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Life|MAGARIのある生活8カ月目

2019年7月に始めた、食の編集者がレストラン内でリモートワークする「MAGARI」は、これまで不定日の開催だったのを、毎週木曜にすることにしました。

当初は、お店の予定や、シェフの米澤文雄さんの予定も加味して、その都度開催曜日を変えていたのですが、半年以上たってありがたいことに、興味をもって連絡をいただいたり、僕自身が進めている取り組みの打ち合わせも増えてきたこともあって、曜日を固定することで、来ていただきやすくなるのではないかと思っています。

なんと先日はありがたいことに場所を間借りしているThe Burnのシェフ、米澤文雄さんに「失礼ですけど、何やっているかよくわからないMAGARI」と、光栄にも命名を受けました(笑)。

たしかにその通りで、実際、何やっているかというと、若い料理人さんのこれからのどう動いていったらいいかの相談を受けたり、事業のご提案・打ち合わせをしたり、食周辺のフリーランスのこれからを共に考えたり、お酒飲んだり、カリフラワーステーキ食べたり。

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さらにMAGARIは、飲食業界で何かを始めたいという人と人との出会いの場を目指しているので、「若い料理人を助けるような事業を始めたい」という相談でいらっしゃる方がいれば、過去にMAGARIで同じような相談をもってこられた方に来てもらって3人で話したり、なんてこともしています。

シェフや独立を目指す料理人、新規事業者、レストランプロデューサー、編集者、イベントプランナーなど、本当にいろいろな業種の方がいらしてくださいました。その話を聞いていると、取り組みや表現方法は異なりますが、みなさん「料理業界で何らかの役に立ちたい」という思いを持って動いている方ばかりで、こういった方々が先頭で進むことで、世界は変わっていくはずだと希望がもてます(楽観的すぎ?)。

「若手料理人バブル」が起こってる?

そんななかでU-30料理人向けの料理教室・懇親会「Easy going」やポップアップイベント「HINODE」、さらには20代の料理人のイベントに結構頻繁に通っていることもあって、「今の若手料理人ってどう?」みたいな、話を聞かれることが多くなりました。

飲食業界の外から参入しようとしているスタートアップ(シェアキッチンとかtoCプラットホーム)と若手料理人は相性が良かったり、「お笑い第7世代」みたいに、「若手料理人」というフレームで何となくひとくくりにされてしまったり、ちょっとした「若手料理人バブル」みたいのが確かにあるなと感じています。

でも実際、それぞれの若手の人たちに会ってみると、決して「今の若い子」や「若手料理人」というひとくくりで語れるものではなく、それぞれの個別の考えや仮説を持って、別々のゴールを思い描いて動いています。なので、僕も含めた年配者たちが彼らを消費するみたいに、「若手料理人という言葉だけを一人歩きさせないことが結構大事なのかなとも思っています。

MAGARIで気づいた「学びの場」の必要性

とはいえ、情報網の発達によってレストランの外で働く料理人が増えたのは、5年も前にはまったく考えられなかったことです。それは、レストラン業界以外の考え方や習慣、顧客との出会いという点で、確実に経験の幅が広がるいい機会だとも思います。

一方で、レストランから飛び出して、フリーで活動している料理人も増えましたが、僕の肌感覚では「インプットの質」を求めてもう一度レストラン勤務に戻っている感じもあります。

それはつまり、「インプットの質」を高める、料理人にとっての質の良い仕事は、レストランにあるということ。

しかしながら僕は、フリー料理人の増加は、外の業界を知ることと円滑な人材の流動によって、旧態依然とした技術継承構造の改革につながると思っていて大いに賛成しています。レストランが結局また元の閉じた世界になってしまうのではないか、という残念な気持ちも生まれています。

またアルチザン(職人的)なシェフの育成の文脈を離れて、たとえば性格として組織のなかで働き辛かったり、家庭の事情などのなんらかの障害があるなどの理由でレストランを離れてフリーで働いていく人たちにとって、レストランの外にいても「インプットの質」を高められるような場所がないというのものが、別の面では問題のようにも感じます。

そこで、そのためのYoutube動画だったり、オンラインサロンだったり、勉強会だったり、そういった「学びの場」ができないかな、と考えています。それは、レストランに勤務する若い料理人にとっても、有意義な情報になるのではないか。

僕は、「どんな料理人であっても、夢をかなえられるステージはある」と思っていて、そのためにステージの選択肢を多くすることを自分がこの業界に貢献できるミッションだと考えてています。その一つとして、誰もがアクセスできる質の高い「学びの場」を作ることができないか、そんなことを2020年になって考えています。

すでに、現在YouTubeかラジオで、料理の歴史や哲学を語るようなアカデミックなコンテンツを考えていたり、若手料理人とそれを食べる側が一緒になって食のリテラシーを高められるコミュニティを進めはじめています。

どこまで実現できるかわかりませんが、あと2、3年後に本当に「2020年頃は、若手料理人バブルだったね」なんてならないためにも、どんな生き方の選択をしても「料理人が学べる場」は必要になってくるはずです。

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