Affect(感情・情緒)とデザイン - エモーショナルデザインを考える

最近エモーショナルデザインについて読んでいる。読んでいる元がたいてい英語なのでそれを日本語でまとめようとするとなかなか難しいことにぶち当たる。

今回のキーワードは「Affect」だ。日本語にすると「感情」「情緒」「欲望」などと訳される。ちょっと待て、「Emotion」も「感情」じゃなかったか。他に「Feeling」だの「Mood」だの、日本語にすると「感情」となってしまいそうな言葉がたくさん出てくるのだ。

affectを見てみると「心理学におけるアフェクトとはフィーリグエモーションの体験」らしい。これをすべて日本語にすると、すべて「感情」になってしまうので、下手に日本語にしない方が理解しやすいと思う。

Affect (psychology) 
Affect is a concept used in psychology to describe the experience of feeling or emotion, the word "affect" as a noun being seldom used in other fields.[1] In psychology, affect mediates an organism's interaction with stimuli. The word also refers sometimes to affect display, which is "a facial, vocal, or gestural behaviour that serves as an indicator of affect" (APA 2006).

- Wikipedia

エモーショナルな反応は、アフェクトと認知という二つの情報処理システムによって作り出されるものである。環境からインプットされた感覚的情報は脳内で処理されて、外部環境ともっとも有益な形で関わる方法をとなってアウトプットされる。

認知的情報処理システム

例えば、ウェブサイトを開いた時にナビゲーションにたくさんのメニューがある。視覚情報は脳内で処理されどのリンクをクリックすれば求めている情報にたどり着けるか、と言う結論を出す。これは認知的情報処理システムの例だ。私たちはそこにある感覚的情報を分析して辻褄を合わせ、状況に応じて適切な選択肢を提示する。

感情的(affective)情報処理システム

対して、アフェクト(感情的)情報処理システムは、意識的な処理だけではなく、無意識のうちに行われる処理もある。感情的情報処理システムは、「判断システム」とも呼ばれ、便利か不便か、良いか悪いか、面白いかつまらないか、危険か安全か、などといったことについて判断を下す。判断を下すだけであって、それについて解決策などは提示しない。それは認知的システムが得意とすることだ。

理性と感情

この二つのシステムは、よく言われる「理性と感情」と言ったらわかりやすいだろうか。感情に流されて判断を下すと失敗しがちであることは、多くの人が実体験から知っていることであると思う。と、同時に、感情を完全に無視して、理性のみで判断を下した場合、感情はうまいこと処理してあげないと、いつまでも腹の底にとどまり、下手をすると発酵したり腐ったりしてある日爆発する(こちらはデザインとは関係なくなってくるので深くは触れない)。

一見、判断を下すのにあまり役に立たなそうに見えるアフェクトであるが、私たちの意思決定能力においては欠かすことのできないものである。危険を察知するとか、何か有益そうなものを察知するとかができなかったら、どうやって判断を下すのだろうか。

エフェクティブシステムはインナーチャイルドみたい

Interaction Design Foundationにとてもわかりやすいものがあったので翻訳引用する。わたしのざっくり訳です。

アフェクティブシステムは私たちのインナーチャイルドに似ている。何かが欲しい時、何かが正しくない時にに叫んで文句を言いまくる。インナーチャイルドは基本的な要求がある。物事はかっこよい見栄えでなくてはならず、触り(聞き. etc)心地もよく、そして彼らを幸せにしなくてはならない。彼らは心地よいと感じている時にはおとなしくして、インナーアダルト(認知的情報処理システム)に処理を任せる。つまり、素早く正確な意思決定のためにはまず、私たちのインナーチャイルドを満足させてやる必要がある。そうでないとインナーチャイルドはすべてを台無しにするとさわぎたてるのだ。

デザイナーとしてアフェクトシステムをうまく使う

つまり、デザイナーとしてユーザを掴むためには、インナーチャイルドが文句を言わないような、直感的に「これは素敵」と思われるものを作る必要がある。それをクリアして初めて、認知的システムが理論的に判断を下してくれることになるのだ。


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