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いつかすべてのマリコたちー益田ミリ『マリコ、うまくいくよ』
会社の人に「満島さんこれ好きだと思う」と勧められて、読んで、しんどくて途中で本を閉じた。
オイオイオイ、勘弁してくれ、益田ミリ。
こんな、家で焼くホットケーキみたいな素朴な絵柄で、どうしてこんな劇物を調理できるんだ。1話6Pで致死量だよ。それが31編も入ってるんだよ。
本当勘弁してくれ。
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同じ会社で働く、入社2年目、12年目、20年目の3人のマリコ。
3人の視点から順々に、会社での日常
彼らの異常な純愛ー椎名うみ『青野くんに触りたいから死にたい』
読みながらずっと、嫌な予感を感じている時のあのリズムで、心臓が鳴っていた。だって、どうやったって二人の運命は、悪い方にしか転びそうになかったからだ。
高校生の優里は、唐突に青野くんに恋をした。
全然友達のいない彼女は、ちょっと話しかけられただけで同級生の青野くんが自分のことを好きなのかもと思い込み、彼氏ができちゃうかも、とドキドキする。青野くんと廊下ですれ違った時、話しかけられるどころか視界
あの日の君を救うということ。
雨の廃車場で、地面を掘り返して何かを探す女がいる。彼女は爪を土で汚しながら思い返している。ここ一年半の間に出会った人、起こった出来事について。そして、彼女が決して立ち会うことのできない、彼らの過去について。憤りを覚えながら、時間を巻き戻すことなどできないと知りながら、彼女は掘る。とある人が失くした、自転車の鍵を探して――。
主人公は、県職員の採用が決まっている大学四年生のホリガイ。変わってい
入れなくてもここにいるーこだま『夫のちんぽが入らない』
著者の自伝的エッセイだ。兎にも角にもすごいタイトルだけど、奇をてらい、インパクトを出すための客寄せのタイトルではなかった。ではどんな内容かと言われたら「夫のちんぽが入らない話です」としか言いようがないのだが、読んでみればきっと、この作品はこのタイトルでしかありえなかったとわかるはずだ。
著者・こだまさんは、田舎で生まれ、ヒステリックな母からの暴力を、身を縮めるようにして避けながら育った女性だ