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大久保寛司's RADIO「あり方研究室」VOL.13 「うつが教えてくれたこと①」

大久保寛司さんのRADIO「あり方研究室」!
第13回のテーマは「うつが教えてくれたこと①」です。


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■VOL.13「あり方研究室」〜「うつが教えてくれたこと①」〜

こちらからお聞きいただくことができます。↓


GUESTはさわとん(澤登和夫)さん、前編です。

大久保寛司さんは、長年、日本中のいい会社と呼ばれるありとあらゆる企業を訪問し、その本質を洞察し、その経験を活かして、多くの経営者から師と仰がれ、のべ10万人以上の人の行動を変容させてきた「伝説のメンター」と呼ばれる方です。

令和の時代、そしてWithコロナの時代は、「あり方」の時代になっていくと思います。

これまでは、目を外に向けて、社会の中でどう上手くやっていくか、どうしたら、この社会に適合し、成功するかといった「HOW TO=やり方/LIFE STYLE」がフォーカスされ、よりよく成長しながら生きていくという視点が主流でした。

これからは、指を自分に向けて、ありのまま、あるがままの自分とつながって、日々、自分はどうありたいかという「BEING=あり方/LIFE STANCE」をセンターにして、自然に豊かに生きていくという観点にシフトしていくのではないでしょうか。


〜この研究室は、私が皆さんと共に学ばせていただく場です〜大久保寛司

「あり方」について、「教えてほしい」という姿勢ではなく、自分なりに考え、学ぼうとする方は、皆さん、この研究室の研究員です。
共に学んでいきましょう!

今回のGUESTは、さわとん(澤登和夫)さんです。

【澤登和夫さんプロフィール】

うつ専門カウンセラー・精神保健福祉士
「あなたが大切な人にできること」主宰・株式会社ありがトン代表

1974年3月生まれ、千葉県佐倉市在住。サラリーマン時代、過労と心労がきっかけで27歳のときにうつ病と診断され、以後5年半にわたり重度のうつ生活を送る。体もむしばまれ難病により大腸全摘出、マンションの最上階から飛び降りたことも。

自分との関係性を再構築することで心身ともに乗り越えた後、「以前の自分と同じような人の力になりたい」と、うつ専門カウンセラーとして2008年34歳で起業。以後10年間にわたり、うつで悩んでいる方やご家族へのカウンセリングを積み重ねてきた。

現在は「あなたが大切な人にできること」という活動名で、うつの方を支えるご家族や友達、同僚向けのサポートに特化。「人に寄り添えるようになるには、まず”自己寄り添い力”を高めよう」など、自分との関係性を中心とした独自のメソッドで家族や組織の円満をサポートしている。

講演は全国の自治体・法人からのうつ対策や自殺対策、メンタルヘルス研修の依頼が多く、講演回数は年間約50回。

著書に「ありがトン(サンマーク出版)」、「人生をやめたいと思ったとき読む本(東洋経済新報社)」、「自殺者3万人を救え!―“命”みんなで守る社会戦略(NHK出版:共著)」。

日本経済新聞、朝日新聞、中日(東京)新聞、毎日フォーラムなど、多数の新聞や雑誌でも活動が取り上げられている。2017年にはAP通信社から取材を受け、活動が全世界に配信された。

「さわとん」は、本名の澤登(さわと)から由来するニックネーム。ぶたのキャラクターさわとんちゃんと共に、重い話でもほんわか楽しく伝えている。


VOL.13のRADIOから、一部内容を抜粋してご紹介します。

VOL.13「うつ病が教えてくれたこと」

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澤登:サラリーマンをやっていたんですけど、その間の5年半がうつだったんです。きっかけ的なことで言えば、サラリーマンになって、3年間、静岡の会社に行ったんですけど、それで結構実績が出たので、関連会社の船会社に出向したんです。そこは、すごいできる人ばっかりで、皆、もうバリバリやっていて、終電で帰れればラッキー。でも終電では帰らないで、タクシーかと思ったら、「これから飲みに行こうぜ!」みたいな人たちばっかりに囲まれて。最初は、ちょっと頑張って、壁を登っていこうかなと思っていたんです。
けど、どんどんどんどん壁が高くなって、頑張れば頑張るほど、汗が出てくるというか……。

