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【ようこそ、清水へ!】ロティーナ監督のサッカーってどんな感じ?Part.2

こんにちは、El Gran Equipoです。

前回は、たくさんの方に読んでいただき、ありがとうございます。
今回も、新生ロティーナ・エスパルスのサッカーを4局面で紐解いていきたいと思います。

サッカーにおける4局面についての紹介、ロティーナ・サッカーのベースにある考え方、そしてボール保持の局面の考察は前回の記事をぜひチェックいただければ幸いです。

今回は、残る3つの局面となる、ボール非保持、攻撃⇒守備と守備⇒攻撃のトランジションについてみていきたいと思います。

それでは、行ってみましょう!

1.ボール非保持:スペース管理とリスクの最小化

前回の記事でご紹介した通り、ロティーナさんはボール非保持の局面でも自分たちの形で守備を行うことを徹底し、ゲームのコントロールを試みます。その徹底ぶりは、相手にボールを支配されようと、得点を許さなければ問題ないと感じさせるほどにどっしりとしたものです。
得点を許さなければ、試合には負けないという気概を感じさせます。

その中でのポイントは、チーム全員でスペースをバランスよく埋め、失点のリスクになりやすい場所を埋めていくということ。
ボール非保持の局面をプレッシングフェーズとブロックフェーズに分けてみていきたいと思います。

①プレッシングのフェーズ

ラインを低く保ち、自陣に構えて守備をするイメージがありますが、相手の前線からのビルドアップに対してもきちんと制限をかけていきます。
但し、イメージとしては、相手最終ラインにあるボールを奪いに行くのではなく、パスコースを消しながら相手のビルドアップに蓋をしていくような形です。

非保持プレッシングフェーズ①

上図では、相手の後方3枚でのビルドアップに対するプレッシングの様子ですが、相手後方3枚に対して、ツートップが牽制をかける形になります。

ボールに対しては、ツートップの片方が縦パスを背中で消しながら距離を縮めていきます。これに対してもう片方のトップはアンカーの位置にいる相手選手へのパスと相手後方中央に位置する選手へのパスに反応できる位置を取り、相手を牽制します。

一方で、ツートップの後方にいる選手たちは、4枚-4枚のツーラインを形成し、相手最終ラインからパスが出る先のスペースを埋めていきます。
これにより、相手のパスが中央のスぺ―スに入ることを防ぎ、外回りのビルドアップに誘導します。

サイドにボールが出れば、中央へのパスコースを背中で消しながらサイドハーフがボールへアプロ―チ。相手が背後を狙うようであれば、ディフェンスラインを下げて対応します。
4枚ー4枚のツーラインがコンパクトなので、相手がロングボールを蹴ってくる場合にもボールの回収がしやすい距離に選手がいるようにも感じます。

一方で、ロティーナさんも、昨シーズンの平岡・エスパルスのように前からはめていくプレッシングにも取り組んでいたようです。

非保持プレッシングフェーズ②

昨シーズンのセレッソ大阪の最終節鹿島戦では、ツートップに加えて、左SHの清武が相手最終ラインにプレスをかける場面が見られました。
しかし、この場面でも清武は背後を何度も確認して、自分の背後にいる選手へのパスコースを消していく意識をしているように見えました。
また、前に圧力をかけていく際には、ボランチがその背後のスペースを埋める意識をより高く持っていたように思いました。

いずれにしても、昨シーズンによく見られていた、中央のスペースへパスを通され、相手に前を向かれる場面は減るのかもしれません。

②ブロックを形成したフェーズ

プレッシングの行い方について紹介しましたが、2020年シーズンのロティーナ・セレッソはリーグで2番目にハイプレスの指数が低いチームでした。

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出典:Football LAB (https://www.football-lab.jp/c-os/style/?s=63)

データからもわかるように、ボールを前線で奪いきることに重きを置かず、失点をしないということにフォーカスし、自陣で固く構える形が多いように思います。

非保持ブロックフェーズ①

自陣に構える際にも、プレッシングフェーズと同様に、前線、中盤、最終ラインの3つのラインの距離、そして両サイドの幅をコンパクトに保ち、相手選手に中央でプレーさせる機会を極力減らします。

ここでもトップの選手は、相手選手から縦にボールを入れられることのないように相手に正対して、パスコースを消していきます。
また、最終ラインを低く設定することで、相手に背後を取られるリスクも軽減されています。

