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「学費タダ(同然)だからドイツ留学しよう」は本当にオススメなのか?

ドイツの大学とイギリスの大学院を卒業したボンド@EU_Kummerspeckと申します。

Twitterで、「みんなドイツの大学へ行こう!学費は無料だし、ドイツ語も不要で、英語のみで卒業出来るよ!」という投稿が、時折目に入ります。
個人的な見解ですが、上記の内容にやや引っ掛かる部分があり書きました。

【まず最初に結論から】

・ドイツ語で正規の授業を受けるならアリ
・英語専用のコースを受けるなら(基本)ナシ

【英語コースでもOKな人】

・日本の大学進学すら経済的に厳しいので、止むを得ず
・『大卒』という肩書きさえ手に入ればOK
・卒業後は帰国して、日本で働きたい
・就職はせず、フリーランス、自営で生きるつもり

【英語コースだとNGな人】

・卒業後は海外で就職したい(可能ならドイツ語圏)

【英語コースが基本ナシな理由】

「ドイツの大学を卒業しました!」という肩書きで勝負するのに、ドイツ語が出来ないのは論外です。英語は“出来て当たり前の言語”なので特別武器にもなりませんし、そもそも英語が出来る人材が欲しいのであれば、英語圏出身の人間や、英語圏へ留学していた人間を採ればいいだけの話。

仮にですが、日本に“中国語のみで卒業出来る大学”があったとしましょう。
その大学を出た中国人留学生のA君は、日本語が出来ません。4年間で簡単な会話は覚えましたが、とても仕事で通用するレベルではありません。

日本の企業の立場ですと
「日本で仕事するのに日本語出来ないんじゃ困るなあ」
中国の企業の立場ですと
「中国語しか出来ないなら、その他大勢と何一つ変わらん」

という話ですよね。日本をドイツに、中国を英語に置換するだけです。

【アリな人の解説】

散々書いてきましたけど、高校卒業時点でドイツ語のレベルがB2以上。
つまり大学入学許可がおりるレベルの人は、日本ではそう多くないでしょう。

・経済事情
ドイツの大学と日本の大学を比較すると、学費+生活費で考えた場合にドイツの方が安くなります。都心部の私大はもちろんのこと、田舎の国公立に通うと仮定しても、それでもまだドイツの方が安いです。「特に行きたい訳じゃないけど、他に行けるところが無い!」…アリです
・大卒という肩書き目当て
そもそも何か学びたい事がある訳でも無いし、本音を言えば大学なんて行きたくない。けど、このご時世高卒ってのはなーと渋々通うので、少しでも費用は安くしたいし、費用対効果を上げたい…まあアリでしょう
・日本で働く勢
日本で働く場合、ドイツという枠組みを超えて「海外の大学を出た」になります。ドイツ語圏や海外で就職するにはドイツ語が無いと…と書きましたが、日本では英語が出来るだけでも立派な武器になります。可能なら英語圏の大学に行きたかったけど、アメリカやイギリスは勿論、アイルランドやニュージーランドでも学費が高いので「もう非英語圏でもいいや」…アリ。
・就職しない勢
そもそも面接も採用もなく、自分で仕事するなら学歴すら本来関係ありません。高卒でもいいわけです。どの国で何語で履修したとか関係ない。アリ。

【結局何が言いたかったのか】

「英語のみでドイツの大学を卒業できる」
までなら事実ですし結構なのですが、
「卒業後は海外で活躍しよう」
はちょっと良く言い過ぎではないか?と。

ドイツの大学を英語で済ませるという事は、大袈裟に言うと「私はドイツやドイツ語に関心が無く、ただ英語でもOKって理由だけでここにいるんです。もし同じ価格なら、ドイツなんて目もくれずイギリス選んでます」と主張しているようなもの。寧ろドイツ語圏での就職では「なぜドイツ語が出来ないの?」と訊かれ、よりハードルが上がるのではないでしょうか?

twitterでも時々仕事の事を書くのですが。私は以前、仕事でスイスのチューリッヒに短期間ではありますが身を置いておりました。正直、英語だけでも業務を遂行する事は100%ではないものの可能な環境だったと思います。

それでも、ドイツ語やフランス語が出来ない人は殆どいませんでした。
本社がアメリカにあって、世界中に支社があって共通言語が英語だろうと。
現地語が出来ない人間は原則不要なんです。唯一の例外として、既に上のポジションにいるアメリカ人の出向お飾り上司なんかは英語しか出来ませんでしたが…私が知っているのはその人一人だけです。

私の勝手な解釈にはなりますが、「ドイツに留学したい」と思っている人の多くは、そもそも「日本を出て海外で暮らしたい」という目的を持たれている方が多い印象を受けました。もし海外就職や移住までを見据えているのなら、卒業する大学の現地語習得を強くオススメいたします。

【おわりと例外】

本題からは外れますが、現地語が出来なくても構わない…寧ろ英語のみでガンガンやってこうぜ!というケースがあるので一応そちらのフォローを。
それがMBAです。英語圏以外にも著名なMBAはいくつかありますが、そこはもう英語のみで割り切ってやっちゃいましょう。

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国を転々とする重国籍移民。C2級5言語、B2-C1級6言語のマルチお喋りクソ野郎。民間を経て、欧州委員会下位機関と欧州連合専門機関。Heidelberg→Oxford。ソムリエ、唎酒師、ビアソムリエの酒オタク。西欧人とのバツあり限界三十路です
コメント (2)
現在アメリカのコミカレに通っている者です。ドイツの大学で学士を取得してその後アメリカの大学で修士を取ろうと考えているのですがその場合はボンドさん的にはアリですか?また、ドイツ語の資格なしで大学に入って大学でドイツ語を学ぶ場合の学費は無料でしょうか?それとも別途でしょうか?
はじめまして、Kugaさん。
滅多にログインしないため、コメントに気づかず返信が遅れましたことお詫び申し上げます。

アリかナシかは、『何を基準に判断するか』で異なりますので、現時点で頂いている情報では判断が難しいですね。

仮に、高校生に「資金を自力で捻出しなくてはならないが、金銭的にアリか?」と言われれば、院だけを英語圏で取得するのは費用節約になるので“アリ”とお答えするでしょう。

しかし現時点で、4年生大学の1-2年に相当するコミュカレに通っている方に「アメリカの大学へ編入せず、ドイツの大学で1からやり直したいです」と問われれば、何故アメリカの大学ではダメか?何故アメリカ以外を考えた時にドイツか?という話を聞く必要が出てきます。

最後の学費についての質問ですが、学校による、Kugaさんの扱いによるでしょう。

いずれにせよ

・優先順位/最終的な目標は何か
・何故北米のコミュカレから、北米以外の大学を選ぶのか
・ドイツのどの大学で、何を専攻するつもりなのか

といった情報が無い限りは、お答えする以前に考える事すら厳しい…というのが、正直な回答になります。
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