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台座におわす天空の街、アマディヤ(2019年9月アマディヤ)

メインの目的地の一つであるアマディヤへ、ショラシュと弟ハリワンが連れて行ってくれた。

1970年前後のクルディスタンを舞台にした日本で最初の小説の中で、主人公の日本人学者が過ごした街。

その主人公をして、日本での文明的な生活や名声や社会的地位を捨ててイラクへの移住を決意させた街。

その風景や人々との触れ合いについての描写に途轍もなく惹かれ、「行ってみたい!」と思うようになった。

アマディヤは台座のような岩山の上に作られた街で、遠くから眺めると、地上から大地が天に向かって迫り出したような地形をしている。

ここには古代アッシリア帝国時代の要塞が遺っていて、ここからの眺めが見事。
また、街中には高さ33メートルほどのミナレットがあり、それを登ることもできる。

まず登るためにはミナレットの鍵を持つ人を見つけなければならない。ハリワンがどこからか鍵番おじさんを呼んできてくれて、いかにも古そうなドアが開かれる。
すると幅50cm、踏面は半歩分くらいしかない螺旋状の階段が現れる。その踏面は鳥の羽、骨、卵、フンで覆い尽くされていて、一瞬ギョッとする。が、上るしかない。

暗い中、ジャリジャリ音を立てながら不安定な踏面を踏みしめて103段上っていった先からはアマディヤの街全体が見渡せる。

小説の著者は実際にイラクで数年間生活しており、その経験を元に作品を書き上げた。先生もこの景色を見ただろうか。

遂に訪れることができた。嬉しい。

アマディヤからドホークに帰ると、ハリワンが「これから弟がやってる美容院行くで。ヒロアキも切るか?」と聞いてくる。

夫は出国前に散髪したばかりだったので丁重に断った。
が、
「ええからええから、遠慮せんでええから、座り座り!」
羽交い締めの勢いで座らされ、バリカンでガンガン刈り上げられる。剃刀もフォーム無しでガンガンあてられる。

クルディスタンの若者に流行のヘアスタイルに変身したうえだ、きっと日本で皆様の目を楽しませることができるでしょう。

そして夜には、クルディスタン名物の「日本人だよ!親戚全員集合」が待っていた。

一日中の外出でなかなか疲れている、昼も夜も異常な量のご飯を食べている、というコンディションで、蜂の巣をつついたような騒ぎの中に放り込まれ、好奇の視線の中に晒され続ける。

2時間ほどの滞在後、ショラシュが「帰ろか」と素晴らしい提案をしてくれたタイミングで、ここは宮殿かなんかですか、と見紛うほどのフルーツ盛りが登場。
飢えた獣のように皆一斉に果物にむしゃぶりつく。家族の長であるゴッドマザーは、我々の前にガンガン果物を積んでくれる。

「恥ずかしがらんと食え食え もっと食え!」
心が泣いていた。
「もう何も食べられへん!!」

フルーツタイムが終わり、集まった30人ほどの親戚一人一人との記念撮影を耐え、ようやくショラシュ宅へ戻ると、
「お誕生日おめでとう!」
誕生日ではない私たちへの誕生日ケーキが用意されていた。でかめのホールで。
心を尽くしてもてなしてくれることが本当にありがたく、目の前に並ぶ優しい笑顔を前に絶対言えないけど、
「もう何も食べたくない!!!死ぬ!!」

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Pêşmergeの環境担当部署の本部を訪問。長官と思われる人の威厳と風格がすごい。

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アマディヤへ

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アマディア

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アマディヤのミナレット

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ミナレットの上から

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アマディヤの要塞

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ザクロをとりにいくハリワン

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とれた

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ミナレット内部の階段。狭くて怖くてひたすら怖い

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宮殿のフルーツ盛り

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瞬時にこうなる

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深夜に手作りホールケーキ(でか)も登場

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