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唄、あるいは記憶の記録 Part1

君は音楽を通じて、誰に何を届けたいの?

ライブハウスの胡散臭い大人達が若いバンドマンに打ち立てる問いランキング1位。


というのは冗談だが、そんな質問に頭を抱えた友人が、僕にも訊いてきた。

自分が音楽を通じて何を届けたいか、確かにパッと答えられない。でも、パッと答えられるような人は、なんだか胡散臭い気もする。「皆んなに元気と勇気を......!」なんて鼻の穴を大きく膨らませながら言われたら、フッと笑ってしまう。いや、トータス松本さんがピースしながら満面の笑みで言っていたとしたら最高にカッコいい。


ちょっと捻くれてしまったが、僕の場合どうだろう。

「音楽」とは一括りにせず、「音」と「詞」を分けた方が良さそうだ。

「音」に関しては、完全に趣味だ。悲しみにどっぷり浸るようなサウンドは好みじゃない。絶望の中に微かな光が差したり、温かさの中に切なさがあったり、そんな雰囲気が好きだ。

仕事でミスをして怒られて落ち込んだって、飯は美味いし、肩を叩いて慰めてくれる友達に会う口実になる。失恋したって、音楽がいつもより沁みるし、あの子を想ってドキドキした日々は変わらず美しい。

死にそうなくらい辛くて悲しい出来事が起きても、死ぬわけじゃない。多分それは「生きててよかった」って瞬間のための伏線なんだって思うようにしている。

はたまた、昔から通っていた喫茶店は、いつの間にか潰れちゃってるし、大好きなアーティストのライブがどれだけ盛り上がったって、帰り道は寂しい。大事な人ができたって、いつか別れを告げなければいけない日が来る。

でも、だからこそ、今を、その時々を大切にしようと思える。


絶望の中に微かな光が差したり、温かさの中に切なさがあったり、こういう微妙な不安定な人間的なバランスを保ったサウンドが好きだし、自分の歌詞を支えてくれるものだと思っている。


あれ、結果的に「皆んなに元気と勇気を......!」みたいになっちゃってないか。いや、そんなんじゃないと思うけど、もしそうなら、僕もトータス松本さんみたいにカッコよく言える漢になりたい。「そんな男に〜おれはなってやる〜」(♫ トータス松本 - ブランコ)


おっと、思ったより長くなってしまった。

「詞」については、次回にしよう。今タイトルに Part1 と付け足した。

おやすみなさい。

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