N国党・立花孝志に文春砲は効かない理由

えらいてんちょうと申します。国内に10店舗海外(バンコク)に1店舗展開するバーの会長をしながら、作家(しょぼい起業で生きていく・4万部)・ユーチューバー(チャンネル登録14万人)として活動しております。

カラテカ入江さんが、詐欺グループの忘年会に出席し、また芸人を出席させ、利益を受け取ったとして吉本興業との契約が解消されたとの報が入りました。宮迫博之さんほかにも波及しそうです。詳細は週刊誌ほかに任せるとして、本記事ではカラテカ入江さんらが「助からない」理由と、どうすれば助かるのか、助かったのかを解説していきます。


記者会見は公開処刑

主に騒動を起こした芸能人の方が弁解をするのは記者会見という場ですが、記者会見の結果許されるということは現代ではほぼありえません。SNSで話題は一気に拡散し、また次の話題が一気に拡散し、記憶だけを残して沈静化します。本人の「知らなかった」という空しい弁解ツイートだけが残ります。この2-3日が勝負といえます。弁護士と綿密に打ち合わせをして、想定質疑応答を考えている時点でもはや終わっています。記者会見は「敗者」を見に来る野次馬相手にあるといってもよいでしょう。速度が遅すぎるのです。テレビ番組などで弁解する機会も回ってきません。それは「すでに許された案件を、ダメ押しで確認する」くらいのときしか使えません。放映する内容をチェックされる時点で負けているのです。


ユーチューバーに文春砲は効かない

ひとつ印象的な事例があります。人気ユーチューバーのヒカルさん(チャンネル登録300万人超)が、ファンの女性とのトラブルを”文春砲”されたときです。文春のネット記事で「明日、ヒカルさんの記事が出る」という予告が流れて間もなく、ヒカルさん自身が自分で動画をあげ、その内容を説明するのです。

文春の発売日とほぼあいだが開いていません。

「相手の女性とは和解が成立している」

「自分のことは悪く言ってもいいけど、相手の女性のことを詮索したり悪く言ったりしないでほしい」

さらには、「奴隷になるか?」といったような内容が"文春砲"されている中で、"相方"とも呼べるラファエルさんが「奴隷にされちゃう」それに対して「奴隷にしたろか」と軽口を叩くなど応酬をして、再生回数は160万回を数え、高評価率も80%前後になっています。


"文春砲"を完全に無効化した形です。週刊文春の部数が70万前後ですので、視聴回数という意味でも勝っていますし、なにより”視聴時間”で勝っているのが大きい。


写真週刊誌は、文字に対して優位なだけであり、動画に対して劣位である


今回も、うさんくさい人に囲まれる入江さん、なぜか高級車を乗り回せる入江さん、暗い表情の宮迫さんなどの写真がフライデーの報道や各種の二次報道で使われました。これらの写真も、「闇営業」「解雇」などの強い言葉とあいまって、入江さんらが弁解のしようもない悪事を働いた印象を与え、またおそらく会社ぐるみで対応検討中であろうこの空白期間の"沈黙"とあいまって、国民の記憶に「悪いことをした人たち」として刻み込まれるでしょう。そして、2、3日すればその記憶は定着し、回復不可能なものになります。このときに、入江さんや宮迫さんが、個人の発信チャンネルを持っていないこと・ステークホルダーが多く意思統一に時間がかかることが致命的なウィークポイントになってきます。入江さんのツイッターに2019/6/7の朝投稿された文章が空しく響きます。記憶というのは、人々の時間をどれだけ使わせられたかという点で定着度が変わり、その意味で写真は文字に勝り、映像は写真に勝ります。

ですから、この数日の間に、独自のチャンネル・自分の言葉で映像を発信できることが大切なのです。スーツを着て、泣きながら上記の弁解を話して、視聴者からの疑問に丁寧にコメントできれば、鎮圧できた「炎上」の可能性があります。それができなかったのは、入江さんがSNS独自のフォロワーを持っていなかったからといえます。

ユーチューバーは反社と付き合っても失職しない

そもそも詐欺グループと付き合ってるのが悪いといえばそれまでですが、人間誰にも取りこぼしはありますし、チェックがきかない場合もあります。そうしたときに、独自のチャンネルで映像発信できるのが炎上コントロールのためには必須の条件です。

では、その考えを進めると、ユーチューバーは反社会的勢力と付き合っても大丈夫、という話になります。もちろんだめなんですが、実際問題大丈夫になってしまう。グーグルが動画を消さず、広告がつく限り、収入は入りますし、人々の記憶への定着が大きいので、チャンネルが消されても容易に復活できます(事実、"差別的な発言"などで一度は凍結されたユーチューバーが完全に復活している例は枚挙にいとまがありません)。また、ユーチューブがだめならニコニコやバズビデオに活動拠点を移せば、許したファンはついていきます。テレビのように、誰にでも好かれていなければいけないBtoC巨大企業などとの利害関係がないので、できてしまうわけです。

これは結構怖いことだと思っています。

実際に、小中学生の間では好きなタレントより好きなユーチューバーを語るほうが多いわけで、詐欺グループのパーティに呼ばれるのはお笑い芸人ではなく人気ユーチューバーになっていくでしょう。そして、人気ユーチューバーは、反社と付き合っていても動画を投稿し続けられます。(事務所はやめざるを得ないかも知れないが)

あるいは、政治家がユーチューブに本格参入する、あるいはユーチューバーが政治家になっていったときに、スキャンダルを週刊誌が暴露しても、すぐにその弁解を自分で展開すれば「許されます」。許されて、次の選挙でも勝ちうるわけです。悪用すれば、法令を破りながら支持を得続けることだってできるわけです。

(2019.8.20追記)
N国党・立花議員の詐欺行為を週刊文春が報じましたが、立花氏は失脚しないでしょう。

まとめ

ということで、入江さんや宮迫さんが助かる方法はユーチューブチャンネルを事前に持っていて普段から動画配信をしていること、さらに問題発覚後可及的に動画をアップし自分の言い分を主張することでした。

ユーチューブは拡散だけでなく、防衛にこそ役立つのです。

最後に宣伝。こうした動画時代の最新マーケティング戦略について、失敗例や成功例を交えながら網羅的に語った新著「ビジネスはゲリラが勝つ時代(仮)」が6/28に発売されますので、ご興味ある方はご予約ください。経営者・ユーチューバーとして、現代の組織防衛についても語っており、射程の広さに自信があります。企業からの講演依頼等も歓迎です。ツイッターまでご連絡ください。


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