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ママンの味、マミーのおやつ

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タルト・タタンを作ろう!

タルト・タタンを作ろう!

タルト・タタンは、フランスのサントル・ヴァル・ド・ロワール地方のラモット・ブーヴロンという町の駅前ホテル「ホテル・タタン」で20世紀終わりにこのホテルを営む二人の姉妹の失敗によって作られました。

リンゴのタルトを作ろうとしたら、レストランがあまりにも混雑していたので、一人がタルト型にりんごだけを詰めて焼いてしまいました。その後もう一人が焼き具合を見にくると生地がないことを発見。あわてて生地をかぶ

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人生初めての本は、フランス一周から始まった!

人生初めての本は、フランス一周から始まった!

休みで色々整理していたら、なんと懐かしいノートが。1994年4月から5月とある。

この本の目的は、日本でまだ知られていないフランス地方のお菓子とその背景について書くことだったので、もう一度現状のフランスを見たいと思い、旅を計画。フランス人の友人Isabelleや、今は三ツ星シェフになっているクリスチャン・レスケール、他パティシエたちに資料や本を沢山送ってもらって研究。もうみんなそんなことは覚えて

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淡雪と浮島!?

淡雪と浮島!?

先日フランスお惣菜クラスのデザートで、ウッフ・ア・ラ・ネイジュを作った。言ってみれば淡雪。イル・フロッタントとどう違うんですか?という質問あり。うーん、イル・フロッタントはイル(島)がフロッタント(浮いている)から浮島なのよ。

卵白の大きな塊が液体(アングレーズソース)に浮いているイメージ。どちらもパリのビストロの伝統的なデザートでよく見かける。

でも、日本ではあまり食べたことないかも?初めて

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サヴァラン作ります。何を食べているか言ってごらん。君を当てよう。

サヴァラン作ります。何を食べているか言ってごらん。君を当てよう。

Dis-moi ce que tu manges,je te dirai ce que tu es.何を食べているか言ってごらん。君が何者であるか当てよう。

明日からのベーシッククラスは、サヴァランを作ります。シナモン、丁子、カルバドス風味のシロップ。シロップにお酒混ぜても生地に染み込み量はほんのわずかになってしまうので後でかけますが。当てよう、の名言を収めたBrillat Savarinの著書

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紙袋に入れるだけ!フランスのガレットデロワ。

紙袋に入れるだけ!フランスのガレットデロワ。

本日、1月6日はエピファニー(公現祭=なぜ、この日本語かというと、キリストが公に現れた日だから)。

たいそうな方がお生まれになったというので、東方からメルシオール、バルタザール、ガスパールの3人の聖人(賢者、王とも呼ばれている)が、おみやげの黄金、ミルラ(没薬=アフリカの樹木から採取する薬あるいは遺体の防腐処理に使用)、乳香(東アフリカの木の樹脂=水蒸気蒸留を経て香水として使われる)を携えてベツ

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フランス、砂糖熱狂時代とラム酒菓子誕生秘話。

フランス、砂糖熱狂時代とラム酒菓子誕生秘話。

フランス、ロワール地方の主都ナントの銘菓「ガトー・ナンテ」を作りました。アーモンド主体の円形のラム風味の生地にこれまたラム酒をたっぷり効かせたグラサージュがほどこされたお菓子です。しっとりと柔らかく、お酒たっぷり。大好きな地方菓子の一つです!

これがなぜナントを代表するお菓子になったのか?
ナントはかつてボルドー、ルアーブルとともにフランスを代表する貿易港でした。16世紀以降、ヨーロッパの列強は

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シュー菓子に見る、フランス菓子の発展の仕方。

シュー菓子に見る、フランス菓子の発展の仕方。

久しぶりにクッキーシューを作った。上にかぶせる生地の配合は、粉10としたら、バター5,砂糖5のいわゆるスタンダードなシュクレ生地である。

今フランスで流行っている日本のクッキーシューのまねっこ(だって日本のそれのほうが早くから作られていたから)の上にかぶせる生地は、クラックランと呼ばれ、バターと砂糖が粉の8割入る。したがって、一度冷凍して半解凍状態で素早くくりぬいてさっとシューに乗せないと
溶け

