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結晶小噺:閃亜鉛鉱~実は美しい鉱物~

みなさん、閃亜鉛鉱って知ってますか?スファレライトともいわれます。

これを知ってるという人がいたら、鉱物好きか、固体物理を習ったことのある大学生でしょう。今回は閃亜鉛鉱について紹介したいと思います。

最初は固いかもしれませんが、魅力は後編にあるのでぜひ最後までご覧ください!


閃亜鉛鉱とは

固体物理、特に結晶を学ぶ大学生は絶対に通る結晶構造の1つが閃亜鉛鉱です。
化学的にはZnS:硫化亜鉛という物質です。

授業で習うときは下の図の構造が閃亜鉛鉱だと習います。

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どうして閃亜鉛鉱を習うのかというと、この構造がダイヤモンドの構造に近いからです。

この灰色の原子と黄色の原子が全部同じ炭素になった場合、ダイヤモンド構造となります。

つまり全部炭素Cでできているダイヤモンドに比べて、半分がZn、半分がSというわけですね。

ちなみに大学で習う基本の結晶構造は、単純立方(sc)、体心立方(bcc)、面心立方(fcc)、六方最密(hcp)、ダイヤモンドであり、そのおまけとして閃亜鉛鉱が出てきます。

たぶん金属系とか材料系の大学生はテストとか出てきてめんどくさいなと思っているでしょう。

確かに使わない人にしてみれば、今後一生出会うこともありません
私も研究に関しては全く関係のない知識です。

そして多くの学生は気づいていないのです。いや、見たこともないのです。

閃亜鉛鉱の結晶構造を知っているのに実物を見たことがない工学部学生は多いと思います。

閃亜鉛鉱は美しい

本編はここからです!

閃亜鉛鉱はかなりきれいな鉱物です。
wikipediaを見るときれいに見えません。もったいないなと感じますね

鉱物マニア・宝石好きの閃亜鉛鉱はこちらですね

このちょっと濃い目のオレンジ(べっこう色かな)という少し渋いけどとてもきれいな鉱物です。ものによっては少し値が張ったりします。

鉱物としてもきれいなオレンジ色であり、磨けばダイヤモンド構造に勝るとも劣らない輝きを放つ、素晴らしい石ですね

このきれいな色は、不純物の鉄の量によるみたいです。
不純物がないと白、多すぎると黒になるようですね。つまり、適度に含まれているとオレンジから赤っぽい色になり、見ていて楽しいです。

ちなみに英語版のwikiではこんな感じのきれいなギャラリーが見れます

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引用元の英語版サイトはいい仕事してますね。


ウルツ鉱

閃亜鉛鉱と全く同じZnSでも六方晶の結晶構造をウルツ鉱といいます。これも大学の結晶学で出てきますね。

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wikiより引用

こちらは閃亜鉛鉱と全く同じ組成なんですが、結晶構造が違います。
つまりZnとSの原子の位置が違うわけです。

画像3

wikiより引用

結晶構造が違うだけで、こんなにも雰囲気が異なります。

最後に

今回は、固体物理では避けては通れない、だけどその素晴らしさがあまり認知されていない閃亜鉛鉱を紹介しました。

正直大学のテストに出てくるめんどくさい結晶構造ですが、視点を変えれば別の素晴らしさが出てきます。

結晶に関わらずいろんな視点を持って物事を見るのは大事だな~と感じますね


wikipedia:

https://en.wikipedia.org/wiki/Sphalerite

https://en.wikipedia.org/wiki/Wurtzite

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