ルノーエリコ

南フランスの小さな村にピアノ教室をひらきました。 音楽、本、ヨガの暮らし。

ルノーエリコ

南フランスの小さな村にピアノ教室をひらきました。 音楽、本、ヨガの暮らし。

マガジン

最近の記事

  • 固定された記事

今朝、娘から担任の先生の年齢を聞いて驚いた。 44歳だって。え! 彼女は昨年秋からこの村の校長先生となり、 1年生と2年生の合同クラスも受け持っている。 失礼ながら、もっとずっと歳上だと思っていた。 とはいえ マスクで顔はよく見えないので 醸し出す雰囲気(なんといっても校長先生だ)や エレガントな服装から勝手に。 考えてみたらこの国の大統領は77年の生まれ、現在43歳だ。 (私、娘、母、女三世代!) かくいう私も77年生まれ、あと数ヶ月で44歳になる。

    • 未来の音楽

      先日、娘にとって大切なピアノの試験が終わった。 音楽院の第3過程に進む飛び級試験で、 2ヶ月前からそのための準備をしていた。 審査員は院長先生と外部からの先生の3人で、 写真は娘の先生が送ってくださった。 試験は土曜日の午前中、私は仕事があったので 夫が付き添った。 試験の時間中はソワソワソワして待っていたら 審査員の賞賛つき満場一致で合格、 という良い結果が届いた。 とても集中して良い演奏をしたそうだ。 いつも厳しいヴェロニク先生も、 ずいぶん褒めてくださった。 この

      • 彼のいない春に

        夏時間になり 北向きで日当たりのあまり良くない我が家にも お日様がやってくるようになった。 テラスにもよく陽がさすようになり 洗濯物をたっぷりと干せて嬉しい。 猫のパールは ここ数日 朝は陽だまりの下で日光浴をしている。 その姿を見ながら とつぜん思った。 ああ、 パールにとっては初めてのひとりの春なのだ。 相棒だった武蔵は11月の末に逝ってしまった。 太陽が大好きで、冬の間も 僅かな日の光を見つけては 気持ちよさそうに寝そべっていた。 いつも武蔵にくっついていたパール

        • 静かに正確に燃やすこと

          先日、あまりピアノを練習してこなかった言い訳に オリンピックマスコットを学校から 持ち帰ったから、という子がいた。 マスコットって、フリージュのぬいぐるみ? で、何してたの、そのマスコットと? と聞くと それはもういろいろ、と さぞ大変だったという様子で彼女は話し出した。 一緒におやつを食べたりブランコに乗ったり‥。 あまりにオリジナルな言い訳に 私は笑い出してしまった。 白血球みたい、などと周りの友人達には 不評のフリージュだけど 子供達には人気なのかしらん。 娘

        • 固定された記事

        マガジン

        • Music
          144本
        • LIFE
          243本
        • Book
          56本

        記事

          音の繋がり

          どうしてママはソロの曲を弾かないの?と 娘に時々聞かれる。 思い出したように バッハやショパンをさらっては また楽譜を仕舞い込んでいる様子を見ているのか、 あれ、もう聞こえないなと思っているのか、 まあとにかく心が一瞬でギクッと疼くことを 子供というのは外せないタイミングで言うものだ。 だって時間がないんだもん!と言うのが いちばんの言い訳。 才能も努力も足りなかったことは事実だけれど、 ソリストとしてご飯を食べていく夢を見たことは 考えてみたら一度もないのだった。 私は

          ようこそ我が家へ

          このごろ外出中に思うのは 「早く帰ってピアノを弾きたい」 こればっかりだ。 なぜなら我が家には 3週間から新しいピアノくんがいるのである。 中古ピアノ探しの旅に出てから4ヶ月、 いろいろなピアノに出会った。 業者さんのところでも 個人のお宅でも それぞれのピアノに 物語があって興味深かった。 あるお宅でのスタインウェイ。 素晴らしい音色に 少々予算を超えても、と心が動いたが メカニックに故障を発見して断念。 ひとときはヤマハC5、カワイKG5など 低音の美しい大きなピ

          ようこそ我が家へ

          夏時間とイースター

          朝、雨戸を開けると 庭に勝手に生えて育った桑の木(たぶん)に 鳥がとまっていた。 フランスでは、毎年3月最後の週末に夏時間を迎える。 正確には日曜の午前2時に変わるんだそうだ。 1時59分から2時を抜かして3時になる。 その瞬間を見たことはないけれど とばされちゃった2時はどこにいくのだろう。 娘が小さい時 朝は、おひさまおはよーっと空に挨拶をして ママ、夜はどこにいるの?と よく聞いていた。 そして夏時間になると 夜が小さくなった!と言って 可愛かった。 さて今年は

          夏時間とイースター

          Be strong

          夫が芸術監督を務める Les soirs du piano フェスティバルで 今年も素晴らしい演奏を聴いた。 イタリア人ピアニスト、レオノーラ・アルメッリーニ氏は 前回のショパン国際ピアノコンクールの入賞者だ。 夫が何度もラブコールを送り 演奏会が実現した。 リハーサルに夫は 娘と、彼女の親友ニナを連れて行った。 ニナのママはイタリア人、 マネージャーさんとのメールのやり取りでは ずいぶん助けてもらった。 ニナもイタリア語はペラペラだから リハーサルでも誇らしそうに通訳を

