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イチ当事者が読む「妻はサバイバー」(感想文)

春に期間限定で公開された時、Twitterを通じて知りスグに読破しました。

私はつい数年前まで摂食障害の闇にいた(しかも30年以上)当事者です。
リアルな描写は心苦しくなる事もありました。
…というのも私は摂食障害で大切な家族を失ったからです。
摂食障害が原因かどうかはわかりません。ただ摂食障害から併発したあらゆる病がきっかけだったとは思うのです。

この作品中の「妻」さんは摂食障害(食べ吐き、過食嘔吐)を「私の部屋」と表現されました。
私が過食嘔吐を表現するとすれば「儀式、おつとめ」。自分の中で意思とは別の感覚で「やらねばならない」ルールがあったように思います。

私がこの方と違うのは誰にも言わなかった事、言えなかった事です。
プライドなのか見捨てられ不安なのか、はたまた「いい子症候群」なのか…。
一緒に暮らしていた娘にも、きっと気づかれているだろうと思いつつも言えなかった。
怒りも苦しみも全て過食嘔吐という行動で抑え込んで隠して隠して、ひたすら隠して。
そのためにたくさんの嘘をつきました。たくさんの「親交」をなくしました。「信用」も「愛情」も…。

そこまでして一体私は何を得ようとしていたんだろう…。
結局、一番欲しかったもの、手放したくなかったものを失くしてしまったんだと気づいたのは闇から這い出してからで。

摂食障害と向き合う「ありのまま」を描かれたご夫婦の記録物語。
一人でも多くの人の胸に届きますように。

ちなみに私は今は「自由」だと思っています。
好きなものを好きなだけ食べ、「食べすぎたぁ」と笑える幸せ。好きな友達と「美味しいね」と言える幸せ。もう数字や外見に「囚われ」る事もなく。(もちろんそれなりに「意識」はするけれど)

「スレンダー」=「美」のような風潮に疑問符を投げかけながら。


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