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らむね。紙芝居シアター「いつもと一緒がいちばん」

今日は土曜日だけど、配信は無いようです。この作品は、今日、読むつもりだった作品です。来週、配信があるようでしたら、これを読む予定♪

ある日、窓の外を見ていたら、小鳥たちが集会をしていて、思いついたお話です。

「いつもと一緒がいちばん」

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ある日、リス君は、雲一つない澄んだ青空を眺めていました。

リス君「今日も、いいお天気。午後は、いつもの公園に行って、いつもの3人でおやつを食べたり、おしゃべりをしたり、鬼ごっこをしたりして。そして、夜になったら、お風呂に入って、いつもどおり寝るんだ。毎日、同じだなぁー。なんとなく、つまんないなぁー。」

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ふと木の枝を見ると、1羽の鳥がやってきました。鳥は、リス君と目が合ってから、どこかへ飛び立ちました。

リス君「鳥さんはいいなー。羽があるから、いつでも自由に飛び回ることができるもんね。毎日同じ繰り返しなんて、つまんない!全く違う場所に、冒険に行きたいなー。でもきっとウサギちゃんが、「危ないからダメ」って言うだろうなー。うーん。そうだ!たまには一人でお出かけしてみよう!」

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リス君は、いつもの公園と反対方向へ歩き出しました。

リス君「そういえば、ここから先は行ったことがないなー。なんだか、わくわくしてきたー!」

久しぶりの冒険に、わくわくが止まらないリス君。初めて歩く道をどんどん進んでいきました。

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リス君「あ!あそこにいるのはもしかして、さっきの鳥さんかな?」

リス君は、鳥を追いかけて走って行きました。

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気がつくと、不思議な場所にいました。見たことのない木。見たことのない花。見たことのないキノコ。

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リス君「あれぇ?ここ、どこかなぁ?きっと、あの鳥さんなら、ここがどこなのか知ってるよね!聞いてみよう!」

でも、あの鳥はどこかに飛んでいってしまったのか、見当たりません。

リス君「鳥さんがいなーい。どうしよう。困ったなぁ・・・」

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キノコ「あはははははは!愉快だなぁー!ん?おまえさん、誰だい?」

リス君「え?キノコがしゃべった!」

キノコ「え?キノコがしゃべるなんて、当たり前じゃないか!あははははは!変な子だねぇ」

リス君「そうなんだ!ぼく、しゃべるキノコさんには初めて会ったよ。ね、ここはどこ?ぼく、鳥さんを追いかけているうちに、ここに来ちゃったんだ」

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花「おほほほ。今日も、愉快、愉快。おや、知らない顔だねぇ」

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木「むふふ、むふふ。愉快じゃなぁ。おや、お客さんかい?」

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リス君「わ!お花や木もしゃべるんだ!こんにちは!リス君だよ。鳥さんを追いかけているうちに、ここに来ちゃった!」

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キノコ「リス君、ここは、『愉快な国』だよ。愉快な仲間たちがたくさんいるよ。せっかく来たんだから、自由に遊んでおいで。あははははは」

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花「おほほほほ。心から愉快になったら、その場所に立ち止まって、しばらく座っていると、もっと愉快になれるわよ」

リス君「そうなんだ!それは楽しそうだねぇ。じゃ、行ってくるよ!」

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木「むふふ。リス君は、どんな『愉快な仲間』になるのかのぉ?」

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リス君がどんどん進んでいくと、あちこちから愉快な笑い声が聞こえてきました。石、どんぐりの実、葉っぱ、大きな木、小さな木、可愛い花、綺麗な花、いろいろな色のキノコ。動かないと思っていたもの全てが笑っています。

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リス君「すごいなぁ!ここでは、みんな笑ってる!ぼくもなんだか、楽しくなってきたなー」

リス君はすっかり楽しくなって、笑いながら歩いていきました。

リス君「みんな!こんにちは!リス君だよぉー!わははははー」

みんなも笑って『こんにちは!』と言ってくれます。

リス君「ちょっと歩き疲れちゃったなぁ」

リス君は不思議な形の花の隣りに座りました。その花は眠っています。リス君もだんだん、眠くなってきてうとうと眠り始めました。

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花「うふふふふ、うふふふふふ」

楽しそうな笑い声に、リス君が目を覚ましました。

花「あら、起きたのね?うふふふふ、愉快ねぇ!新しい仲間が増えるのって、とっても嬉しくて愉快!うふふふふふふふ!」

リス君「そうだよね!新しいお友だちができるって、嬉しいよね!あれ?」

リス君は、花に近づこうとしましたが、なぜだか近づくことができません。リス君は自分の足下を見ました。

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リス君「え・・・?」

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なんと、リス君の腰から下が、緑色になって、まるで、お隣の花の根っこのようになっていました。

リス君「ど、ど、どういうこと?」

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花「おめでとう!あなたも花になれるのよ!うふふふふふふ!これからここで、ずーっとずーっと、愉快に笑ったり、寝たり、楽しく過ごしていきましょうね!」

リス君「えーーーーーーーー!!!??」

リス君はビックリ!でも、どうにもこうにも、動くことができません。

リス君「ぼく、ずっとここから動くことができないの?」

花「そうよ!うふふふふふ!愉快でしょ?毎日、幸せよ~」

リス君「そ、そ、そんな・・・」

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チュンチュン。鳥の声が聞こえてきたので、リス君は空を見上げました。大きな木の枝に、あの鳥がいました。

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1羽だった鳥のまわりに、もう1羽、もう1羽と集まってきて、たくさんの鳥たちが楽しそうにさえずりながら、木の実をつついています。

そのうち、おなかがいっぱいになった鳥たちは、それぞれ、いろいろな方向に飛び立っていきました。

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花「うふふふふふ!私たちは、何も食べなくても生きていけるんだけど、あの鳥さんたちは、自分でごはんを見つけなくちゃいけないから、大変ねぇ」

リス君「ぼくも、ごはんを食べないと生きていけないよぉ」

花「大丈夫!あなたも完全に花になれたら、なにも食べなくても生きていけるようになるわ!うふふふふふふ!とっても愉快でしょ?」

リス君「いやだよぉ!ずっと動けないなんて。なにも食べることができないなんて、それに、ウサギちゃんやタヌキ君や、パパ、ママ、森のみんなに会えなくなるなんて!嫌だよぉーーーーーーー!!!」

花「でも、森に帰っても、また同じことの繰り返しよ。つまんないんでしょ?ここにいると、毎日愉快になれるわよ」

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リス君「いやだぁーーーーー!!帰りたいよぉーーーーーー!」

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タヌキ君「リスくぅ~ん、公園に行こうよぉ~」

タヌキ君の声で、リス君はパッと目を開けました。リス君は、自分の部屋の窓辺にいました。

リス君「あ、あ、あ、あ、あ、足がある!ぼく、足があるよ!動けるよ!」

タヌキ君「えぇ?どうしたの?そんなの、当たり前だよぉ」

リス君「タヌキ君、会いたかったよぉーーーーー!!!」

タヌキ君「え?どうしたのぉ?」

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それから、いつもの公園に行って、いつもの3人で集まって、いつものようにおやつを食べて、いつものようにおしゃべりをしました。

リス君「いつもと一緒って、幸せだなぁ!」

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おしまい

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