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イベントレポート「We Love 田嶋陽子フォーエバー!」『エトセトラVol.2』創刊記念トークイベント(本屋B&B)


2020年2月9日、本屋B&Bにて『エトセトラVOL.2』刊行記念トークイベント「We Love 田嶋陽子フォーエバー!」が行われました。登壇者は『エトセトラVOL.2』に書評エッセイを寄稿くださった伊藤春奈さん、王谷晶さん、堀越英美さん、責任編集の山内マリコさん、柚木麻子さんの総勢5名(壮観!)、司会はエトセトラブックスの松尾。おかげさまで満員御礼、盛会となりました。

「フェミニズムをやるのは女性蔑視を内面化したくなかったから」——堀越英美さん

まずは書評エッセイ執筆者の3人に、田嶋陽子さんの著書についてお話しいただきました。実はこの中で、以前から田嶋さんの本を読んでいたのは堀越さんのみ。王谷さん、伊藤さんは思いがけない執筆依頼に驚いたそうです。対して、数年前から田嶋さんに注目し、Twitterで発信していた堀越さん。『エトセトラ』で田嶋さんを特集すると知って、「自分に依頼が来るよう」念を送っていたのだとか(笑)。
それを聞いた柚木さん「だからあんなにキレッキレの原稿だったんですね!」

とはいえ堀越さんも、昔は「私は〈女〉みたいなことはやらないぞ」と思っていたのだそう。いつもイライラしていた母の姿を見て、「おばさんというものは不満げでつまらなさそう、それなのにおじさんは楽しそう……」と感じていたから。
そんな考えが変わったのは、インターネットで出会った女性たち。最近話題の「インターネット老人会婦人部」について触れつつ、ネット黎明期の女性たちについてお話しされました。彼女たちの影響で女性の書いたものを読み出した堀越さんは、酒井順子さん『負け犬の遠吠え』を読み、母たちが抱えていた抑圧は「これだったのか!」と思ったそうです。
「フェミニズムをやるのは、田嶋さんがそうであるように、刷り込まれてきた女性蔑視を内面化したくなかったから。これが一番の理由」と語ってくれました。

「片目をつぶっていた部分を突きつけられた」——王谷晶さん

実は王谷さんも「インターネット老人会婦人部」出身。10代の頃からレズビアンの自覚があった王谷さんは、フェミニズムは「自分には関係ない。私はそこからドロップアウトして生きているんだ」と思っていたそうです。ところが社会に出るとバイト先の店長にセクハラされたり、痴漢被害に遭ったり。それに対して「自分が女だから」という以外の理由が見つからなかったといいます。

そんな王谷さんにとってインターネットは自分を表現する場でした。ところが当時は「おもしろいものは男しかつくれないんだ」「女がやることはおもしろくない」という雰囲気だった。この頃の体験が王谷さんがフェミニズムに目覚めるきっかけとなったのだそう。

王谷さんは今回はじめて田嶋さんの著作『フィルムの中の女たち』を読んでモヤモヤしていたものがはっきりと書かれていることに衝撃を受けたそうです。「片目をつぶっていた部分を突きつけられた気がしました」と話してくれました。

「女性が力を持っていると思っていた」——伊藤春奈さん

伊藤さんが田嶋さんを認識したのは、田嶋さんが政治家だった頃。テレビで姿は見ていたけど、それまでは「おもしろいおばさん」という印象だったそうです。
「30年ぐらい前のテレビって、おもしろいおばさんがたくさん出てたと思うんです」と語る伊藤さん。塩沢ときさん、小森のおばちゃま、淡谷のり子さん、清川虹子さんの名前を挙げ、伊藤さんにとって田嶋さんはそんなおばちゃんたちと「同じ引き出しに入っていた」と振り返ります。「子どもの頃は、女が力を持っている、自分はいい時代に生まれたんだと思っていました。でも今考えるとそれって一瞬だったんです」

「今っておばさんのロールモデルがいないんですよね」と王谷さんがいうと、「バブルがはじけてから強い女性の席が奪われてしまった。それで気づいたら20年!」と山内さん。
柚木さんは「バブル期のドラマのほうがシスターフッドがあるんですよね」とコメント。

もともと歴史関係のライターをしていた伊藤さん。話題が大相撲の土俵問題になると「この話、おもしろいですか?」と訊ね、それに大きくうなずく登壇者と会場。日本のミソジニーの元祖としての「ケガレ」まで歴史をさかのぼったところで、時間となりました。

エトセトラ02


今回のトークで印象的だったのは、個人の体験が女性の歴史とつながっているという視点。堀越さんは上の世代の女性たちの文章を読むことで母親の抑圧の理由に気づき、伊藤さんはジェンダーを学ぶことで母親の気持ちに気づくようになったそう。王谷さんも「フェミニズムをやるからには歴史の流れを確認しなきゃいけない」と発言。それぞれ自分のフェミニズムを歴史のつらなりの中で見いだしていることがわかりました。田嶋陽子さんの言葉がそれを支えうるものであることも改めて。

田嶋陽子さんに端を発して、女性の歴史、それぞれの考えるフェミニズムまで、話は尽きませんが、『エトセトラVOL.2』関連のイベントはこれでいったんおしまいです。
次号『エトセトラVOL.3』長田杏奈 責任編集「特集:私の/私による/私のための身体」は2020年5月発売予定。またお目にかかりましょう!
(エトセトラ編集部 竹花帯子)

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