見出し画像

MIOびわこ滋賀vsFC今治

 2-1で久々の勝利

   坂本
原口 嘉茂 黒石
  小山角田
菅谷浦島大杉西口
   森    というぐあいか

 強風下で風下スタートのMIO。シンプルに長めのボールで裏を狙う入り方となった。今治はGKが高い位置をとり、丁寧に組み立てようとする。そこに坂本選手をはじめ、積極的にプレッシャーをかけていく、昨年ホーム戦と似たような展開となった。前線からの圧力が今治のボールの出しどころを制限、縦に入っても浦島、角田選手あたりがしっかりはじき、主導権を握らせない。両サイドも原口、黒石選手が引くときはしっかり引いてスペースを埋める。CBが引き出されたズレは西口選手が絞って的確にカバーした。
 今治の守備は「球際にガツガツ」というスタイルではないため、ボールをおさめれば時間と選択肢を比較的持てるケースが増え始め、次第にMIOがサイド隅まで侵入、クロスを上げられるようになる。優位を占めつつある流れから34分、ふわりとDFを越すボールに、裏へ抜け出した嘉茂選手が高い位置のGKと1対1となり、GKの頭越しのループシュートで先制した。
 後半も同様の展開でスタート。序盤に高い位置でひっかけ、嘉茂-坂本選手と中央を突破し、駆け上がった小山選手が決定的な位置でシュートを放つも枠の外。しかし今治は前半はあまりなかった、SBを積極的に加えた攻撃を展開し始める。引いて構えるMIOは幾度かチャンスを作られかけるも、シュートコースを限定するなどしてブロックを続ける。
 それでも右SBの元日本代表駒野選手のクロスの質は素晴らしく、ヒヤリとする時間帯が続く。久保選手を投入しGKへの圧力を高めて対抗する。しかし80分ごろ、右サイドから左に流れたボールが駒野選手に流れ、シュートが当たったかなんかしてコースが変わり、追いつかれてしまう。終盤には松田選手や関口選手を投入。左サイドを中心に再び前への推進力を高める。アディショナルタイム、久保選手が左サイドから中央に切り込んでいくと、DFのギャップに坂本選手が飛び出し、足もとにボールが届く。坂本選手がワンタッチから押し込み、決勝点となった。

 劇的ゴールに感極まった。さすがは坂本選手、という完璧な抜け出しとシュートだった。時間も時間、切れ込んでいく久保選手に視線が釘付けで、突然坂本選手の後ろ姿が視界に飛び込んできた。えっ、と驚いたが、同時に「決まった!」とゴールを確信した。この試合では、守備や組み立てに奔走していた印象があったが、最後の最後、ここぞという局面で一発で仕留めるのは、これぞ頼れるエースストライカー、という勇姿だった。
 先制点の嘉茂選手も飛び出しの時点で勝負あり。落ち着いて決めた先制点がどれだけ試合を楽にしてくれたことか。守備も含めて大仕事だった。
 
 全体の展開では、昨年ホーム戦同様、前線からの守備と、DF陣の的確なカバーが「ハマった」という印象だ。全ての選手が絶賛モノの出来だったが、個人的には中に絞った時の守備が絶品だった西口選手、相手の出足に上手く蓋をしていった角田選手が、守備の鍵を握っていたように思う。角田選手は派手さはないものの、機動を特長とする小山選手とはいいコンビ、と感じた。CB系統の選手を5人ピッチにそろえた中口監督の采配の勝利でもあるだろう。

 MIOファンとして本当に「最高の試合」だったが、やはり今治との相性のよさ、はあるように思う。MIOファンの私目線でみると、今治はガツガツくるでもなく、攻撃でも強引にくるでもなく、あまり怖さはなかった。ただこのやり方で2位に付けていたチーム。一方のMIOはなんとか中位を窺えたら、という順位。今治はMIOが勝てないチームにあっさり勝っていたりするわけで、つくづく相性だな、と感じる。勝ち点からみても、今治はいまは調子が下降気味とはいえ、今季4位以内が有力。4強クラブに勝ち越す、というのは上を目指していく上で避けて通れない道なので、今回の勝利を自信にしてほしい。
 この試合は駒野選手を観るのが密かな楽しみだった。全盛期ほどの運動量やスピードではないのかもしれないが、W杯16強チームのレギュラー右SBだった高精度のクロスは健在。あれを滋賀で間近に観られる、というのは実は結構贅沢なことなのではないか。ガンバの中盤を支えた橋本選手もいたし、ありがとう今治さん、という思いも確かにあった試合だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?