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『フランス料理の歴史』18世紀●宮廷のスぺ(夜食)

4/4(日)の朝7時から、料理家で作家の樋口直哉さんと『フランス料理の歴史』(角川ソフィア文庫)についてお話をする企画の第4回目があります。

フランス料理の歴史をもう一度学んでおきたいという興味に、樋口さんにお付き合いをしていただいています。今回はいよいよグランド・キュイジーヌ(偉大なる料理)ということで、フランス料理の誕生になります。

当日のあんちょことしても使えるように、予習したことをnoteにまとめておこうと思います。

18世紀フランスの歴史

毎度、まずはフランスの歴史から。戦争に負けまくった時代で、国民の不満が積り、18世紀末にいよいよフランス革命が勃発します。

1713年 スペイン継承戦争のフランスとイギリスの間の講和条約「ユトレヒト条約」が締結。
1715年 ルイ14世が壊疽で病死。5歳の曾孫ルイ15世が即位、ルイ14世の甥オルレアン公フィリップ2世が摂政に就任。
1723年 ルイ15世が親政を宣言。
1748年 オーストリア継承戦争の終戦。フランスは特に得るところがなく、民衆の不満が高まった。
1763年 七年戦争を終戦。フランスはイギリスにカナダ、フランス領ルイジアナなど海外植民地の大半を割譲した。
1774年 ルイ15世が死去、孫のルイ16世が即位、
1778年 フランスが13植民地の独立を承認、これによりアメリカ独立戦争に参戦した。この後、勝利したフランスは1783年のヴェルサイユ条約でイギリスと講和したが、セネガルしか得られず民衆の反発を巻き起こした。
1789年 バスティーユ襲撃でフランス革命が始まる。

フランスの文化芸術

演劇でいえば、17世紀に啓蒙思想が生まれ、モリエールなどの劇作家が生まれたのもの、18世紀は大きな変化はなく停滞していた。

絵画では、ロココの時代といわれ、フラゴナールなどの画家を生んだ。心地よく表層的な絵画が好まれたが、絵画史としては、表層的で、これもまた停滞期ということができそうだ。

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フラゴナールの代表作《ぶらんこ》には、ぶらんこを楽しむ貴族の女を中心に描いていますが、そのまわりにはブランコを操る男(女の夫)と、下から覗く男(不倫相手)、ある種の権力者の能天気なバカバカしさも描かれています。そうした乱痴気騒ぎの空虚な時代だったともいえそうです。

そういった意味では、文化・芸術に大きな進歩はなかった。その一方で、イギリスでは産業革命が起こって、世界の覇権国家になった。外食産業がすでに行われていた可能性もありそうだ。

「レストラン」という言葉が生まれた

この章で特筆すべきは、「レストラン」という名の食堂が街のなかにすでに生まれていたことだ。

一般的には、貴族のお抱え料理人がフランス革命で職がなくなり市井で店を開いたのがレストランの始まりとされていますが、実際は、パリのルーヴル通りのブーランジェという人が開いた居酒屋が「ブイヨン・レストラン」(元気回復ブイヨン)という名前だったそうで、最初の例といえます。

よくレストランの語源は「回復する」という意味だったことは知っていましたが、それが貴族の機嫌ではなく、町の居酒屋が起源だったことは驚いあた。このあたり、レストランの本質の問い直しになる可能性がありそうです。

また、「視覚は他の感覚よりも高貴で精神的なので」という記述がある。ヨーロッパで五感は、触覚→味覚→嗅覚→聴覚→視覚の順に高貴なものとされています。触覚や味覚は、触れたり食べたりといった物質的な接触を前提としますが、高貴になればなるほど、離れて感知するためより精神性が高いものとされていたそうです。

視覚の食が大切にされ、華美に装飾される食卓の源泉には、そういった精神性の高さのなかにいようとする啓蒙思想の現れなのかもしれません。

そういった自制を課す文化であるにもかかわらず、

結局、召使いは食卓という小宇宙の秩序をかき乱すのだ。召使いは、貴族たちに、国王にお仕えしているあまり自慢にならない自分自身の姿を思い起こさせる。ラケ(召使い)は実に興醒めな存在なのである。(106ページ)

といい、食卓から召使いを排除し、支配関係が発揮とした享楽的な宴を繰り広げていく。そういった矛盾というか、中世社会の終焉のようなものも食卓には表れていそうです。

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明日は「Life」。

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江六前一郎|@icro_erkme

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