見出し画像

藤井 風 さんの初のアジアツアーの前に、海外と日本のライブ文化やマナーの違いについて考えたこと (Difference of Live Concert Culture - Japan vs Global)

1. この記事を書いたきっかけ

海外のライブ文化について、何気なくシェアしたツイートが、たくさんの人に見ていただけたようで、ありがとうございました。

もともと、ファンダム内の特定の方々(それも少数だと思っていた)に向けて書いたツイートだったのですが、それ以外の方やファンダム外の方にも見て頂いているみたいなので、もう少しきちんと伝える必要があるかもしれないと思い、note記事にさせて頂きました。

また、この記事は、私の個人的な意見を書いたもので、誰にも何も強制していませんので、こういう考えの人間もいるんだな、という風に受け止めて頂けたら嬉しいです。(以下、丁寧語ではなく常体で書かせて頂きますね。藤井 風さんや他のアーティストさんに関しても、多くの部分は敬称無しで書かせて頂く部分もありますので、最初にお断りさせてください。)

このnote記事を書くきっかけになったツイートは、もともと、藤井 風 ファンダムの特定の人に向けて書いたもの。

「特定の人」というのは、藤井 風 さん 初の海外ツアー(厳密にはアジアツアー)の熾烈なチケット争奪戦に勝ち残って、プラチナチケットを手に入れ、アジアツアーに参加する日本の藤井 風ファンの中で、海外でコンサートに行くのが初めて、もしくは、海外アーティストの日本公演に参加したことがない、という方のこと。チケットの競争率がものすごかったので、そういう方はすごく少ないのではないかと思っていた。

元のツイートはこれ。


もちろん、私も日本にこの冬に帰国中に、藤井 風さんや、他のアーティストの声出し解禁ライブにいくつか参加したので、日本でもすでにコロナ前のライブの感じが戻ってきているのは実感している。自分がここ7ヶ月くらいの間に参加した15回分くらいのライブの肌感覚に基づく個人的な感想だが、フェスでも聴衆がアーティストと一緒に大合唱、大盛り上がりという絵が、海外だけじゃなくて、国内のコンサートでも戻ってきて嬉しい限り。

ただ、風さんのライブはそれとは少し違うと感じていた。

2. 藤井 風 さんのこれまでの日本での特別なライブ

藤井 風ファンで、彼のライブに参加したり、映像作品を見たことのある人は分かっていただけると思うが、藤井 風さんのコンサートは、私にとっては、彼の素晴らしい歌唱とバンドの素晴らしい演奏、そして彼が美しい音楽に込めた大切なメッセージを全身で静かに受け取るライブ。アップテンポな曲もあるし、みんなで踊ったり、部分的には一緒に歌ったり、笑いが会場に広がるときも、もちろんあるけれど、全体としてBPMも緩やかな曲が多い。ライブに行くと、心が洗われて、自分に必要のない無駄なものが自分から剥がれ落ちていって、代わりに、愛や優しさや希望が身体と心にすっと入ってくるような、そんな感覚に包まれる。ライブの後も、ずっと多幸感に包まれた日々が続く特別なライブ。

コロナ禍でデビューした藤井 風さんのコンサートは、ずっと声出しが制限されていて、声は出せないけど熱い想いで会場が一つになるようなライブが多かった。私は、パナソニック吹田スタジアムライブに参加するまでは、帰国が叶わなかったので、それ以前のライブは映像作品で見るだけで、実際には現地では、体験できていないが、映像でも、声出しができない会場の熱気はひしひしと伝わってきた。

先日の、LAAT(LOVE ALL ARENA TOUR) で、やっと声出し解禁の一緒に歌えるライブが開催されて、参加させてもらって、ご本人はもちろん、バンド陣、ダンサーズ、映像、音響、照明、ステージ演出、観客、全てが素晴らしいライブだった。「もうええわ」の合唱も本当に美しかった。

ファン層も小さいお子さんからおそらく80代くらいまで?とものすごく幅広く、会場は全人類集合(笑)みたいな感じになるので、最初から最後まで全員が歌いまくって踊りまくって、みたいな雰囲気ではなかったけど、ものすごく楽しく、心が幸せで満たされるライブだった。

