noteで知り合った人と初めて会ってわかったこと
昨日、はじめてnoteで知り合った人とお会いしてきました。普段からコメントなどで交流していた横山黎@大学生作家さんです。実は、「きんぼし」で試みた共同創作は、横山さんの小説『Message』の共同創作に刺激されて始めたことでした。数カ月に及ぶ『Message』の共同創作が終わり、先月、アマゾンで出版。共同創作のサークルも次回でおしまいになります。
横山さんは、今、アマゾンで出版した自分の本を手売りで広めています。「直接買いたい方がいたらどこへでも行きます!」とnoteに書いてあったので、せっかくなので、手売りに来てもらおう!そして、共同創作の打ち上げをしよう!ということになりました。
「人生は物語」=「物語は人生」書くことによって自分を変えていける
小雨の降る夕方、待ち合わせた駅に現れた横山さん。共同創作のサークルでオンラインで会話したことがあったので、すぐにわかりました。居酒屋さんに着いたのが、16時半ころ、解散したのは、22時過ぎ。なんと6時間近くお話していたのでした。
印象に残っているのは、私の過去の出来事を話したときの横山さんが言った「失敗したことも人生の物語の伏線ですよ」という言葉です。
横山さんのキャッチコピーは、「人生は物語」。横山さんも成功した体験ばかりではありません。実際、『Message』は、別の出版サービスを使って出す予定でした。ところが横山さんが入稿スケジュールを把握するのが遅く、間に合わないことが判明したのです。正直、あらら~と思ったのですが、横山さんは、即日申請のアマゾンを使って出版することを決めます。失敗を成功体験に変換してしまう強さを感じました。
私も常々エッセイは、現実を語りなおすことだと思っています。現実が今ひとつでも、こうなりたい、こう感じていたいという思いを書くことで、塗り替えることができるのです。
アマゾンで出版した本を28冊も手売り。「会える作家」の価値
現在、自ら手売りして作品を広めている横山さん。友人・知人が主とはいえ、(いや、だからこそ)、自分の出した本を買ってくださいとお願いするのは勇気がいることだと思います。横山さんについては、「すごいなあ」「人間て捨てたもんじゃないなあ」と何度も感じてきました。年齢とか関係なく尊敬できる人はいるものです。
横山さんは言います。これからは、「この作品を読みたい」よりも「この人の作品を読みたい」が多くなってくるんじゃないか。私自身、最近は、noteで知り合った方の作品を購入したり、サポートすることがあります。作品の良さはもちろんですが、まだ作品を読んでいなくても、「この作家の作品なら間違いないだろう」という信頼感が購入につながっています。横山さんが友人や知人、それから全くの他人へ、手売りで作品を届けることは、その一歩なのかもしれないと感じました。時代によって作家の姿も変化していくのでしょう。横山さん世代は作家の枠を自由に越えて作品を読者に届けようとしているんですね。
『Message』は、亡くなった青年を、家族や友人の語りから描き出す試み
『Message』は、横山さんのキャッチコピー「人生は物語」を体現したような物語です。成人式を迎える主人公の遊馬は、横山さんがモデルです。小説は、歩道橋から落ちて亡くなった青年が残したダイイングメッセージを解明するミステリーの体裁ですが、真髄は、家族の物語です。
謎を追うのは、父親の刑事。成人式に参加した友人たちに聞き込みを続けるなかで、息子がどんな人物でどういう思いを抱えていたかが明らかになっていきます。一面からでなく多面体として人物が描かれていくのです。作中で、青年が「今度飲みに行きましょう」というメッセージを父親に残す箇所があります。横山さんは、そのシーンをだしに自分の父親を誘って人生初一緒にお酒を飲み交わしたそうです。そして、元ゴーストライターだった父親の今の夢を聞き、まだまだかなわないと悟ったそう。自分もさらに真剣に創作を続けていこうと誓いました。現実の体験を小説にして、小説に書いたことが現実に影響を与えていく。「人生は物語」=「物語は人生」なのです。
オフラインで会ってよかったのは、相手の表情を見て機微を感じられること。話題は多岐にわたりましたが、言葉より会話はやわらかな印象を与えるので、反対意見も言いやすいのですね。会話は、記録に残らず、うたかたなので、普段言えないようなことも話せます。
文学フリマなどの機会に、ふだんnoteで交流している方と会えるのがますます楽しみになりました。