経済を止めちゃだめだ
出勤しようと外に出たら、ジャケットの前を開けていても心地よいぐらい、今日の東京は穏やかに晴れて暖かい日だった。
3月11日。
「10年」という月日が、長いのか短いのか。
26歳だったわたしは36歳になり、結婚をし、苗字が変わった。変わらず同じ会社にいるけれど、社員の半分ぐらいはあの日まだこの会社にいなかったメンバーだ。当時オフィスが入っていたビルは地震でヒビが入り、程なく移転。あのビルは取り壊されて、今はマンションになっている。
うちの会社はフランチャイズ事業をしているので、当時から東北にもたくさんのクライアントさんたちがいた。たくさんのお店があった。幸いみんな無事だったけれど、軒並み休業になった。
日本全体にも自粛ムードが広がった。喪失感や無力感。普通に生活をすることすら、どこか後ろめたさがあった。被害の大小や有無に関わらず、みんなの足が、止まりかけていた。
そんな時に、会長が言った。
「経済を止めちゃだめだ。東北のためにも、動ける人たちががむしゃらに動いて、経済を動かし続けなきゃだめだ。それが今、我々がやるべきことだ。」
10年経ってもこの言葉は鮮明に覚えている。あれから熊本や甲信越や北海道など各地で大きな地震があり、広島や岡山や九州をはじめあちこちで大雨の被害があり、他にもたくさんの悲しい出来事があり、そして今は、コロナウイルスだ。いつも自分の無力さに打ちのめされるけれど、そのたびこの言葉に引き戻されてきた。
10年経ってあの時よりも強くなれた訳でも、何かができるようになった訳でもないけれど。
今日、こうして生きていることに感謝をして、私は私にできることを。
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