鼻歌ははるのうららの…
この前の土曜日、坂の上のコミュニティバス停場に、行列ができていました。上着を脱ぎたくなるような陽気でしたから、それぞれの春を見つけに行く人たちなのでしょう。列に並んでいると、どこからかメロディーが聞こえてきました。
え?鼻歌?
振り返って声の主を確かめたくなるのをこらえました。最近は、すきま時間にスマホであれもこれもできるから、鼻歌を歌うような手持ち無沙汰な時間はありません。
前を向いて聞き耳を立てていると、Hum〜 Hum〜 Hum.
この歌は…
春のうららのす〜み〜だ〜がわ〜
上り下りの船人の〜
バスがまだ来ないかしらと、確かめるふりをして後ろを見ると、まだ若い女性でした。またちょっとした驚きです。あいみょんのハルノヒではなく、スピッツの春の歌でもなく、滝廉太郎の『花』。彼女は合唱団にでも所属しているのかしら?
最近のJ-POP のビートに今ここで生きている心臓の鼓動が共鳴し、メロディーからアーティストの瑞々しい感覚が溢れています。一方でこの歌のように古い歌の良さが、今も共感されるなら嬉しいなぁと、鼻歌に合わせて、歌詞の美しさを味わいながら、聴こえないように、口ずさみました。
春のうららの隅田川
上り下りの船人の
櫂の雫も花と散る
眺めを何にたとうべき
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