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20190609 ギュスターヴ・モロー展~運命よ、こんにちは

パナソニック汐留美術館の
「ギュスターヴ・モロー展ーサロメと運命の女たちー」に行ってきました。

展示終了間近ということもあり、まさかの入場制限。40分くらい並ぶことになり、PCを持ち歩いていたので会場に入るころにはすでにくたくたでした。あさイチでの来場をおすすめします。

運命の女性って?

この企画、導線がわかりやすくて、丁寧につくられていたのが印象的。

・冒頭にモローの人となりと、最愛の妻の存在を見せる
・そのあとすぐ、「サロメ」をたっぷり余すところなく見せる
・さらに「運命の女たち/ファム・ファタル」をいっせいに見せる
・最後の最後にもってくるのがユニコーンと純潔の乙女

タイトル通り「女性」に本展のテーマが貫かれていること、その中で大きく扱われているのが「(男を誘惑する女性の意でもある)ファム・ファタル」だからこそ、一番最初に出す女性が母親と長いこと連れ添った恋人だというのを初めに持ってくるのは、思い切った切り取り方だと思います。私としては好印象で、今の時代の空気にもどこかマッチしていると感じました。

作品を展示する順番に明確な意図があると、余計なことに頭を使わずに済むのですっきりと観ることができました。

あれだけ「男を誘惑したり、心を動かしたり、破滅に導いたりする」(というのもモローがテーマにしていた西洋の神話の物語は、男性優位の時代に、男性が自身に優位になるように書かれた物語が多く、女性に夢見すぎてるきらいすらある)女性を見せたあとに、最後にユニコーンと一緒にいる処女(ユニコーンは処女になつく)を見せてくるのがニクいですよね。

女性へのまなざしが温かい

また、モローの女性へのまなざしが温かさも印象に残っています。

ギリシャ神話等々をモチーフにして描かれた女性たち。国を破滅に導いた女、時代に翻弄されて命を落とした女、神様に見初められて連れ去られた女、その背景が多様なことに合わせて、彼女たちひとりひとりの個性と魅力が見える描き方をされているのが良いなあと思いました。モローの特徴でもありますが、物語の一場面をただ絵にするのではなくその背景の情念とか思いとか見えてくるのが好きです。

とくに好きなのが、レダ。

ゼウスが彼女を見初めて白鳥の姿に化けて彼女を誘惑するという、今文字にして打ち込んでると非常にもやもやした感触がつきまとうエピソード。多くの画家から好まれたテーマでもあるのですが、レダとゼウス(白鳥)が顔を近づける構図が、相互に気持ちが通じ合った物語であり愛情も描かれていて美しいなあ!というのと、こんな切り取り方ができるんだなあ!というところで一番好きな作品です。

まとめ

入場料も大人1,000円ぽっきり、と館内もそこまで広くないのでぎゅっと短時間でタイムトリップしたい人におすすめ。パリの「ギュスターヴ・モロー美術館」から作品を集めただけあって、総ての展示作品が見どころ!というおとくな企画展でした。

#美術館 #企画展 #モロー #パナソニック汐留美術館 #ファム・ファタル  #サロメ


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