見出し画像

防衛装備庁陸上装備研究所一般公開2019へ行ってきた

相模原で10式戦車を間近に見られるらしい…と知ったのはつい2、3日前の話。たまたまスマートフォンのGoogle Nowに流れてきた相模原町田経済新聞の記事のなかで、淵野辺にある「防衛装備庁陸上装備研究所」の年に一度の一般公開イベントが今週末にあり、自衛隊の戦車や装備品の見学ができるということを知りました。まず、防衛装備庁を知らなかったし、そんな研究施設が淵野辺(自転車で行ける程度の近所だ)にあることも知らなかった。Google Now、全然関心のないYouTube動画とかもフィードに流してくるけど、たまにめちゃくちゃ有能なのだ。普通にいいこと教えてくれる。

陸上装備研究所ってなんだ

で調べてみると、防衛装備庁は2015年に発足した防衛省の外局にあたる組織で、研究所としては陸上装備研究所・航空装備研究所・艦艇装備研究所・電子装備研究所などがある。そのなかで相模原市中央区淵野辺に位置する陸上装備研究所は「火器、弾火薬類、耐弾材料、耐爆構造、車両、車両用機器、施設器材などの調査研究」を行っている施設なのだそうです。ロケーションとしては、相模原にある米軍の補給廠の並びと言っていい場所にあり、もともと歴史的にもそういった一帯の軍事施設の一部だったことが伺える。にしても、こんな平凡な住宅街で最新鋭の戦車や弾薬の開発をしていたとは。

具体的にどんな研究開発をしているのかというのは、YouTubeに上がっている公式の広報ビデオを見るとよく分かった。っていうかもうこの、いかにもな映像編集のセンス、めっちゃテンション上がってしまう。パトレイバーとかで見たやつじゃん!

しかも、EMPとかレールガン(電磁砲)とかSF映画さながらの研究を大真面目にやっていて、俄然興味が湧いてしまった。初めはミリタリー詳しくないからそこまで…とも思っていたけれど、最先端の研究施設となると話は別で、どんな種類の研究であっても普通に見てみたい。

というわけで、10月26日(土)に開催された2019年度の一般公開イベントへ行ってみることにしました。

陸上装備研究所のなかへ

画像1

陸上装備研究所は、JR横浜線の淵野辺駅の北口を出て徒歩15分程度のところにある。今回の一般公開は10時から15時までと比較的短時間で、昼ごろに着くと付近には会場へ向かう人の流れができていた。

画像2

画像3

正門をくぐると、案内マップなどとともに当日屋外に展示されている車両の一覧が配られていました。でもうなんか、こんな感じで団地の前に無造作に戦車や特殊車両が並んでいるのだ! 特撮映画の世界だ。

画像4

入口付近にあってまず目を引くのが、『シン・ゴジラ』にも登場した最新鋭の16式機動戦闘車の試作2号車。

画像5

画像6

試作車両なので、実際に陸上自衛隊に配備されているものとは色々と細かいところが違うらしい。いわゆるキャタピラーでない、車輪の戦車なので機動戦闘車(MCV)と呼ぶそうで、現代のトレンドなのだとか。そういったことも初めて知りました。

画像7

プレートがもうかっこいい

広場の中央部にドーンと配置されているのが10式戦車(試作4号車)。こちらも『シン・ゴジラ』のタバ作戦で丸子橋付近に投入されたもの。

画像8

画像9

かあっこいい。斜めに面取りされた近未来的なフォルムが既にSFチックだ。それこそパトレイバーじゃないけど、趣味の世界だねえ。

画像13

画像11

この非現実感!

さらに奥の方には、キャタピラー式の水陸両用車(AAV)、6輪の軽量戦闘車両システム、CBRN対応遠隔操縦作業車両(核や化学汚染などで人が立ち入れない地域で遠隔作業するための研究)など、様々な類の"はたらくくるま"が展示されていました。

画像11

画像12

これだけでわりとお腹いっぱいなんだけど、少し時間をおいて14時から一部車両の動的展示(デモンストレーション)があるとのことで、それまでのあいだ敷地内に用意された展示室のパネル展示を見学してきました。残念ながらこちらの展示室内は撮影禁止。

パネルではまず、研究所の位置する周辺一帯の地域の歴史的経緯や、国産戦車の開発の歴史についての説明がありました。なんでも、かつては多摩丘陵の自然の地形を生かした山道が戦車開発のテストコースになっていたそうで、多摩境にある小山内裏公園へ至る「尾根緑道」がその名残とのこと。今では地元の桜の名所になっているらしい。

ほかには、所内で現在研究中の様々な技術についてのパネルも。前述の広報ビデオのなかで解説されていたレールガンやEMPなどの説明に加えて、戦車の装甲を貫く特殊な弾薬の開発、逆にそういった弾薬に耐えうる特殊装甲(爆発反応装甲)の説明などがありました。おもしろいと感じるのは、要するに最強の矛と最強の盾を同時に研究しているところですね。

欲を言えば、そうした研究をしている設備も実際に見てみたかったけれど、一般公開で見せてくれるのはこの別区画に用意された小規模な展示室と、屋外展示の広場と、施設の正面入口から少し入ったトイレくらいまで。まあ、公開しない理由が理由なので納得はできるけれども。車両の耐久性を測る大型の機器とかも実際に見てみたかったです。

10式戦車デモンストレーション

しばらくすると広場でアナウンスがあり、同時にギャラリーのみなさん(主にミリオタやカメラマン)が10式戦車を囲うように陣取り始めている。デモンストレーションはこの日2回限り、そのラストの回とあって、既にかなりの数の見学客が集まっていました。アナウンスによれば、午前中までに2,000人が来場していたとのことで、知る人ぞ知るマイナーイベントとしては例年にない集客だったみたい。

画像14

そのうちに3人の隊員の方々が10式に搭乗し始め…

画像15

このように上に2人、下に1人という感じで乗り込む。こうして顔だけ出していると、なんだかかわいらしくも見えてくる。

そして、ここからこうキャタピラーを動かして前後左右に傾いて姿勢を変えてみたりですね…

画像16

画像17

実際に走行している様子も見せてくれました。

アイドリング状態のときは思ったよりも駆動音は静かなんだけど、さすがに転回したり走行するときは轟音が出るものなんだなあ。すごい迫力でした。10式戦車に続いては、軽量戦闘車両の超信地旋回(6輪のインホイールモーターを左右反転で動かしてその場で転回する…ありえない動き!)のデモンストレーションもありました。

そんな感じで、ミリタリーファンのみならず、様々な種類の特殊車両や大型メカ、ひいてはレイバーやモビルスーツにときめいてしまう大人にはぜひお薦めしたい陸上装備研究所の一般公開イベント、とっても良かったです。見応えがあった。

今回わたしはたまたま近くで予定も空いてたから行ってみた、という感じだけれど、これならそれなりに遠くからわざわざ足を運ぶのもありだと思う。例年10月くらいの時期に開催されているようです。

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?