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第4話『5人目のプリキュアはどこ? まりあの思いとモーヴェの策略』Part1

 その日、教室の扉から青い髪が覗いた途端、まつりははじけるように立ち上がって入ってきた人物に手を振った。

「藍、おはよー!」
「おはよう、まつり、りんねちゃん」

 藍ことレザンは、まつりに向かって答えた後、すぐ隣の席に座っているりんねにも視線を向けた。りんねは、いつもと同じ柔らかい笑顔で頷いた。

「藍くん、おはよう。今日は少し遅かったのね」
「あはは、ちょっと夢見が悪くてね。寝坊しちゃったんだよ」
「ほえー、寝坊したのに遅刻せずに来れるなんて凄いねー」

 まつりは頭の中に寝坊した日の自分を思い浮かべる。起きた時には既に授業が始まる直前だった、なんて事もある。彼女にとって寝坊と遅刻は常にセット販売されているものなのだ。そんな考えを察してか、レザンはしっかり者だなぁとぼんやり考えているまつりの後ろから、呆れたような声が飛んできた。

「それが普通よ」
「わっ、ゆらちゃん! どこ行ってたの?」
「部活の事で、顧問の天野先生に相談に行ってたの」

 いつの間に後ろに、と大袈裟に胸を抑えるまつりを一瞥して、ゆららはレザンとりんねにも合図をするようにアイコンタクトをとる。そして、少しだけ声を潜めて話し出した。

「……そう言えば、皆知ってる? 天野先生って、まりあ先輩のクラスの担任なんだけど、まりあ先輩、ここ3日くらい学校を休んでいるらしいの」

 あの一件以来、りんねがずっと3年生の教室に通っているのを知っているまつりは、その言葉を聞いて息を呑む。そのまま不安げな顔つきでりんねを見つめる。りんねは、目を伏せて静かに話を聞いていた。

「そうだったんだ。だから、教室に行っても見つけられなかったのね。……もしかして、私が言ったことをずっと気にしてるのかな」

 ぽつりと呟いた声は揺れていて、まるで誰かが否定してくれるのを膝を抱えて待っているような、そんな震えと怯えを伴っていた。彼女の様子に気がついたゆららは、励ますような声音で、すぐさま話の続きを口にする。

「きっと大丈夫よ。 先生の話によると、急に海外から来客が来て、その対応のために欠席しているんだとか。年に何度かある話みたいね」

 ゆららの言葉に、りんねは少しだけ安堵したような表情を見せた。