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来年の夏に会いましょう

 晩秋。

 最近の秋は、とても肌寒い。

 次に待ち構えている冬が微笑んで、夏の名残もなくなった日、私は暑い夏にお世話になった冷たい彼を思い出していた。

 多分、全国各地の夏には、沢山店頭に並んでいることだと思う。

 棒状アイス。

 凍らせたそれを、真ん中でポキっと折って、二人で仲良く食べる氷の棒だ。

 私はそれを『交代ジュース』と呼んでいる。

 なぜそう呼んでいるかは、子供の頃から母がそう呼んでいたからだ。

 その棒状のアイスは、私の周りでもそれぞれに呼び名が違う。

 ポキポキ。

 カンカン棒。

 チューチュー。

 ポキッ!。

 など、私の周りでは彼の呼び名は統一されていない。

 小学生の時、その家庭ごとに呼ばれる棒状アイスの名前を友だちと確かめ合って、盛り上がったことを思い出した。
 私が『交代ジュース 』だと言うと、友達はゲラゲラと笑った。

「なんで交代なの? それ、違うでしょ!?」
「絶対違うと思うよ! 凍ったジュースならわかるけどさー!」

 などと皆は言い、私を攻めてきた。
 彼の名で、そんなにもディスられると思っていなかった私は、大変傷ついた。
 でも、どんなに攻撃されようと、夏に会える彼の名は、私にとって『交代ジュース 』なのだ。
 そのように幼少期から刷り込まれてきた。
 今更彼の名を変えるつもりもなく、この生涯を『交代ジュース 』で通している。
 そしてその呼び名を、私の2人の子供たちにも引き継いだ。

 彼の正式名称は、何なのだろう。

 ネットで調べてみたら、彼の名は、『チューペット』だった。

 私の地域の周りには、そんな呼び名で呼ぶ者はいなかった。

 ちなみに私が呼んでいる『交代ジュース』も、なにそれ? と笑われそうな少数派なのだと思う。というか、その呼び名で呼んでいる人に会ったことがない。

 シーズンオフで、もう店頭で見かけることのない、様々な名称で愛されている棒状アイス。
 今年の夏も、大変お世話になった。

 誰に何と言われようと、私達家族にとって彼の名は、『交代ジュース』

 彼とはしばらくお別れだけど、感謝の気持ちは忘れない。

 来年の夏、また会おう。
 
 
 








 
 
 

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