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「フラワーデモ」の1年間を記録した本を出します。

フラワーデモとは、2019年3月に続いた性暴力事件の無罪判決をきっかけに、性暴力の不当判決・性暴力に抗議するため、作家・北原みのりさんと、私、エトセトラブックス代表の松尾などが呼びかけ、2019年4月11日に東京・大阪ではじまった運動です。

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今だから一応はこのように紹介できますが、1年前、「花を持って集まりましょう」とはじめてTwitterで発信したときには「フラワーデモ」という名前すらありませんでした。
私たちは、あの4件の無罪判決に憤っていました。娘が実父から性的虐待に遭い、あるいはサークルと称した飲み会やコンビニの帰りに女性たちが性的暴行に遭ったのに、この社会は加害者を無罪にし、被害者を守らない。怒りを、その社会に見える形で叫びたい。
同時に、あの判決を不当だと抗議する女性たちに対して、法曹会の一部から発せられた「(法律を知らない素人が)無罪判決を批判するな」「人権は無視するのか」という威圧的な声への危機感もありました。自分たちは怒ってはいけないのかもしれない、噴き上がった怒りが萎縮「させられる」のを感じました。でも今回は絶対に黙りたくなかった。だから、とにかく集まろうと呼びかけました。

あの4月11日、東京駅・行幸通りに500人を超える女性が集まりました(当初自分たちで数えて400人と発表したのですが、当日取材してくれたジャーナリストの方から500人は軽く越えてたよ、と教わりました)。
翌月、5月に福岡や千葉でも開催したいと地元の女性から連絡があり、6月は11都市に増え……フラワーデモはどんどん全国に広がり、1年でのべ1万人超が参加し、47すべての都道府県で声があがりました。
私たちはHPに「主催希望の方は連絡ください」と記載していただけです。すべての主催地が、自分たちもやりたいと連絡をくれました。当初はまったく予想していなかったことです。

これもまったく予想していなかったことに、参加者が自らの性被害を語り出し、これまで社会が耳をふさいできた声が溢れました。フラワーデモは、性暴力にまつわる刑法改正を訴える場所でもありました。それぞれの地域で長年、運動や支援活動をされてきた女性たちと若い世代が結びつき、さらに全国で連帯できた場でもありました。

そして、東京や名古屋などの都市だけでなく、本当にたくさんの女性記者たちがそれぞれの地元の新聞に記事を書き、また、WEBやTVニュースとしてフラワーデモを報道してくれて、一緒に世論をつくってるんだと感じていました。昨年12 月に伊藤詩織さんが性的暴行を訴えた民事訴訟で勝訴。今年3月12日にはフラワーデモのきっかけのひとつとなった、実父から娘へのレイプ事件が名古屋高裁で逆転有罪となりました。私たちの声はたしかに届いたのだと思います。

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しかし、前述の名古屋の事件はその後上告されました。父親から娘へのレイプが、レイプの行為自体は認められているのにもかかわらず、それが罪となるかどうか最高裁で争われないといけないってどういう地獄だろうと思いますが、これが日本社会の現実です。

フラワーデモは一年目を迎える3月で全国一斉開催には一旦区切りを迎えましたが、これからも続きます。全然終われませんでした。今後しばらくは、毎月11日には必ず全国のどこかでフラワーデモが開催しているという形で続けていきます。刑法改正の見直しの重要なタイミングである今年、刑法改正も引き続き、性犯罪刑法の改正を求める被害者当事者団体Springとともに訴えていきます。
……長々と書いてきましたが、実は、フラワーデモのこの1年がなんだったのか、私にもまだわかっていないのです。だからこそ、今後続けていくためにも、かかわった人たちで記録を残したいと思いました。

書誌ページはこちらです。ちょうど1周年の4/11発売、既刊同様、全国書店で発売されます。

表1_フラワーデモ

ここまでお読みいただきありがとうございました。
自分がこの運動に関わっているため、到底、冷静にはアナウンスできません。もっというなら、この本の編集は、全国の主催者や連帯してきた専門家の皆さんから原稿が届くたびにずっと泣きっぱなしでした。しかし、これまでの本だって別に冷静に告知したわけでも、冷静に編集したわけでもなかったな! と自分にOKを出しました。

昨日、全国書店にDMを出し、注文が入りはじめています。正直いえば、フェミマガジン「エトセトラ」をはじめとする既刊と比べて注文の出足は遅いです。でも、これまで取引のなかった地方の書店から1冊、2冊と注文ファクスが届き、あるいは、これまで弊社を応援してくださった書店からいつもの倍の冊数で注文が入り、また逐一泣きそうになっています。

まずは、フラワーデモに現場やSNSで参加してくださった、皆さまの手元に届きますように。そして、フラワーデモを知らない方にも。この1年、デモに対して色々な批判もありました。真摯に受け止めましたが、その度に、一度この場に来て欲しいと思っていました。今後もその気持ちは変わりませんし、同じく「この本を読んで欲しい」と願います。

*この本の利益はすべて、今後のフラワーデモおよび、性犯罪刑法の改正を求める被害者当事者団体Springの活動に充てられます。


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