          パリで歳を

          パリ滞在3日目に私は誕生日を迎えた。 ママおめでとう!と 娘が朝一番にプレゼントをくれた。 自分で書いた短編だ。 「下水道の鼠についてのフィクション」 渋いタイトルに負けず 中身はかなりミステリアス。 私が子供の頃に書いていた双子の話を 覚えていて ヒントにしてくれたそうで嬉しい。 日本の家族や親友、 南仏の友人たちからメッセージをもらい ジーンとしていたら 夫の計らいで 昼食は 夫の親友と 夜は 別の友人たちと3家族で外食をすることになった。 その会食の合間に 娘は今

          3月のパリにて

          娘のピアノレッスンに付き合って 家族でパリに行った。 今回は2日続けてレッスンを受けることになり 改装中の16区のアパルトマンに引っ越した 友人一家の家に3泊、とってもお世話になった。 ずいぶん前、留学準備でパリにひとりで到着し 最初に泊めてもらったアパートも16区だった。 オスマン建築の建物が並ぶ高級地に 胸が高鳴った。 あの日から25年が経とうとしているのに やはり私には場違いな感じだ。 友人家族には バレリーナの卵のお嬢さんがいて 彼女の立ち振る舞いの美しさに 緊張

          3月のパリにて

          大切なことはすべて子どもたちに教わった

          マルセイユの猫劇場で紙芝居コンサート6公演。 忘れないうちに記録を残しておこうと思う。 50分くらいのプログラムを、という依頼だったので 今回は紙芝居を2本することになった。 まずは 「おおきく おおきく おおきくなあれ」 (まついのりこ作) この参加型の楽しい紙芝居は 娘が小さな頃から大好きで、 コンサートでも日本語の授業でも大活躍、 ここに湯山昭氏のお菓子の世界の音楽をつけた。 そして 数年前に出会って感激、フランス語に翻訳して あちこちで紹介させてもらっている

          大切なことはすべて子どもたちに教わった

          猫劇場の舞台で

          猫の看板が目印の Théâtre des chartreux という劇場で 紙芝居コンサートをしてきた。 Chartreux シャルトルーというのは マルセイユ4区にある地区の名前で 中にChat(シャ=猫)が入っている言葉遊びなのだそう。 小さなアップライトピアノと紙芝居の舞台が なんだかレトロで良い感じ。 この舞台で 2月28日から4日間に渡り6公演! なかなかハードな、 すごーく貴重な体験をさせてもらった。 劇場を経営している エリックとキャロリーヌというご夫妻

          猫劇場の舞台で

          好きになりたい

          2月も残りわずか、桃の花が咲き始めた。 スキー休みと呼ばれる休暇が始まったけれど いくつもの本番を控えているので 普段よりも忙しい。 そんな中、英語の宿題である 星の王子様を読んでいる。 先週、9歳の生徒くんに読書は好き?と聞いたら 生真面目な様子で 「好きになりたいんです」 と返ってきた。 好きでも嫌いでもなく 好きになりたいという 思いがけない言い方に胸を打たれ 粋なこと言うわね、、と まじまじ顔を見てしまった。 さて、外国語の読書には深い読みとりが要る。 言葉の

          好きになりたい

          11

          よく晴れたあの日から11年。 週末は親友のニナを呼んで パジャマパーティーをした。 満開のアーモンドの花の下で 自転車を試す少女たちが なんとも良い光景だった。 一ノ瀬カイは親友とピアノの師に出会い、 ビリー・エリオットは踊ることで自由を手にし、 アン・シャーリーはグリーンゲイブルズに到着しました。11歳、夢の始まりにふさわしい歳に! 美しい音色と心躍らせるリズムを、 鮮やかで詩的な言葉を そして素晴らしい景色を毎日感じながら 大きくなってください。 さよなら10歳の

          ボージャングルを待ちながら

          眠りにつく前に 明日は 何の本を読もう 何の曲を弾こう とワクワクしていられることは幸せだなあと ふと思った。 日々のルーティンを大切にする男性を描いた 映画パーフェクトデイズを観たあと、 正反対の世界を表す本を読み終わった。 ちょうどバレンタインにぴったりの ロマンティックなラブストーリー。 デュオを組んでいるチェリストのエルザが 貸してくれた。 フランス人作家のオリヴィエ・ブルドー氏の 『ボージャングルを待ちながら』という小説だ。 ラブストーリーといっても 物語は

          ボージャングルを待ちながら

          世界の見方 PERFECT DAYS

          前から気になっていた映画を やっと観ることができた。 役所広司氏が カンヌ映画祭で主演男優賞を取ったと 話題になっていたパーフェクトデイズだ。 役所広司扮する平山は 東京の公共トイレを掃除するという仕事をしている。 1日のルーティンを守り 仕事をきっちりすぎるほど生真面目にこなし 日々の小さな喜びを楽しんでいる。 金銭的には裕福ではなくても 彼のささやかな暮らしが 豊かさで満ちているのが伝わってくる。 淡々としたリズムが 2時間以上の長編映画なのに気持ちよく ラストの平

          世界の見方 PERFECT DAYS