新型コロナ感染症に罹患しました
皆様、ご無沙汰してます。
久しぶりのポスト、ツイートです。
コロナに罹ってしまい20日間ほど臥しておりました。
尤も、20日間まったく動けなかったワケじゃなくって、巷間伝え聞いていたツラい症状は、幸いにして1週間ほどでおさまりました。
身体が少しだるくって。んん? 喉も痛いっぽい? って感じだったので、薬局で抗原検査キットを買ってきて。
で、試してみる。したらば、みごと当たり判定で。
え? ウソ、マジ? と医師の友人に電話してみた。
——あのさ、アタリ出たんだけど。コロナ。
—鼻粘膜のやつ? 唾液のやつ?
——鼻の。
—あそ。じゃ、間違いないね。
——や、でも、そっちで検査すりゃまたなんか違うんじゃねぇの?
—あ、一緒だから。精度も、検査方法も。鼻粘膜でアタリならアタリ。来んな来んな。体温は?
——8度6分。
—さほど高くはないけど、低くないね決して。ハハハ。
ハハハ、じゃねえやチクショウ。
でも、頼れるオトコではあるので、あれこれ訊ねる。
すべきことは特になし。いやはや恐れ入りました、とおとなしくしてるしかない。と。
そこらを出歩くについては、規制はないけど公衆衛生上控えるべき。と。
特に僕の職業上、2-3週間は休むべきでしょう。と。
薬(ロキソニンとトラネキサム酸とアモキシシリン)を10日分処方するから取りにおいで、奥さんで構わない。と。
酸素飽和度計持ってる? 持ってるのね? もし90切ったらすぐ救急車呼んで。と。
つーことで方針は決定。
料理長に電話する。
—フーン。ま、事情はわかったよ。差し当たり治すことだけ考えてりゃいいよ。店のドルチェはティラミスとパンナコッタ順繰りに出して誤魔化しとくからまあ心配すんな。
とヤケに心配になるようなことを言っていた。
でも、ありがとう。
妻が素早く自分の勤め先に2週間の休暇申請をしていた。
そばにいてくれるのは心丈夫なことだが、うつしゃしないか、とやや不安になる。
あ、この時点で妻も検査してみたけど、まったくのシロ、陰性、ハズレ。
このちっさい家に2人で住んでて、妻には感染らず。最後まで感染らず。このフシギはなんだ?
そうそう、ワクチン接種は僕は4回。妻も4回です。
発熱はいちばん高い時で39.2度。
ただね、熱よりなにより、喉の痛みがね、もうね。いやまあ、痛いの痛くないのって。未だかつて経験したことのない痛みよ。
剣山とか毬栗で、喉の粘膜をざりざりざりっと引っ掻かれているようでした、何か飲み込もうとするたびに。
痛くて唾液が飲み込めないので、ベッドの枕元に洗面器を置いて、それに唾液を吐き出してた。一杯に溜まった唾液を洗面所で洗いつつ、なぜに人はこれほど大量の唾液を生成する必要があるのだろうか、と思いましたね。いや汚い話で失礼。
あとね、吐き気。
もとより喉の痛みでほとんど食べられなかったんですが、なんにも食べないってのもさすがにヤバいだろう、てんでヨーグルトやアイスクリームを無理矢理食べてた。けど、少しでもお腹になにか入ると、んもう堪え難い吐き気が襲ってきて。身体を二つ折りにしてゲヨゲヨ戻してた。
食べちゃ戻し食べちゃ戻し、の繰り返し。戻す時がまた痛いんだ、喉がね。いや汚い話で失礼。
で、まぁ1週間ほどして。熱も下がり、喉の痛みも吐き気もおさまり。
本来ならやれ嬉しや、となる場面ですが、そうはうまくいかないのがCovid-19君の厄介なトコロ。
コロナ後遺症ですね。
「味 覚 障 害」。
匂い、まったく感じない。匂いがないから当然味もまったく感じない。
もんのすごくショックでした。
僕は調理師なので、味が判らないということは、死の宣告に等しい。
目の前真っ暗になりました。
かろうじて、本当にかろうじて、甘い・塩っぱい・酸っぱい、なんかが判る程度。
恐怖だ。ただただ恐怖でしかない。
妻に話してみる
というか、弱音を吐かせてもらう。
——オレの取り柄ってさ、舌だけなのよ。鋭い舌だけを武器にここまでやってきたのに……。どうすればいい? 味覚が元に戻らなかったらどうしよう……。
—そうなったらそうなった時でしょう? そうなった時にあらためて落ち込みなさい。元々60で辞めるつもりなんでしょう? 少し早まるだけじゃん。それに経営の仕事だけならできんじゃないの?
ま、それもそうだなあ……。この先ずっと、匂いと味を失った人生を歩むのは、文字通り味のないモンだろうが、まあ、確かにそうなったらそうなった時、だ。
ほんの少しだけだが、気が軽くなる。
前述の医師の友人に電話してみる。
—ああ、味覚障害ね。出るねそれ大概。でも治ると思う自然に。80-90%の割合で治るね。ま、10-20%に当たらないとも限らないけどね、ハハハ。亜鉛ね、亜鉛のサプリ。飲むと治りが早いとか早くないとか言われてるね。処方? ドラッグストアで買った方が早いよ、めっちゃ安いし。
とのこと。なんだかフンワリとしたことしか言わないのだ。
ったくこのヤロウ。絶対に治る、って言えや、ウソでも。
亜鉛サプリメントを買ってきてもらう。確かに安かった。1ヶ月分が200円しなかった。
さっそく飲んでみる。
って、飲んでみたところで、立ち所になにか変化が起こるワケはないのだ。
それでも律儀に毎日亜鉛飲みつつ、じりじりと、かつ鬱鬱と日々を過ごした。
で、ある日。
朝起きて、日課の猫たちのトイレ掃除をしていた。
あれ? クサい? んん……? やっぱクサいや。うん。臭いぞ!
台所にいた妻に大声で知らせる。
——ねえねえ! よぉ! 臭いよ、このウンチ! 臭ェんだよォ!! アハハ。アハハハハ!!
匂いと味を失って、10日目のことでした。
嗅覚、復活しました。復活して最初に嗅いだのは、猫たちのウンチの匂いでしたよ。
でまあ、匂いが戻れば、自然、味も次第次第に戻ってくる仕組みなワケで。
現在、僕の味覚はすっかり元通りになっています。舌の鋭さは元のまんま!!
ハイ、まぁ、そんなこんなで。
こういうことがありました。とさ。
仕事は11/5から。
なにもなかったかのように、シレッと出勤するつもりです。
新型コロナ感染症は、一般的な感冒とは一味も二味も違います。間違いなく。
流行が落ち着いたんでも、弱毒化したんでもないです。あなたが罹ってないのはたまたま、なのかもしれないよ。
僕は不幸中の幸いで、本症状も後遺症も軽めで済んだ、ということなのでしょう。これとて、たまたま、でしょう。
数年前にコロナ禍が始まるそのずっとずっと前から、僕は職業柄、マスクを着ける習慣があって、手指消毒も普段から呆れるほどにしてた。けど感染した。これはたまたまなのかどうなのか。
一方で、感染者(僕ね)の明らかな濃厚接触者(妻ね)であるのに、ぜんぜん感染らない人もいたり。これもたまたまなのか知ら。ほんと、なんなんだアイツは。
てなワケで。
皆様、未だ我等は渦中に居るものと心得べし。くれぐれもくれぐれも、御注意召されるがよろしいかと、斯様に思う次第であります。
おしまい