見出し画像

清水エスパルス マッチレビュー J1第28節(A)横浜FC -来シーズンへの積み上げ- 25.Nov.20

こんにちは、El Gran Equipoです。
前節で残念ながら連続投稿は途切れてしまいましたが、今節の振り返りもよろしくお願いします!

札幌戦の大敗から中3日とタイトな日程を考慮して、メンバーを大幅に入れ替えたエスパルスでしたが、ベンチでも腐らずに取り組んでいたであろう選手たちが躍動し、前半に素晴らしい展開から得点を重ね、3-1で勝利。
平岡監督のアウェイ初勝利となりました。
エスパルスは選手層の底上げ、横浜FCは新たな戦い方の模索と、来シーズンを見越しての戦いにもなったように思います。

それでは行ってみましょう!

1.スタメン

画像1

エスパルスは平岡体制後継続して4-4-2を採用。ヴァウド、立田、竹内、後藤を除く7人が前節から変更となりました。
対する横浜FCは、通常の4-4-2から、4-3-3へ変更し、より攻撃に重きを置いた布陣となりました。一方で守備においてはいつも通り4-4-2でコンパクトなブロックを敷く形を継続していたと思います。

2.ビルドアップでの前進への取り組み

①エスパルスのビルドアップからの得点
この試合でもエスパルスは後方からきちんとビルドアップをしていこうという狙いをもって攻撃を組み立てていたと思います。
ボールは試合を通してかなりの比率で横浜FCに支配されていましたが、特に得点シーンでは相手のプレスを上手く回避して前進する効果的なビルドアップを見せていました。

画像2

上図、黒矢印はエスパルスの1得点目、赤矢印は選手が違いますが、3得点目のパスルートを示しています。

前半、横浜FCの斎藤がかなり前に食いついてプレッシングをかけてきたこともあり、竹内を中心に相手のプレッシングを回避するルートを上手く作ることが出来ていました。
そして、その後にボールを受ける後藤も中央の空いたスペースを上手く取っており、素早くサイドへ展開していた点も良かったと思います。

その中でも特に、ボールの扱いに必ずしも長けていたわけではない大久保が両センターバックだけでなく、竹内や宮本のボランチの位置へのパスにもトライ出来ていた点がすごく良かったと思いました。

②横浜FCの新たな取り組みと失点後の修正

横浜FCもシーズン当初からきちんと選手が立ち位置を取って、ボールを前進させることに取り組んでおり、この試合では更にビルドアップにかける人数を減らし、攻撃を効率化することに取り組んでいました。

画像3

通常の4-4-2であれば、ボランチが1枚下りることで、相手ツートップに対して、3対2の数的優位を作るのですが、この試合ではそのボランチの役割をGKに担わせて、その分前線の枚数を厚くする狙いがありました。

GK、センターバック2枚、ボランチ1枚で相手のツートップをはがしつつ、サイドバックとウイングで幅、一美、武田、斎藤の3枚は前に飛び出していき深さを作って、相手を広げる狙いを持っていたと思います。

対するエスパルスとしては、フィールドプレイヤーのようにボールを扱うことが出来ないGKにボールが入ったところで、横浜FCのアンカーへ宮本が圧力をかけることで、2得点目のような形を作ることが出来ました。
横浜FCのビルドアップを担当する選手と前線の間にエスパルスのボランチが立っていたため、横浜FCとしては後方と前線を上手く繋ぐことが出来ていなかったことも原因になったかもしれません。

画像4

エスパルスの2得点目以降、横浜FCはビルドアップの仕方を少し修正し、武田が左サイドに下りる形を作っていました。

ビルドアップの逃げ道を一つ増やし、且つ左サイドバックを押し上げ、左ウイングにハーフスペースを取らせる狙いがあったと思います。
実際に、横浜FC 志知、松浦に奥井が対峙するという、エスパルスからすれば数的不利の状況を作られる場面も増え、そのスぺ―スを宮本が埋めようとすれば、その背後に空いた中央のスペースを安永が使うなど、横浜FCに上手くボールを握られる場面が増えました。