このような構造からここでも相手の攻撃を外側に追い出していく形を作り出していきます。

非保持ブロックフェーズ②

相手がサイドからの侵入を試みようとした場合にも、それぞれの選手がスペースを埋めることで、あらゆる角度のクロスに対しても対応できる体制を整えます。

上図のように相手サイドハーフにボールが渡り、サイドバックが引っ張り出される場合には、ボランチが危険なハーフスペースを埋め、相手のペナルティーエリア脇への侵入を防ぐとともに、もう片方のボランチや逆サイドのサイドハーフがゴール前のスペースに入ることでマイナスのクロスを消していきます。

ハーフスペースをボランチがケアすることで、センターバックは最も危険な位置を空けてしまうことなく、クロス対応や中央での守備対応を行うことが出来ます。

センターバックを中央から動かさない(中央に穴を作らない)形をオートマチックにチームが連動して作り続けることで、相手にはパスは繋がれ、シュートは打たれても、最後のところで失点しない守備が作り出されるのです。

2.トランジション:切り替えはあまりしたくない

「目まぐるしく攻守が入れ替わる激しい展開」
こう聞くと、スペクタクルで熱い試合(昨シーズンのホーム 横浜FM戦のような)をイメージしますが、ロティーナさんの考え方はこの逆にあるのではないかなと思います。

なぜなら、トランジションは自分たちでコントロールしにくい、ごちゃごちゃっとした局面だからです。
ボール保持、非保持の局面では、自分たちの立ち位置を整えながら、プレーを行いやすいですが、特にボールを奪われたとき(攻撃⇒守備の局面)では、どうしてもバランスが崩れやすくなってしまいます。

そのため、前回の記事で紹介したように、ボール保持の局面では、相手が陣形を崩すまで、後方からのビルドアップを何度もやり直しますし、自分たちのバランスが保たれていれば、ボール非保持の局面が長く続こうが気にしません。

NeilSさんのツイートに興味深いグラフがあったのですが、2020年のセレッソのトランジション回数はリーグで最も少なかったようです。

とはいうものの、トランジションは必ず起こるもの。そんなときのロティーナ・サッカーのポイントは、「出来るだけ無理をしない」ということかなと思います。

攻撃⇒守備のトランジションでは、最も怖い相手の裏抜けを防ぐため、ボールに近い選手はボールが縦に出されるのを遮断し、その間に周りの選手たちは、ボール非保持の局面で示したようなポジションをいち早く取る。

守備⇒攻撃のトランジションでは、ボールを奪った瞬間に相手の背後を突けるようであれば、背後にボールを入れる。それが難しければ、後方から作り直し、相手が出てきたところをはがし、崩していく。

ボールを奪えば出来るだけ早くゴール前へ、奪われればすぐにプレスをかけて奪い返すというコンセプトを掲げていた昨シーズンのモフさんのサッカーとは対照的な戦い方になる部分なのかなと思います(意外にもトランジション回数はリーグ中位でしたが)。

3.おわりに

非保持の局面とトランジションの局面は、ワクワクする!という感じの話ではないかもしれませんが、ロティーナさんの堅実さが色濃く出る部分なのかなと思います。

既にチームはキャンプに入っており、インタビュー記事ではポジショニングのきめ細かさについて指摘する声も出てきている通り、このサッカーはチーム全体で連動しないことには成立しません。

しかしながら、セレッソにも引けを取らないクオリティを持った選手たちが集まった今シーズンのエスパルスが、ロティーナさんの指導の元に連動すれば、相当なポテンシャルがあるのではないかと感じています(サポーターバイアスかかってるかもですが。。)

蹴球メガネーズの中で大熊さんが、エスパルス就任にあたってロティーナさんの頭の中には、このメンバーでのサッカーの方針がきちんとあると仰っていましたし、更に期待が高まります。

これまでにご紹介したロティーナさんのサッカーもあくまで昨シーズンの戦い方を参考にしたもの。なので、もしかしたら全然違うなんてこともあるかも知れません。。

個人的には、昨年平岡体制で鋭さを取り戻したカウンターの部分をロティーナさんが活かしたら面白そうだな、なんて想像を膨らませています。

何はともあれエスパルスの更なる進化、そして昨年あれほどに飢えた勝利を掴み取るチームを見せて欲しいです!

最後まで読んでいただきありがとうございました。



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