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『麦の海に沈む果実』恩田陸 熱い想い

私が、恩田陸の小説で一番好きな本です。
最初のnoteをこの感想で始めたいと思います!

*あらすじ*
三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる北の湿原地帯にある全寮制の学園に、二月最後の日に転入してきた理瀬。
彼女が学園にやってきてから、いくつもの不可解な事件が起こる。
理瀬が迷い込んだ三月の国の秘密とは?

*感想*
恩田陸ワールド全開!
学園の雰囲気が幻想的で、なんとも素敵です。
ちなみに、舞台は我らが釧路!

殺人犯は誰なのか?理瀬を追う少年は?
黒い紅茶?野いちご?
謎がたくさん・・!
徐々に伏線が回収されていきます。

そして、中学2年生の時に初めて読んだとき、とにかく黎二に恋してしまったのが、淡い思い出…笑

もう何度も読んでいるのですが、今回6年振りに読んで、鏡の話題が所々にあるな~と気づく。
今思えば、わかりやすいのに今気づくなんて…
理瀬が最初に持ってた本も、鏡の国のアリス。
先に話してしまうと、関連小説にも鏡がよく出てきています。
鏡に映る自分を見るように、顧みる必要があることを訴えているのかもしれない。
もしかして、もう一つの世界を映し出しているのかも笑

鏡もそうですが、キャラ設定も、他の作品に跨って絡み合っています。
それは「三月シリーズ」で説いていきます。

*三月シリーズ*
恩田陸の小説の中には、三月シリーズと呼ばれている小説たちがあります。

本になっているのは以下の4冊。
①三月は深き紅の淵を
 第四章に「麦海」の一部が描かれています。
②麦の海に沈む果実
 「三月」の本の存在が出てきます。
③黄昏の百合の骨
 「麦海」の理瀬の何年か後を描いています。
④黒と茶の幻想
 「麦海」の憂里がキーパーソンとなっています。

その他、短編集に入ってる物語もあります。
・朝日のようにさわやかに「水晶の夜、翡翠の朝」
  「麦海」のヨハンが出ています。
・図書館の海「睡蓮」
  「麦海」の理瀬の幼年時代を描いています。
・謎の館へようこそ 黒 新本格30周年記念アンソロジー「麦の海に浮かぶ檻」
  「麦海」の校長、要の幼年時代を描いています。

他の小説にリンクしている部分があるなんて、そんなの大好き!ワクワクします。
だから伊坂幸太郎の小説も結構好きです(余談)

読む順番はそんなに気にしなくていいと思います。
ただ、本編となる「麦海」か「三月」を最初に読むと、登場人物の個性がわかるので、おすすめです。

ちなみにですが、この「麦海」は、私か黎二にお熱になった4年後に再読したら、ミステリーとしてのオチが残念だと感じたり。
それでもその5年後とかに再読したら、やっぱり世界観に魅了されたり。

どの作品もそうかもしれないけど、何度読んでも感じ方が変わるので楽しめます。
自分の成長とともに、感じ方が変わる。
これだから読書はやめられないですよね!

今日はこのへんで。
ありがとうございました。

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