
「頑張れ!」は禁句なのか
こんにちは。エデュサポです。
子どもたちに勉強を教える中で、「頑張れ!」という言葉の扱いにすごく悩んだ時期がありました。
頑張っている人に対して「頑張れ!」と言うと、その人がプレッシャーを感じてしまうという話を聞いたのがきっかけだったと思います。
うつ病を患っている人に対して「頑張れ!」と声をかけるのは良くないとも言われています。
私も一時期は、「頑張れ!」を禁句とし、全く使わないようにしていた時期もありました。
しかし、いろいろ考えた結果、その後は「頑張れ」は禁句とはせず、気をつけて使う言葉に分類して使うようにしました。
今回は「頑張れ」という言葉を中心に、私が生徒への声掛けで気をつけていたことをお話します。
私は以前、塾講師の仕事をしていました。集団塾と個別塾で講師と教室長を務め、オンライン教育系の塾運営の仕事をしていた時期もあります。かれこれ20年以上、塾業界で働きました。
これまでの経験を基に考えたことをお話します。最後まで読んでいただき、子どもへの声かけの参考としていただければとても嬉しいです。
「頑張れ!」は命令文ではない
本題に入る前に、うつ病を患っている方に「頑張れ」と声をかけていいかどうかは、お医者さんの言葉に従ってください。
病については命に関わることです。私の考えは1mmも参考になりません。専門家の言うことに従ってください。
ここでは、医学的なことではなく、勉強を一生懸命頑張っている生徒に対しての声掛けのことをお話します。
さて、子どもに「頑張れ!」と声をかける時、あなたはどういった意図でその言葉を発するでしょうか。
多くの場合、「頑張りが足りないよ!もっと頑張りなさいよ!」と、子どもに本当に頑張ってほしくて「頑張れ!」と声をかけているのではないと思います。
意味合いとしては、「あなたのことを応援しいるよ!」ということを相手にわかっていてほしくて「頑張れ!」と声をかけていると思います。私もずっとそうでした。
つまり、「頑張れ!」は命令ではなく応援です。
言葉の力
私は言葉の持つ力を信じています。
言葉は人の行動を変えます。人の生き方を変えることだってあります。思い返せば、「あの時のあの言葉が自分を変えた」という言葉があるのではないでしょうか。
私はARIAという漫画の中に出てくる、「人生に遅すぎるなんてことはありません。思い立ったときが、真っ白なスタートです。」というセリフを読んで、いつでもあきらめずに新しいことに挑戦してみようと思うようになりました。
GUNSLINGER GIRLという漫画の中に出てくる、「良い仕事は全て単純な作業の堅実な積み重ねだ。」というセリフを読んで、仕事への取り組み方が変わりました。
漫画のセリフを例に出しましたが、人生の中で出会ってきた様々な言葉が、私の人生観や価値観を形作ってきました。
同様にして、言葉には人を傷つける力も持っています。しかも、一度発した言葉は決して取り消せません。たとえ、発言した人が「ごめんなさい、今の言葉は取り消します。」と宣言したところで、言われた方の傷は消えません。
私は模擬授業のダメ出しで、「あなたの授業は商品にならない。」と言われたことは恐らく一生忘れませんし、発言した人間のことも一生忘れないと思います。
言葉はいつも正しく伝わらない
言葉の力を信じているからこそ、自分が発する言葉にはいつも注意を払うようにしています。
ましては、多感な子どもたちにかける言葉となればなおさら注意を払う必要があります。
しかし、言葉というのは、自分が伝えたいことをなかなか相手に正しく伝えられません。
ですから、自分がどんなに「あなたのことを応援しているよ!」という意味で「頑張れ!」と声をかけても、生徒には「頑張らないといけないんだ!プレッシャーが重い・・・。」と、捉えられてしまうかもしれません。
言葉を正しく伝えるのは信頼関係
人が会話をしている時、実は言葉そのものよりも、その周辺情報を頼りにコミュニケーションを取っています。
表情や、仕草、声色、姿勢など、非言語的な情報から相手が伝えたいことを感じ取っています。
たとえば、「なんで宿題をやってこなかったの?」という言葉も、表情や声のトーンで意味合いが変わってきます。
怒った顔で、強い口調で聞けば、「あなたが宿題をやってこないからおこです。宿題はきっちり取り組みなさい。」という意味合いになります。優しい顔で、弱い口調で聞けば、「宿題やってないなんて、何かあったの?大丈夫?」という意味合いになります。
そういった非言語的なコミュニケーションの中に「信頼関係」があります。
普段から頭ごなしに生徒に命令をいている先生が「頑張れ!」と言えば、「おまえは頑張りが足りないから怒ってるぞ!もっと気合い入れてやれ!」と、生徒には伝わります。
普段から生徒を応援している先生が「頑張れ!」と言えば、「あなたのことを応援してるよ!」と、生徒には伝わります。
普段子どもたちにどのように接しているかが大切です。言葉が正しく伝わっていないなと感じた時は、言葉を尽くすことも大切ですが、普段の子どもたちとの接し方を考える必要があります。
言葉を選んでみる
信頼関係は目に見えないので、どれだけ築けているかは実際のところわかりません。
こちらが勝手に「信頼関係が築けている」と思って接していると、思わぬところでやらかしてしまうことがあります。
もうお互いに軽口を交わしても大丈夫だろうと思って軽くジョークを言ったものを深刻にとらえられてしまい、「ひどいことを言われた。」と思われてしまうこともあります。
ちゃんと説明すれば誤解が解けることが多いですが、場合によっては相手の心を深く傷つけてしまうこともあります。先程も書いた通り、言葉の力は絶大です。
ですので、センシティブな言葉を使う場合は、少しでもニュアンスが柔らかくなるように言葉を選びます。
例えば私は、「頑張れ!」ではなく、「頑張ろう!」や「一緒に頑張ろう!」と、よく言っていました。
「頑張れ!」だと直接的な命令文ですが、「頑張ろう!」ならば勧誘っぽくなります。無理にやらせている感が緩和されますし、子どもがつらい時は「いや、今日はちょっと頑張れないです。」と、断ることもできます。
また、生徒がこれから勉強を始めるときや授業に向かう時は、「頑張っておいで!」とよく言っていました。
「頑張れ!」よりも命令感がなく、促されているように感じてもらえると思います。
どちらにしても、「あなたを応援しています!」という気持ちを乗せつつ、その意図が伝わらなかったとしても強いプレッシャーを与えないようにと言葉を選んでいます。
まとめ
今回は「頑張れ!」という言葉を具体例として書きましたが、他にも扱いに気をつけなければならない言葉はたくさんあります。もちろん、絶対に使ってはいけない言葉もあります。
まずは、自分の言葉の意図が相手に正しく伝わるように信頼関係を築くこと。そのうえで、どの言葉を選べば相手を傷つけることがないかをよくよく考えること。
この2つが大切なのだと思います。
私の価値観や人生観を大きく変えた言葉のように、あなたの言葉が誰かの価値観や人生観を変えるような言葉になったのならとても素敵ですよね!
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