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清水エスパルス マッチレビュー J1第16節(H)鹿島アントラーズ -予測と適応- 12.Sep.20

こんにちは、El Gran Equipoです。
今回はJ1リーグ第16節 鹿島アントラーズ戦の振り返りをしたいと思います。

前半の序盤はとても良い流れで攻撃を組み立てることが出来ていましたが、飲水タイムを境に、一気に苦しくなってしまったエスパルス

メンタル的な部分やリーダーシップが少し足りていないのか、失点してからチーム全体がバタバタとしてしまい、一気に不安定になってしまった点も気になりました。

鹿島はボールの次の行先を予測して、チーム全体が連動している印象で、エスパルスとのプレースピードの差が勝負を分けたようにも思います。

エスパルスのサッカーは後方からボールが繋ぐという、リスクを負いながらのリターンを求めた戦い方なので、繋ぎが滞ると難しくなりますね。
しかし、そんな中でも次につながる形も見えたと思います。

それではいってみましょう!

1. スタメン

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エスパルスは大幅にメンバーを入れ替えてきました。前節から、ヴァウド、奥井、竹内、ヘナト、後藤、ドゥトラが変更となりました。
ホームゲームでしたが、連戦で迎える次節 横浜FMとの師弟対決に勝負をもっていきたかったのかもしれません。

2.前半に起こった変化

①スムーズな展開を見せた序盤

この試合の序盤、ボランチには初先発の河井と中村という、ボールを丁寧に運べる2人が入ったことで、ボールを簡単に失わず上手く繋ぐことが出来ました。

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矢印がたくさんで分かりにくいですが、最終ラインのビルドアップに、きちんと中村が入り、相手ツートップのプレッシングを回避しながら、河井が相手ボランチの脇で受けたり、サイドを経由したビルドアップが出来ました。

また、特にカルリーニョス、鈴木、金子がスペースを飛び出す動きを見せ、河井やカルリーニョスに長い縦パスが一本通ったり、西澤が下りた後のスペースを鈴木が使ったりと、幅と深さを使って攻撃することが出来ました

この中で決定的なシーンを作ることは出来ませんでしたが、鹿島のコンパクトな4-4-2に対してもきちんと繋ぐことが出来ることを見せました。

②飲水タイムで鹿島が仕掛けた変化

逆に上手く試合に入れなかった鹿島は、飲水タイムで前線のプレッシングに対する変化をほどこしてきました

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それまで、ツートップでエスパルスの3枚(立田、中村、岡崎)へとプレッシングをかけていたところに、ファンアラーノを上げ、3対3を作ってきました。

これにより一気に後方からのビルドアップが難しくなってしまったエスパルスは、ほとんど前線へとボールを運べなくなり、自陣の深い位置で失ってはシュートを打たれてしまい、その後のゴールキックも狙われるという悪循環に陥りました。

そのような形で徐々に主導権を握られた中で、いずれの失点場面も、エスパルスが後方でボールを持っているところに、鹿島が一気に圧力をかけたため、ボールを失い、ショートカウンターを受けたことによるものでした。
(鹿島の奪ってからの仕留めるまでの動きも良かったのですが)

エスパルスからすれば、相手がプレッシングをかけてきた後方にはフリーな味方がいるはずなのですが、中々冷静にそこを見つけることが出来なかったのだと思います。

このような変化を認知し、適応することで新しいパスコースを作ることが出来れば、逆に鹿島の裏を取れるわけで、エスパルスが飛躍するためのポイントなのかなと感じました。

2.後半も続く試行錯誤

後半も鹿島のプレッシング方法は変わらず、エスパルスも中々それを攻略出来ずという展開が続いていきました。

エスパルスとしては河井を経由して打開したところでしたが、ここは流石のレオシルバが目を光らせていましたね。

ビルドアップの試行錯誤が続くのですが、鹿島に全くスキがなかったわけではなかったと思います。

①レイオフを使う

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上図の場面でも、GKを交えて、後方3枚でビルドアップを行う中で、鹿島はかなり食いついてきました。

中村から金井、西澤とつながった場面で、中村が相手中盤脇のスペースを見つけて動くことが出来ました。
しかしながら、西澤はそこを見ることが出来ておらず、鹿島 小泉にボールをカットされてしまいました。

前線にパスを入れた時に、ダイレクトで斜め後方の前向きな選手にパスを落とすことが出来れば、相手のプレッシングを回避したうえで、前向きにボールを運ぶことが出来ます。

これを徹底するだけでもボール運びが楽になるかなと感じた場面でした。

②スペースを作る

鹿島が疲れてきたこともあったかもしれませんが、エスパルスの前線が背後を狙うことで、相手ディフェンスラインを押し下げる場面がありました。

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この場面では、鹿島のプレッシングが2枚だったため、後方の繋ぎも容易だったのですが、宮本にボールが入った際に、鈴木が鹿島 町田と杉岡の間に走りこむことで2人を引き付け、宮本に時間を与えることが出来ました。

繋ぎの中で時間に余裕が出来ると、周りの味方選手も良い位置を取ることが出来るので、こういった動きも有効だと感じました。

③時にリスクを回避する方法も

この試合だけでなく、今後の対戦相手も恐らくエスパルスのビルドアップへ圧力をかけて狙ってくることでしょう。

そこをパスで回避することが出来るのがベストですが、ロングボールを使うというのも方法も持っておくべきだと思います。

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後半途中からドゥトラが左ウイングに入り、鹿島 小泉に対して高さでの優位性が生まれました。
以前、ソッコが出場していた時にもみられていましたが、サイドにロングボールを入れて、高さのある選手に競らせてこぼれ球を狙うというのも、相手のプレスを回避する方法としてはありだと思います。

これに関しては、GKのキックの能力によるところなので、ヴォルピを見てみたいところですね。
一方で、鹿島 沖は素晴らしいキックを蹴り分けていてかなり脅威でした。

4.おわりに

中々ビルドアップを狙われて失点する場面が続いていて苦しいところですが、状況に応じて適切なパスコースを作る位置取りをチームで共有していくことでしか、状況は改善出来ないのだと思います。

逆にここが上手く出来るようになれば、相手を自陣深い位置まで食いつかせて、ひっくり返すことが出来るので、一気にチャンスを作れるようになると思います。ここの飛躍に期待したいです。

奇しくもこの試合の後に開催されたプレミアリーグ開幕戦で、アーセナルはゴールキックからのビルドアップで何度も相手をひっくり返し、決定機を作りだしていました。

恐らく相手の位置取りに対して、各選手が適切な位置を取ることで、丁寧に相手をはがすことが出来ているのだと思います。

解説の戸田さんが『もはやゴールキックは(フリーキックやコーナーキックのような)セットプレーと同じ』と言っていたのが印象的でした。

先はまだまだ長いですが、エスパルスもそんな風になればと、期待しながら、次節の横浜FMとの一戦にも注目していきたいと思います!

今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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