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ペロブスカイト太陽電池とは

最近、カーボンニュートラルに関するお話の中でも特に注目を浴びているのが太陽電池の進化です。

特にこの1年の間にはペロブスカイト太陽電池の商用化に向けたニュースなどが飛び交っていますが、おそらくほとんどの人がペロブスカイトってなんだよ?って感じるでしょうし、次の日にはその名前すら忘れているでしょう。

今回は、そんな1回聞いただけではなかなか覚えられないペロブスカイト太陽電池(主にペロブスカイト)について簡単に紹介したいと思います。

太陽電池の仕組みについて知りたいという方はこちらの記事をご覧ください。


ペロブスカイトとは

そもそもペロブスカイトって何なんでしょう?
全く馴染みのない方からすれば、開発者の名前?材料の名前?と想像されるかもしれません。

実は太陽電池の名前に冠するペロブスカイトというのは結晶構造の名前なんです。

いやいや、結晶構造の名前って何?ってなりますよね。

原子や分子が規則正しく並んだ結晶には、その並び方によって名前が付けられています。高校化学で習う体心立方構造、面心立方構造、六方最密構造なども結晶の名前になります。

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Quoraより引用

左からbcc:体心立方、fcc:面心立方、hcp:六方最密構造

高校で習う基本的な構造は漢字なのに、どうしてペロブスカイト構造はカタカナなんでしょう。実はペロブスカイトという名前の鉱物があり、原子の種類は異なるけど、その並び方が同じものを全てペロブスカイト構造と呼ぶんです。

こちらがペロブスカイト構造。

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wikipediaより引用

そしてトップのサムネ画像になっている石がペロブスカイト鉱です。


なぜ注目されるのか

一般的な例でいうと、シリコン太陽電池が有名ですよね。そんなに身近ではないかもしれないですが、よく写真とかで見かけるやつです。

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ただシリコン太陽電池というと大きなパネルで重そうだなと感じると思います。もっと手軽に使えるサイズのものありますが、薄く小さくすると十分な電力が得られないんです。

それに対して、ペロブスカイト太陽電池は近年フィルムにすることができるようなりました。フィルムにしても効率的に発電することができるのがペロブスカイト太陽電池の強みなんです。

しかも、ペロブスカイト太陽電池の発電効率は年々向上してきています。シリコン太陽電池は現在20%台の効率で、理論上30%が限界だといわれています。ペロブスカイト太陽電池はここ数年で20%の効率に近づいてきているんです。いよいよシリコン太陽電池に迫る勢いです。

ペロブスカイト太陽電池の高効率発電・フィルム化は太陽電池界隈ではすごいブレークスルーなわけです。なぜならフィルム上になって薄く軽くなり、しかも折り曲げることすらできるようになったというのは、それだけ様々な場面で使えることを意味します。

しかも、薄くなって良かったねというだけでなく、そもそもペロブスカイト太陽電池は非常に低温の100℃程度で作れてしまうんです。

こういうと、え?100℃って十分熱いじゃん!って思われるでしょう。多くの人が100℃は熱いと思うはずです。でもですね、シリコンの場合は1500℃以上の温度が必要になるんですよ。

当然シリコンを融かすのにもエネルギーが必要です。エネルギーを生み出すためのシリコン太陽電池を製造するのに多大なエネルギーが必要というのは何とも皮肉な話ですよね。


最後に

今回は最近話題のペロブスカイト太陽電池について紹介しました。

アカデミックの世界ではかなり前から期待されていましたが、ついに産業界に進出してきたペロブスカイト太陽電池、これからの進化に目が離せませんね。

今回は本質的なペロブスカイト太陽電池の原理については紹介できなかったので、またの機会に紹介したいと思います。


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