3.「ピアノと藤井 風」だけの特別なアジアツアー

その藤井 風さんが、満を持して、初の海外ツアーを開催、6カ国8公演、全ての会場のチケットが一瞬で売り切れ、各地で販売サイトがダウンする人気ぶり、台湾は追加公演まで発表された。他の国でも追加公演を望む声がたくさん。現地のファンだけでなく、周辺国のファンや日本からの申し込みも多かったようなので、競争率はものすごかった。

今回は、バンド編成ではなく、ピアノと本人だけで比較的小規模のホールでの開催。昨年に、「ピアノのある、藤井 風 本人の部屋へ観客が遊びに行く」という設定で行い、こちらもチケットがプラチナ化し、行けなくて涙を飲んだ人が続出したAlone at home tour (aahT)の設定に少し近い。

だから、あの静かな会場の雰囲気を夢見て応募した人がいるとするならば、きっと驚いたり、残念に思う人がいるかもしれない、と思ったので、例のツイートをしてみた。なぜなら、海外ファンは一緒に歌うのが当たり前だと思っている人が多いので、日本のように、風さんの生歌と生ピアノを静かに味わう、というようなライブにはならない可能性が大きいから。予備知識として持っておいた方が、当日びっくりせずに、ライブを楽しめるようにと思って書いたもので、何も特別なことを書いたつもりはない。国内外アーティストのライブによく行く人だったら、皆、経験済みだったり、聞いたことがあることだと思っていたけど、思いの外、いろんな方から、たくさんの反響を頂いてびっくりして恐縮している。

4.海外ファンは歌う気まんまん

藤井 風さんの海外ファンは、コンサートで一緒に歌いたいと思っている人が多い。その意気込みのほどは、詳しくは下記のスレッドや引用RTを見てもらえれば分かる。主なコメントを意訳するので、どれぐらい、海外ファンが一緒に歌いたいと思っているか、感じて欲しい。

Iris「このアジアツアーに参加する聴衆が、カゼの歌詞を全部知ってる聴衆であることを実現させたいわ!」

Mitch @nscr_grl「ほんとにそうよ!😭🥹 彼がステージの上で寂しく感じないように、聴衆に一緒に歌ってほしいわ」

Alicia 「『ガーデン』をカゼが歌うとき、『空の果てぇぇぇぇ』って聴衆が歌えなかったら、私、悲しいわ」

iris@kazemp3「『ガーデン』を全聴衆で合唱したらそれは素晴らしいに決まってるわ😭😭😭ああ、本当にそうなったらいいのに」

Alicia ⁷ ༄@stnhoney「天使の声みたいに美しいと思う」

Amy @leafykaze 「『優しさ』を聴衆が一緒に歌うのを聴いている彼を想像するだけで泣ける」

Delia「みんな、『特にない』で、指パッチンは必須よ」

Sophia 「彼を大興奮させることのできる聴衆が要るね!」

Hoshee @ametheeths「(歌詞を)ほとんど知ってるのに行けません🥲」

몽 rina day!@hik8n  「だから、intourlive(現地プロモーター)は、私にチケット用意してくれないといけないのよ、誰にも負けないくらい歌詞覚えているのに(チケットがないから行けない)」

@brskaaa___ 「チケット取れた人は、『死ぬのがいいわ』しか知らないかも、Netflix 見て、彼のコンサートがどんな感じか予習して!」

Tara  @minsugarmy_05「ほんとそれ、ヒット曲の『死ぬのがいいわ』しか知らないライトファンがチケット取れて、本当のコアファンが、チケット取れなかった人が多かったとしたら、心配、観客が彼をガッカリさせないことを祈ってるわ」

@elmontel_ 「このショーは、彼のボーカルとピアノだけだから、聴衆は絶対一緒に歌った方がいいわ」

KEKE @vxxniha「インドネシア人にとってはコンサートはカラオケと一緒よ🥹一緒に歌うことが許されたら、もちろん歌うから、任せて❤️‍🔥」

Dani @KarmaButterfli「秘密のコツを教えてあげるね、あなたの第一言語ではない日本語だから、間違えるのではないかと心配しているなら、とにかくトライしてみて。そういう人は、あなただけじゃないわ、いくつかの単語とか、サビくらい知ってるでしょ?ともかく歌って!あなたが彼のアジアツアーをお祝いしてるってことを彼に聞かせてあげてね😊」