試合中に位置取りを柔軟に変えながら自分たちの配置による優位性を作り出す修正力は、敵ながら興味深いものでした。

3.後半の戦い方に対する考え

①仕切り直した横浜FCとエスパルスの考え方
下平監督の試合後コメントにあったように、後半は仕切り直しということで、気持ちとシステムを整理しなおした横浜FCに対して、エスパルスは終始ボールを握られる展開となりました。

なかなか自分たちのゲームができずに、特に前半は3失点して、選手たちは下を向いて戻ってくるような前半でした。あのままいけば4点目、5点目を取られてもおかしくないゲームだったと思うので、ハーフタイムでメンバーを3人代えて、いったん前半のことは忘れて、後半勝負。0-0の気持ちでメンバーを入れ替えて、システム、立ち位置を変えて、「これは違うゲームだ」という認識で、「後半しっかり勝ち切るように」という話をしてスタートしました。

画像5

後半になり、横浜FCはいつも通りの4-4-2に形を戻し、安永がセンターバックの間に下りて、ボランチが縦関係になりビルドアップを行いました。
横浜FCは最終ラインが3枚となるので、サイドバックがかなり高い位置を取り、攻撃力のあるマギーニョを使うなどしながら、サイドからの攻撃が活性化されました。

エスパルスの守り方は基本的に前半と変わりませんでしたが、ツートップは相手の最終ラインにプレッシングをかけるよりは、中央を締めて、横浜FC 瀬古へのパスコースを消すことを強く意識していたと思います。

その結果、相手両センターバックには自由にボールを触らせてしまうのですが、そこに対してもサイドハーフが出ていく場面は少なかったため、相手に自由にボールを持たれる展開になってしまったと感じました。

平岡監督からすれば、点差が十分にあったため、あえてリスクを冒して前にプレッシングをかけていくのではなく、ブロックをしっかりと敷いて最後のところでやらせない、そして奪ったボールはきちんと繋ぐという意図があったのかもしれません。
その辺りをきちんと選手たちが遂行出来たところは、今のチームに対する選手の信頼というか気持ちが表れていたようにも思います。

②ドリブルのスパイス

後半は終始ボールを握られたエスパルスでしたが、バーを2回たたいた決定機の過程でヴァウドが非常に良い持ち上がりを見せていました。

画像6

後半はエスパルスもボール保持の局面では、竹内もしくは宮本が最終ラインに入り、ビルドアップを助けていました。
この場面でも竹内と宮本がパスを出し入れすることで相手ツートップの意識を中央に向けた後、開いたヴァウドにパスを展開しました。

ヴァウドは横浜FC 一美のプレスが少し遅れたと見るや、後藤が空けたスペースへボールを運び出します。
センターバックがボールを持ち出すと相手は中々出ていきにくいので、守備に迷いを生じさせることが出来ます。

ヴァウドの持ち出しは時々手詰まりになるのですが、この場面では後藤がきちんと裏抜けすることでスペースを作り出しており、良い場面でした。

4.おわりに

個人的に横浜FCのボール運びへの取り組みが好きなので、少し中立的な書きぶりになってしまいましたが、サブの選手を上手く使い勝ち切ったエスパルス、新たな形に取り組んだ横浜FC共に色が出て面白い試合でしたね。

エスパルスの選手としては、出場すれば見事なセーブとコーチングで試合を引き締めてくれる大久保がビルドアップにも取り組んでいた点もさることながら、宮本のはたらきには目を見張るものがありました。

ボランチでのプレーをそれ程見たことがなかったのですが、自陣でビルドアップや守備に関わったかと思えば、カウンターの場面では誰よりも早く相手の背後に飛び出す動きを終盤まで継続しており、すごく頼もしかったです。走行距離も13km越えと気持ちが入っていましたね。

試合に出ていなかった選手も上手くモチベートして勝ち切った平岡監督、次節にどのようなメンバーで臨むのかとても楽しみです。
粘り強い戦いを見せる湘南相手ですが、ホーム3連勝に期待です!

今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?