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チアパス州アマテナンゴの焼きもの

週末、焼き物で有名なチアパス州アマテナンゴ・デル・バジェのお話会をオンラインサロンで実施しました^^

お話してくれたのは、若い陶工のペドロさん。
失われつつある伝統をつないでいくんだと愛情と情熱をもって取り組んでいるんです。

アマテナンゴの伝統的な自然の鉱石での色付けや、ひいおばあちゃんから習ってきた焼きもの作りなどの話をしてくれました。

そんなペドロたちと一緒に現在、クラウドファンディングを準備中です!まだプラットフォームや掲載時期は未定ですが、村の陶芸作家達を助けると同時に、サポートくださる皆様に、たくさんの(焼き物に限らず)素敵な民芸品を届けられる仕組みにしたいと思っています。また詳細決まり次第お知らせしてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします!

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彼は子どものころからひいおばあちゃんやおばあちゃんなどから焼きものを教わってきました。ひいおばあちゃんに薦められて、14歳で州のコンクールに初めて出品(参加対象年齢未満だったけれど、ご両親のお名前で出品したほどの意気込み!)。初めてだったため、いい出来にはならなかったそうなのですが、他の入賞作品などを見ることができ、自分の作品との差を見せつけられてとても勉強になったそうです。

次の年は交渉して15歳でも参加できるようにしてもらい、再度チャレンジ。入賞はしなかったそうですが、気に入って買ってくれる人が出たそう。

作られるモチーフとしては、メキシコで神聖な動物とされるジャガーやそのあたりでたくさん見かけるニワトリ、牛や七面鳥などが一般的なのですが、昔は農夫など人をモチーフにしたものも多かったそうで、彼はそういった作品も作っています。

見せてくれた一つにキリストの母マリア様がトウモロコシに包まれている不思議な作品もありました…!(後ろから見たらトウモロコシそのもの!)

またこれまでは素焼きのものがほとんどだったのですが、釉薬を塗って、水が漏れにくくなるようにしたりと新しい実験も繰り返して、さらにいいものを作ろうと日々挑戦しています。

そんな彼のお話でとても興味深かったのは、「色」のことと「窯」のこと。


「色のこと」

アマテナンゴの焼きものはもともと自然彩色で色付けするのが伝統的な手法です。

Engobe(エンゴベ)と呼ばれる鉱石や粘土を水と混ぜ合わせた化粧土で色付けします。見せてもらうととても自然な優しい色合い。色付けのための石はどう見ても黄色なのですが、焼きあがると赤になるというのも自然の不思議です。

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Engobeは窯で焼く前に塗って色付けされるので、色が落ちにくく、色移りもしない。自然の色が焼きあがる中で定着し、とてもいい色合いが出るんだそうです。

Engobeで塗るためには、水を入れながら石を研いで色を出すという手間がかかります(習字で墨をすずりで磨る感じで色を出していました)。そして出せる色が赤、白、黒の3色。

色の豊富さ、便利さはアクリル絵の具に軍配が上がる。

そのため、最近ではアクリル絵の具の方が主流になってしまっているようなのですが、アクリル絵具の場合、焼きあがったあとの作品に色付けされるため、色落ちしやすく、色移りしてしまうという欠点もある。

そしてアクリル絵の具のような誰でも出せる色だと、他州の焼きものと似て、アマテナンゴならではの味わいがなくなってしまうことをペドロは懸念していました。

この焼きものの伝統的な自然の色付けの方法をアマテナンゴらしさを残しながら、次世代にも引き継いでいきたいのだと言います。

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「窯のこと」

これまでペドロの家ではほぼ野焼きのような状態で作品を焼いていました(家の裏庭で焼いています)。
この野焼きだともちろん雨の時は焼けないし、温度を上げるためにたくさんの薪を必要とし、時間もかかる上に、温度管理ができない。

薪をたくさん使うことは木の伐採につながり環境にも悪いし、野焼きで煙を大量に出すため人体にもよくない。(焼いている時も煙を吸うし、作品を取りだす時にも炭を吸い込んでしまう恐れもある)

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そこで、ペドロは家族、親戚、周辺の家族の方々と新しい窯を作ることに挑戦しました。つい先日その窯ができ、早速焼いてみたそうなのです。

高温で焼けることで、色も定着しやすくなり、焼きあがる固さも固くなり、品質がぐんとあがったそうです。

こうやって新しい窯で出来上がった作品だと音が全然違うガラスのような音がするんだよと鳴らしてくれました(素人の私にはその違いがあまりわからず…笑)

釉薬も焼く温度が低いと定着しなかったため使えなかったのですが、そうした新しい試みもできるようになった。


『新しい窯は魔法みたいなんだよ』

伝統を守ろうと試行錯誤をしているペドロが言った言葉に感動してしまいました。

「新たな挑戦」

新しい窯ができ、作品の品質を安定させて、もっとたくさんの人に喜んでもらうことができるようにといろんな挑戦をしているペドロ。この窯を他の職人さんにも使ってもらい、みんなでアマテナンゴの作品を良くしていきたいと思っています。

ただ一つ問題が。

アマテナンゴの作品には、等身大のジャガーや子供がかくれんぼで入ってしまえそうな壺など、とっても大きなものもあります。

遠くに住む職人さんだとその大きな作品を焼く前の状態で運んでくることができない。

結局窯の近くにいる人しか窯を使えないということになると、従来の焼き方のままの作品を作るままになり、アマテナンゴの全体の作品の質を上げられない。できなければ、人に長く愛してもらう品質のものができず、買ってもらえないとなると伝統も廃れていってしまう。

そのため、いま目指しているのはみんなで使えるワーキングスペースを窯の近くに作ること。

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共同で使えるワーキングスペースがあれば、窯の近くで作品を作ることができ、みんなで良い作品を作っていける。

こうしたワーキングスペース作りなどの応援をクラウドファンディングでできないかと今相談を進めています!

アマテナンゴの伝統を守りたい。
ただ昔のものを引き継いでいこうというのではなく、そのために、新しい技術も取り入れ、昔の模様を復刻したり、こうして外国人の私たちとも話ながら挑戦しているペドロ。

どうにかできることで応援したいなと思っています。
また詳細決まりましたらお知らせさせてください^^

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いただいたサポートは今後作りたいと思っているメキシコでのレンタルショップを作る費用にさせていただきます。