などなど。日本人の感覚とはかなり違うところもある。でも、同時に、みんな、ほんと風さんの音楽を愛してるんだなって伝わってくる。

藤井 風さんのオリジナル曲の歌詞はほとんど日本語の歌詞だから、覚えるのは本当に難しいと思う。だけどコアファンだったら、それでも覚えたいと思ってくれてるんだなって思って感動する。私が逆だったらそういう風に思えるかな? 正直、自信ない。

5. 一緒に歌うことはミュージシャンへの大切な愛情表現


今までの、国内の、藤井 風さんのライブに慣れている人は、「演奏中に声を出すなんて、マナーが悪い」と感じる方がいるかもしれない。

けれど、一緒に歌うことは海外のライブ文化の一つで、むしろミュージシャン側も一緒に歌ってほしいと言う方がほとんど。「歌詞を覚えていなくて一緒に歌えないなら前方の席に行くな」と言われたり、ステージでマイクを向けられてサビしか覚えてなくて2番の歌詞を一緒に歌えなかったライトファンのことが大きな議論になるぐらい、一緒に歌うということは、自分がそのアーティストの音楽を愛しているということを伝える大切な行動。アーティストがステージに登場する前のBGM(SE)から大合唱が始まるくらいなので、「一緒に歌う」心意気と声の音量が違うのだ。

ちなみに、コナン・グレイ (Conan Gray) のコンサートが始まる前の合唱はこんな感じだった。始まる前から盛り上がっていた。


ハリー・スタイルズ(Harry Styles) のコンサートでの大合唱もこちらに。観客の歓声の方が凄くて、歌声が聴き取りにくいかもしれないが、動画の後半、みんなが歌っているのが分かるだろうか? 藤井 風さんの今回のツアーはピアノのみなので、もっと静かな感じにはなると思うけど、将来バンド編成のツアーをしたらこんな感じになる可能性はある。


「せっかくのピアノと風さんだけのコンサートなのに一緒に歌ったら演奏を台無しにしてしまう」という感覚はそこにはあまりない。私は集中して静かに素晴らしい演奏を受け止めるコンサートも好きだから、どちらも捨てがたいなとは思うけど、国によって、ライブの楽しみ方や期待値に明らかに違いがある。

6.注意や非難よりも、異なる文化体験を一緒に楽しんで


会場にどれぐらいチケットを手に出来たコアファンがいるかどうかにもよるけれど、おそらく、日本より随分にぎやかなコンサートになると思う。

会場やパフォーマンスの動画撮影、ソーシャルメディアへの投稿の規制、光り物の持ち込みなども、日本とはかなり違った形になるのではないかなと想像している。(ライブの運営の予想をするのが目的ではなくて、ただそういう可能性があると思っておいた方がいいかなと思う。)

今回のコンサートがどうなるかは分からないけれど、東南アジアでは、チケットには「撮影禁止」と明記、でも実際にはほとんどの人が撮影する、それを現場スタッフは見ても黙認している、というのが王道パターンだ。

日本人の感覚からしたら「撮影禁止ってチケットに書いてあるから当然ダメでしょ、ルールを守るでしょ」と思うかもしれないが、規則と運用にかなり幅があるのが、アジア。他の地域はわからないので明言は避けるけれど、フェスの動画などを見るに似たり寄ったりかなと思う。撮影が本当に禁止の場合は、現地のスタッフが注意すると思うので、ファン同士で注意し合うのはトラブルの原因になるので、個人的には、おすすめしない。

なので、日本から海外ツアーに参加されるラッキーな方は、もし、スマホで録画しながら、片言の日本語で歌っているファンが隣にいたら、「撮影禁止ですよ!」「歌うと他のお客さんの迷惑になるので黙って下さい」と注意するのではなくて、にっこり笑って一緒に歌ってあげて欲しいし、現地の楽しみ方に合わせて、新しい形のライブ体験を楽しんでもらえたらいいなと願っている。

風さんは、「もうええわ」の合唱や、「何なんw」のコール・アンド・リスポンス、を除いては、コンサートで「最初から最後までずっと歌っている」聴衆を経験されたことがない。どういう形になるかは、当日のお楽しみだけど、ファンと交流しながら作り上げるコンサートを、日本でのコンサートとはまた違う形でファンからの愛を受け取ることを、風さんご自身が楽しんでくださり、やっと会えた海外ファンのみんなからの歓迎の歌声を受け取って、感動してくださったら素敵だなと願っている。

長文を読んでくださった皆様に感謝。どうぞ素敵な1日を、どうぞ素敵な夜を。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?