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「スズメウリとリャマの置物」     えとふみギャラリー No.9

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                          (↑ 油彩 F0号)

グラスに入ったこの実は、ちょっと美味しそうだが毒があるので食べられないらしい。正式にはオキナワスズメウリというウリ科の植物の実で、南方の沖縄方面育ちだ。身近によく見られるオレンジ色のカラスウリと仲間である。

友人がこのスズメウリが大好きで、毎年苗を購入して育てていたのだが、昨年は自然に落ちた実から芽を出し、夏にかけて盛大に繁茂して、秋にはたくさんの実を付けたとか。
実を付けると葉は枯れてしまうので、実をつけたままの蔓を切って、秋口に我家にも蔓付スズメウリを届けてくれた。

大きさはウズラの卵と鶏の卵の中間位。実は鮮やかな緑に白い縦線がくっきりある。面白いのは、その線は人が太めのサインペンで描いたイラスト線のようなポップ感があり、しかも実それぞれに個性があるのだ。まるで造り物のようだ。私は蔓についたまま、絵の額にぶら下げたり、クルクル巻いて大きめのガラスの容器に入れて見て楽しむ。

しばらくすると、実の白い縦線はそのまま変わらないのだが、実自体の色がポツポツと変わりだした。緑色から黄色、やがてオレンジ色から真っ赤、そして茶色になる。色の変化のスタートが個々に違うので、緑一色だったのがいろいろな色になって混在する様は実に楽しい。

飾っている室温にもよるのかもしれないが、我家の部屋は陽が入らず適度に寒いので、色の変化の速度は友人宅とは違ってゆっくりのようで、年が明けてもまだまだ楽しめる。

3月に入るとほとんど実は次々と色も褪せて、中に固い種を包んで萎んでしまった。あと残りの5個程が真っ赤に白い線のポップな姿を見せているが、それは丁度、公園で大勢の子供たちが賑やかに遊んでいたのに、夕暮れ時になると一人二人といなくなった時みたいに、ちょっと寂しい。

こんなにも長い時間、私を楽しませてくれてありがとう、スズメウリに感謝。今年もまた会えるといいね。


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