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空白の数年間…期を待てるか?

5万組以上の親子を見てきた花まる学習会の代表 高濱正伸さんとラグビー界で「コーチのコーチ」として活躍する中竹竜二さんの人育て=子育て論を見ていきます。

中竹竜二さんの視点
相手を信じて待つ、それが期待

期待するというのは、じつは大変に勇気がいることです。「期して待つ」ということは、何もアクションをしないということなのですから。ただひたすら「相手を信じる」という忍耐力が必要なのです。もしかすると、一見して何の変化もなく、「これからも何も生まれないのでは」という恐怖すら覚えるかもしれません。

スピード感が求められる中…期待するには勇気が必要

今は時代が目まぐるしく変わっている。この変化の速い時代なのに、本当にうまくいくかどうかわからない、何も起こらないかもしれないことを、ただ「待つ」のです。そこに投資するのですから、本来の「期待」というのは勇気の象徴だと私は思います。

そうなると、「期待しなければいいのでは」という意見も出てきそうですが、期待をかけないのもダメなんです。ですから、コーチや親は正しい期待のかけ方について知る必要があるし、勇気も必要です。では、それはどういうふうに練習をしたらよいのでしょうか。

日常生活でのちょっとした沈黙にも耐えられない人がいたら、その沈黙に耐える、あるいは「沈黙でもいいんだ」という意識に変えることが一つのトレーニングになります。SNSで言えば、「既読」になったあとに返事が待てない人は、「それでも別にいいんだ」という意識に変えることがトレーニングになります。

ちなみに、SNSでの返事については、中高生の間でそれがいじめの要因にもなっていることを思うと、現代人の「待つことの難しさ」を表しているように感じます。

それぞれ自分らしく。そしてお互いをリスペクト

人が何かを生み出すときというのは、誰かが何かをじっと見守り、待つことで起きるのではないかと思うのです。その空間を社会全体で作れるようになるといいなと思います。そのためには、お互いが自分らしくあろうとする、これが重要だと思います。お互いへのリスペクトがあれば、「期待していたのに!」と勝手に期待して怒ることなどなくなるでしょうから。

私は仮面浪人もしていたし、留学先でもフラフラしていました。親が結果を急いで「期して待つ」ことができない人だったら、この遠回りな道は許されなかったと思いますし、今の私はなかったかもしれません。


高濱正伸さんから親への解説!ここを活かして!
勇気を持って期待!

うちの親も、3浪4留というめちゃくちゃ遠回りな人生を送った私を見守ってくれました。自分では無駄な時間を過ごしたとい う意識はありませんが、それでもとてもありがたかったと、両親 には感謝しています。 評論家の立花隆さんの本では、「空白の数年がある人は大物になる」とおっしゃっています。 幼児期は親の型で育ち、思春期で反抗し、青年期は自分の型で思うように生きる。青年期に自分の時間を持てることが重要なのだとあらためて思いました。 「勇気を持って期待する」――いい言葉です。

―『どんな個性も活きるスポーツ・ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』より抜粋・編集 ※対談で高濱正伸先生が登場します!

◆『オフ・ザ・フィールドの子育て』の紹介◆
本書では、「多様性」というキーワードに着目し、それを独自に育んできたラグビーに学ぶことで、子どもたちに多様性を身につけてもらえる、子育てをよりよくできるのではないかと考えました。

教えてくれるのは、「コーチのコーチ」をしてきた“教え方のプロ"である中竹竜二氏
さらに、花まる学習会を主宰する高濱正伸先生から、著者の考えに対して、
「子育て」や「学び」の観点から、適宜コメントを入れていただきました。
また、巻末にはお二人の対談を掲載し、ラグビーに学ぶことの意義についてご紹介しています。

改めて「ワンチーム」という言葉の意味や、ラグビーが大事にしてきた「オフ・ザ・フィールド」という考え方を知ることで、わが子の個性をどのように活かしたらよいかを考えるきっかけとし、わが子が実際に輝ける場所を親子で一緒に見つけてほしいと思います。

“サンドウィッチマン推薦! "
ラグビーがなかったら、いまの俺たちはいなかったと思う。
「中竹さん、ラグビーから学んだことは、今に活きています! 」

―中竹竜二( Nakatake Ryuji )

中竹さん 250

株式会社チームボックス代表取締役
日本ラグビーフットボール協会理事

1973年福岡県生まれ。早稲田大学卒業、レスター大学大学院修了。三菱総合研究所を経て、早稲田大学ラグビー蹴球部監督に就任し、自律支援型の指導法で大学選手権二連覇を果たす。2010年、日本ラグビーフットボール協会「コーチのコーチ」、指導者を指導する立場であるコーチングディレクターに就任。2012年より3期にわたりU20日本代表ヘッドコーチを経て、2016年には日本代表ヘッドコーチ代行も兼務。2014年、企業のリーダー育成トレーニングを行う株式会社チームボックス設立。2018年、コーチの学びの場を創出し促進するための団体、スポーツコーチングJapanを設立、代表理事を務める。
ほかに、一般社団法人日本ウィルチェアーラグビー連盟 副理事長 など。
著書に『新版リーダーシップからフォロワーシップへ カリスマリーダー不要の組織づくりとは』(CCCメディアハウス)など多数。

2020年、初の育児書『どんな個性も活きるスポーツ・ラグビーに学ぶ オフ・ザ・フィールドの子育て』を執筆。




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