、個人的な感想ではありますが、あったさんの実況が好きだったのでレビューに書きました!

以上何卒です。

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