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mother's history No.14  食べることに忙しい女性、さて勉強は?

昔は、旧正月というのがあった。
だから。2度正月があったのだ。
それで、女性はなおさら忙しい目にあわされる。
甘いものが、最も飢えから身を救ってくれたのかもしれない。
それにしても、甘党の度がすぎるようだ。
食糧難の時代だったからかも知れない。
今では、考えられないような食生活を送っていのだなあ。
と、思う。
けれど、当時としてのあまりに深刻な様子は見受けられない。
食べて寝て、又雪をかき。
歩いて、学校に行き、会社に行き、下宿にもどり、加えて買い出しに行く。
その合間に、勉強をしたのかなあ。
疲れて、眠い、眠い。
時間が迫って来る、勉強の成果は深刻そのものだったかも知れない。
それでも、芳美へたばるな !! と叫びたくなった。

1月30日

今日は、学校四時間でみんな並んで帰った。
家に帰って、弁当を食べていたら、妹はミルクをわかしてきた。妹のは、あまくってそこに粉の固まったものもある。
夜テレビで「それは私です」「さる飛さ助」「東京丸の内」を見ていたら、九時になってしまった。九時三十分から十一時まで勉強していて、今日は終わった。
朝起きたら、兄の声がうっすらと聞こえた。「今、何時」「五時十五分」「何で、起こしておっけなんだんにゃの」「ほいたかって、起こしておっけっていわなんだんでしょ」「そしたかって、ここで寝てるもん起こしておけばよかったんにゃ」と言っていた。
兄は、だいたい十二時間ぐらい寝てしまっていた。人は「四当五落」と言って、いっしょうけんめい勉強しているのに、兄はきっとすべるに決まっている。
朝ノソッと起きてきたので、いためごはんを作ったげた。
                    (誤字脱字は訂正 原文のまま)

1月31日
学校で、薮内くに子さんからかきもちもらって来た。白いのにはさとうが入っているらしく、あまくできていた。それや黒まめが入っているのや、コンブが入っているものやあった。
そして、「少女」のマンガの本も借りた。増田さんから「りぼん」を借りた。あすとあさっては、休校でしあさっては日曜、ずつとマンガが見ていられるぞ、と思ってホコホコになった。
兄は、「学校でひろてきたのけ」と、にくまれ口を聞くのでまったくいやになってしまう。
夕方、テレビ見ていたら、眠ってしまった。私が眠ったらぜんぜん呼ばってもらわれない。七時三十分ごろに寝て九時三十分ごろに起きた。起きたいと思ったらまたフトンに入って寝たから、今日はゼンゼン勉強しなかった。
このごろ、なまけてばかりいるから、ちょっとつつしまなければならないと思った。
これでは、こんどのていきシケンが思いやられる。「どうぞ、神さま勉強しなくても、いいてん数でありますように」
                    (誤字脱字は訂正 原文のまま)

2月1日
今年の旧新年は、とってもさわやかだ。
父は、二日に帰ってくると電話がかかってきたし、母や妹は朝から雪のけばっかり。
昼食は、私の作ったいためごはんにタクワン、おみそじる、ふかしごはんで
夕食は、あぶらげごはんを作った。
夜八時ごろ、福井の兄帰って来た。私たちテレビ十周年「寒さにめげず働く人々」を見ていた時だった。おみやげに、シュークリームやくりまんじゅうの茶がし、パン、ワンタツチカレー、肉、ハム、今雪で何んにもないからちょうどよかつた。シユークリームは、とてもおいしかった。
夕方、兄が「ミルクってないの」と言ったので、母がミルクを作った。脱脂粉乳は大へん頭がよくなるそうな、頭がよくなる食物はそのほかに、小ざかな、ねぎ、麦、パンなどがある。
兄は、帰って来ておもちをたくさんたべていた。
                    (誤字脱字は訂正 原文のまま)

2月2日
朝、父が会社から歩いて帰って来た。
その時また、ソバやコンブやりんごなんかを買い出して来た。
昼食は、母が婦人会でおしるこに行っているし、私が昼食を作った。ちょうど、きのうワンタッチカレーが買って来てあったので、ちょうどカレーライスーをしにかかった。玉ねぎはなかったけど、にんじんとじゃがいもをこまかく切って入れた。したはいいけど家で作ったのはトロリとしているけど、私の作ったのは、どろどろしていた。
そんなにたくさんかけていったら、私のぶんはなくなってしまったから、びつくりしてしまた。たくさんかかっている人らは「アア から、アア から」と言っている。おまけごはんはなくなって来たし、小さい方の兄は少し残した。でも、おいしかった。まめもちを、たくさん焼いて食べた。
夜は、おだいこんやコンニャク、アブラ上げのおかずだった。
大きい兄は「芳美は、顔は悪いけど料理作るのはうまい」と言ってほめた。
ごはんたくのも、じょうずだった。きのうのアブラゲが一番おいしかつた。
                    (誤字脱字は訂正 原文のまま)

2月3日
午後三時ごろ、兄福井へ帰る。四時ごろぜんざいしようとしたのに残念。おもち十個ほどもって、歩いて行った。途中から汽車で帰るのだ。
夜は、おしるこだった。七時四十分ぐらいの時「かいけつゾロ」を見ていてて、調子がよかつたのに、これだからいやになっちゃう。おかげで今日はぜんぜん勉強できなかった。みんな早から眠ってしまった。
このごろ、だっているからどうしよう。もうこんなんでは終いだ。兄もこの分ではすべるぞ。
今日の午後、畑のまん中をだいこんほるのに、ふかくほったら二メートル三十センチほどあたった。すごいもんだ。母はすぐ下にいるように見える。降れば降るもんだなとお思った。
 🔶たらちねの 母がほったる 雪のあな ふかいといって ものさしを持
   つ
                    (誤字脱字は訂正 原文のまま) 


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