結晶小噺:骸晶とは~ビスマスのガタガタ結晶~
みなさん骸晶って知ってますか?
骸骨の「骸」に結晶の「晶」で「骸晶」といいます。
この骸晶、結晶成長の分野では結構有名で、ビスマスなんかがよくこのこの骸晶として得られます。今回はそんな骸晶について紹介したいと思います。
骸晶とは
骸晶の例としてはビスマスがもっとも有名ですが、他の結晶でも骸晶が見られることがあります。
写真のような結晶の中心部が凹んだ状態になったものを骸晶といいますが、英語ではHopper crystalというそうです。
調べてみるとHopper carというものがあって、その形に似ているからHopper crystalらしいですね。
個人的には日本語の骸晶の方がまがまがしい感じが出ててセンスある名称だなと思います。
骸晶はどうやってできる?
そもそもこんな不思議な結晶はどうやってできるのでしょうか
以前、樹枝状になるデンドライトを紹介しましたが、骸晶もデンドライト同様にとても濃い溶液中だったり、とても冷やされた環境にいたりするときにできやすいとされています。専門用語では過飽和といいます。
これは結晶にたどり着いた原子が結晶の淵で取り込まれてしまい中央が全然成長せず、結晶の角とか淵だけがどんどん成長していきます。そのため中央部が凹んでしまうんですね。
この淵から成長していくのをベルグ効果といいます。まあこの名前を覚える必要はないでしょう。ただ結晶成長って結構奥が深いんだなと思っていただければ、嬉しいですね
骸晶だったら何がいいの?
正直これにどんな回答があるのかはわかりません。あえて骸晶を作るというのはあまり聞いたことがありませんね。
しかし骸晶が観察されたらその時の結晶成長の状態、どんな環境で結晶が育ったのかがわかります。きれいなツルツルした結晶を作りたいのに、表面がガタガタな骸晶ができてしまったら、結晶の成長条件を見直そうといったところですかね。
最後に
小噺ということなので、これくらいでサクッと終わりにしておきましょう。
産業とか工学の観点で骸晶はあまり良いものとされていませんが、鉱物マニアからすると普段きれいな表面を持つビスマス以外の結晶が骸晶化しているとワクワクしてしまいます。
希少価値が高いということですね。
今後もこんな感じで不思議な結晶について紹介していきたいと思います。
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