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チョコレートムース。チョコレートと生クリーム、混ぜる時の絶妙な温度帯

チョコレートムース。チョコレートと生クリーム、混ぜる時の絶妙な温度帯

検証。簡単で美味しいチョコレートクリームは、シャンティーショコラです!軽くて飽きない。

チョコレートと生クリームだけで作るんですが、合わせる温度帯にコツが。チョコレートが熱すぎると、生クリームが溶けてしまうし、温度が低すぎると、生と混ぜた時、チップスになり固まります。 

両者を混ぜるときのベスト温度を温度計で確認してみました。

生は一度立てて、冷蔵庫に入れてから使用。この時の温度は10℃でし

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フランに凝縮されるフランス人のお菓子感

フランに凝縮されるフランス人のお菓子感

フランという言葉はフランスの古語で円盤状の金属を表すそうで、なんと、私が人生で最初に見たフランなるお菓子がまさにそのイメージ。
あれは30年前のノンノかアンアンか。フランス人らしき人が作っているのでですが、型は金属がいいです、ということで直接型にフラン生地を流して焼くというレシピ。人って最初に見たイメージが頭に叩き込まれるから、フランス行ったら、あらら、いろんなフランがあるのね、と驚き。だから教室

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当初はパリでも知られていなかったタルトタタン

当初はパリでも知られていなかったタルトタタン

ホテル・タタンのオーナーはタタン家から数回代わり、タルト・タタンが有名になった1900年初めにはすでにMme.Marcelマダム・マルセルという女性がオーナーになっていました。でもタルト・タタンは作り続けられていたのですね。それをCurnonskyキュルノンスキー(1872-1956)という当時、地方料理回帰を提唱して、28巻もの「美食フランス」という本を出版していた食評論家が絶賛し、パリでも評判

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タルトタタン、前身はブーランジェ。2人の姉妹は独身だった。

タルトタタン、前身はブーランジェ。2人の姉妹は独身だった。

タルト・タタンは、フランスはCentre-Val-de-Loireサントル・ヴァル・ド・ロワール地方のLa Motte-Beuvronラ・モット・ブーヴロンの駅前ホテル「Hôtel Tatinホテル・タタン」で二人の姉妹によって生まれました。姉妹の名前は、1838年に生まれたStéphanie Marie Tatinと1847年に生まれたGeneviève Caroline Tatin. 彼女たち

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衝撃的だったあの味を目指して20年後に私がすること

衝撃的だったあの味を目指して20年後に私がすること

それは衝撃的な一口でした。30年前、三ツ星だった(今もだけど)パリのランブロワジー(あのグランメゾン東京第一回の放映でキムタクが修業したいと尋ねたレストラン)で研修していたときのこと、当時はパリのお菓子といったら気合入った何層ものムースが流行っていて、とにかくパーツが多かった。そんな中、このレストランのデセールは、基本的に本当にシンプル。ソースもない。その中のガレット・ブレッサンヌと呼ばれていたお

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今こそ全国民に知ってもらいたいガレットデロワのこと。

今こそ全国民に知ってもらいたいガレットデロワのこと。

今こそ全国民に知ってもらいたい、意外とまだ知られていないGalette des Roisのことと、私が選んだフランスガレット3作品2019-2021。

1. 本来は、1/6の公現節にいただきます。キリストはクリスマスに生まれたことになっているけど、その時は誰も知らなかった。東方から来た3人の賢者(聖人。王とも呼ばれている)によってこの日初めて世の中に知らされた。なので、公に現れたと書きます。

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マロングラッセ黄金の法則

マロングラッセ黄金の法則

マロングラッセ、作り手と食べ手の黄金の法則

1. グラサージュは食べた時に感じないくらい薄く。

2.カット時に中までシロップが染み込んで柔らかいこと。

3.保存は冷蔵。10℃から15℃。

栗の加工品は、アルデッシュやマルセイユの工場のものが有名。パリで売っているマロン・グラッセはだいたいこの辺から来ている。

そうそう、村上開進堂の創業者、日本で初めてシュークリームを作った人の一人と言われ

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