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【血管の石灰化】血管が石になる?

石になるというと少し言いすぎですが、私たちの血管は硬くなりひどい場合は石灰化というカチカチの塊ができてしまいます。この血管内を固めてしまう石灰化は、動脈硬化の原因になるなど私たちの健康に大きな影響を与えます。

今回はそんな血管の石灰化について紹介していきたいと思います。


血管内にできる石の正体

血管の石灰化とは、その名の通り血管の内壁が石灰というカルシウムの塊になってしまう現象です。

石灰化と言っていますが、その正体は何なんでしょうか?もう少し詳しく見てみましょう。

カルシウムというと聞きなれた表現ですが、カルシウム自体は金属の名前です。体内にあるカルシウムは水に溶けたカルシウムイオンか骨や歯になるヒドロキシアパタイト結晶が有名です。

今回の石灰化と呼ばれるのは主にヒドロキシアパタイトのことを指しています。つまり、血管の壁に骨や歯によく似た結晶がこびりついているという状態が想像できます。

そう考えるとちょっと恐ろしい状況ですよね…

レントゲンを想像してもらうと分かりやすいと思いますが、カルシウム塊(ヒドロキシアパタイト結晶)はX線を使うと白く写ります。そのため、X線CTなどを使うと、血管にできたカルシウムの塊の位置を調べることができます。

こんな感じで白く明るく見えるところが、石灰化

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https://pubs.rsna.org/doi/full/10.1148/radiol.11103574より引用


また、血管の石灰化には大きく分けて2つあるといわれています。

石灰化の種類

①動脈硬化のプラークによる石灰化

血管内にプラークと呼ばれるドロドロの物質がへばりついて血管が硬くなってしまう現象を動脈硬化といいます。

動脈硬化に関してはこちらから↓

このドロドロなプラークがある周辺で細胞が死に、そこにカルシウムが集まってしまい石灰化が始まります。(詳細は後述)


②糖尿病に関係する中膜の石灰化

血管は少し詳細に観察すると3つの層に分けられます。そのうち、真ん中の層である中膜が石灰化するそうです。

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https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/15/071300026/011600195/?P=2より引用

一般的には加齢を伴い変性した繊維へカルシウムがくっつくことによって始まると考えられています。

結晶化の原因

ドロドロしたプラークの周辺で、細胞が死んだり、血管内の細胞が骨を作る骨芽細胞のようにふるまうと中から基質小胞と呼ばれる小さな粒が出てきます。これがカルシウムの結晶成長の始まり(核)となって、石灰化が起こるといわれています。

結晶成長には核形成と成長という2つのステップがあり、皆さんが想像するよりも最初の小さな核ができる核形成が難しいんです。つまり、生物的な作用で出てきた小さな粒が核の役割を果たすことで、結晶ができやすい状態になっていると考えられます。

これは塩水を冷やしたときに、溶けきれなくなった塩が析出するのと似ています。というのも、塩を完全に溶かしきってしまうと、冷えてもなかなか析出してきません。一方で、目に見えないぐらい小さなゴミや小さな塩の結晶(核)が塩水の中に浮かんでいると、すぐに塩が析出します。

このゴミや小さな塩の結晶(核)と同じ役割を果たすのが、基質小胞という細胞から出てくる粒なんですね。

ここで1つ考えられるのは、結晶の成長のためには原料がなくてはなりません。そのため、結晶化を助長する小さな粒の存在は問題ですが、結晶ができにくい環境を作ってやれば、石灰化が防げるかもしれませんね。

医学や生物に関して専門でないので、これ以上は踏み込めませんが、物理的な視点から考えれば、石灰(ヒドロキシアパタイト結晶)の原料となる、カルシウムイオンやリン酸イオンが血液中に多くなりすぎないようにしてやればいいのかなと思ってしまいます。

最後に

今回は血管内にカルシウムの塊ができてしまう石灰化について紹介しました。
血管内に石のようなものができると思うと想像するだけで恐ろしいですが、そのようなことが起こらないように健康的な生活を送りたいですよね


参考
http://j-ca.org/wp/wp-content/uploads/2016/04/5005_toku7.pdf

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