大久保:ある意味、通常だと選ばれたわけじゃないですか。出世街道みたいなコースに乗られた、そのぐらい仕事ができたっていうことですよね。

澤登:客観的には、まあ期待はあったと思うんですけど……

大久保:それで行ってみたら、できるやつらばっかり!
地方の小学校で、頭がいいと思って東京に来たら、「なんだ、俺はビリか」と。ビリと言うと、表現がよくないですけど、それに近い感覚ですかね。
それは楽しくないですね。

澤登:なんとか追いつこう、なんとか頑張って迷惑かけないようにしよう、出向で行っているので、どっちの会社にも迷惑かけないようにとか。
どう評価されるかとか、認められるかとか、そういう上司の目ばかり気にしていた気もします。
自分を大きく見せるっていうのが、20代で、もう当たり前に、無意識になっていました。

大久保:20代の頃は、大きく見せたいという感覚になりやすいんですかね。

澤登:やっぱり頼まれることも嬉しいですし、達成すると嬉しいですし。
今だったら、もう少しうまくやれるかもしれないんですけど、
「もっともっと」とか「澤登すごいな」とか。
「まだ行けるな」「はい、頑張ります!」みたいなことで、結局、元々、無理なところまで行っているのに、なかなか言えなくて、さらに無理を重ねて、限界点まで行ってしまうと、うつになってしまいました。
逆に、うつになったことで、うつがブレーキをかけてくれました。

大久保:そういう意味では、お話を伺っていると、そういう状況でうつになるというのは、ある意味、自分を守ってくれたということですね。

澤登:うつが教えてくれましたし、うつがぼくの命を守ってくれました。

大久保:ちょっと話が違いますけど、昔、鎌倉投信にいて、今は、eumoという会社を作られた新井和宏さんという方がいます。
かつて、日本のファンドマネージャーとしてはダントツ1位で、とんでもない金額を扱っていた方ですが、その世界にいて結局、手足が外面に触れることができないという、訳のわからない病気にかかってしまい、医者に行ったら、「仕事を辞めるしかないですよ」と言われたそうです。その医者は、なかなか名医だと思うんですが、仕事を辞めたら、その治療法のない病気が治ってしまいました。新井さんに言わせれば、病気になった時は、もう限界点を越えていて、体が悲鳴を上げて、「もうやめてくれ!」という合図だったと。事実、そこから、彼自身も人生が変わっていくわけです。
そういう意味では、さわとんもうつになることによって、何か人生が変わっていくというか……。
うつの時には、カウンセリングとか薬物療法とかいろいろありますが、どういう治療を受けられたんですか?

澤登:精神科に行って、精神科医の方とちょっとお話ししながら少しずつ前向きに考えられるようになろうよというのがメインなんですけど、会社を本当は休んだほうがいいんですが、休まないで、ずっと結局3年間行き続けたんですよ。休めなかったんです。
その時は休んでしまうと、みんなに迷惑をかけちゃうということもあるし、出世コースみたいのがなくなってしまう、正直そんなことを思っていて……

それから、今度は体のほうがむしばまれて、うつになって4年ぐらい経った頃に、潰瘍性大腸炎という病気になったんです。
結果的には、良くなったり悪くなったりをくり返していたんですけど、入院して、今度はステロイドを使っても全然良くならなくなって、「もう、これはどうしようもない、大腸を取るしかない」というふうに言われたんです。
潰瘍性大腸炎の場合、薬とかでうまく付き合いながら生きていくというのが基本なんですけど、結局、手術で大腸を取ってしまったんですよね。

大久保:ちょっと大変ですね。でも、今こうして見ると普通に生きておられるんで、大腸を取っても、生きていけるんですね。

澤登:大腸がなくなるということは、トイレの回数が増えるんですね。
手術後は1日に30回トイレに行かなきゃいけないっていう感じだったので、ベッドから起きてトイレに行ったと思ったら、また行くし、寝ているのも大変でした。そういう状態がずっと続いて、もうこのまま一生行くのかな、これはしんどいなあと、正直思っていたんですけど、手術から半年後に変化が起こったんです。

大久保:どんな変化があったんですか?

澤登:トイレの回数が急に激減したんです。1日30回から10回に一気に減ったんです。つまり、小腸が大腸の代わりをし始めたんです。普通の人の小腸は、基本、栄養を吸収するらしいんですけど、大腸がやっていた水分を吸収するという機能を小腸がやり始めたんです。
人間の生きる力ってすごいなあと思いました。

大久保:胃を全摘したのに、飲んで食べて普通にしている人もいますよね。それは、腸のほうが胃の機能を働かせるようになるらしいです。
身体の関係性として、別の部門、部分が働くようになるというのは、やっぱり、人間というのはすごい生命力ですね。

澤登:その頃、死にたい死にたいと思っていたんですが、体は生きよう、生きたい、生きたいみたいな感じで、すごいなあと思って、まあ、委ねてみるかと。生きてみてもいいかなって、ちょっと言葉にすると軽すぎるんですけど、感覚としてはそんな感じになっていったんです。
体は隣の臓器が補ってくれているということは、社会の中でも、あまり自分で頑張りすぎなくてもいいのかなとか、しんどい時は支え合って生きていけばいいんだみたいなことが、なんとなく腑に落ちてきたんです。
そこから少しずつ、自分が頑張らなきゃとか、大きく見せなきゃという意識は少しずつ減っていって、「このままでいくしかないよな、小さい自分のままでいくしかないなぁ」という諦めになっていきました。

大久保:私はそういう意味でちょっと珍しいのかもしれないですが、若い時から、あまり自分を大きく見せようとしたことがないんです。
そもそも大きく見せようとすることが小さいわけだし、所詮ばれるじゃないかと、もう20代前半からそういう感覚でした。たとえば、「背は高いんだぞ」と、つま先立ちで歩いていたら、そのうち疲れるじゃないですか。やっぱり、つま先は下ろすしかないですよね。
背が高く見られたい気持ちはわかりますけど、「でも、それで何なの?」って感じが強かったですね。
この頃ようやくわかってきたのは、自分のサイズを、自分のサイズ以上に見せようっていうのは、時には良いことでもあると思っています。それによって自分が努力するのであればいいと思うんですよ。そのギャップを埋めるような努力をされるようであるならば、大きく見せるのも常に悪いことではないと思っているんです。
「大きく見せたってしょうがないですよね」って、若い頃から言う人には、「もっと大きく見せて、努力しろよ」と、言いたくなることもあるわけで、こういうことは、本当にケースバイケースで、当てはめていい人と、そうじゃない人とがあるんじゃないかなと思います。
ただ、いずれにしても、さわとんさんは、解放されて楽になったわけですね?

澤登:そうですね。本当に楽になっていきましたね。結局、「うつの自分でもオッケー」と思えるようになっていったってことなんですけど、少しずつ少しずつ、自分を認められるようになっていけるようになりました。


(つづく)

さわとんさんとのお話は、中編に続きます。


✴︎「あり方研究室」は、音声でも配信しています。

■「あり方研究室」VOL.13音声配信

■オンラインショップ「BASE」にて本書内挿絵を販売しています!


大久保寛司(おおくぼかんじ)
「人と経営研究所」所長

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日本IBMにてCS担当部長として、お客様重視の仕組み作りと意識改革を行う。退職後、「人と経営研究所」を設立し、20年間にわたり、人と経営のあるべき姿を探求し続けている。「経営の本質」「会社の本質」「リーダーの本質」をテーマにした講演・セミナーは、参加する人の意識を大きく変えると評判を呼び、全国からの依頼が多数寄せられ、延べ10万人以上の人々の心を動かしてきた。
特に、大企業・中小企業の幹部対象のリーダーシップ研修、全国各地で定期的に開催されている勉強会では、行動変容を起こす人が続出している。
著書に、『考えてみる』『月曜日の朝からやるきになる働き方』『人と企業の真の価値を高めるヒント』など多数。

大久保寛司著「あり方で生きる」

■書籍「あり方で生きる」には、章ごとに、大久保寛司さんの音声ナビゲーションが付いています。

「はじめに」「おわりに」の部分は、下記から無料で聴けますので、
よろしければ、こちらから、お聴きいただければと思います。

■「あり方で生きる」音声ナビゲーション

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VOL.13のお話に関連する「あり方で生きる」の中の1項目です。

16「良い結果には、良い過程がある」

16「良い結果には良い過程がある」


これまでの「あり方研究室」はこちらから、どうぞ!↓


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