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テクノと私(1):「ピコピコ」が好き

テクノという音楽が好きで、かれこれ20年以上のつきあいになります。

いまテクノっていうと、ふつうはどういうイメージなんでしょうね。いわゆるシンセサイザーを使った音楽で、なんかピコピコしている…テクノポップ…あるいは、EDMとかなんとか、DJがかけてワーッみたいなやつ?音ゲーに詳しい方は、具体的な曲名とかサブジャンル名とかが出てくるでしょうか。

実際のところ、そのどれもがテクノに含まれると思います。いまや完全に電気や電子楽器を使っていない音楽を探すほうが難しいし、テクノはすごく広い概念になりました。お昼のAMラジオで流れるようなライトなものから、店の看板も出ていない地下深くのクラブの夜中の4時とかにしか流れないものまで。

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私はそもそもポップスとか流行歌みたいなものをまったく通っていなくて、音楽が好きになった最初の最初から電子音でした。初めはゲームボーイの音楽。2枚組のサウンドトラックCD『サ・ガ全曲集』を買ったのは小学校6年生のときで、次が『ファイナルファンタジーV』でした。FFに至ってはその時点でソフトも、スーパーファミコンすら持っていなくて、純粋に植松伸夫さんの音楽が聴きたくて買っていました。

同世代の子たちのように流行歌にハマれなかった一番の理由をはっきり覚えています。ポップスには歌詞があるから。当時の私は子供ながらに(なぜか)強い信念があって、それは、自分は音に興味があるのであって、音に込められるメッセージ性みたいなのは一切いらない!というものでした。

それと、楽器というのはたとえばギターを弾けばギターの音が出る、ピアノの鍵盤を叩けばピアノの音が出る。そうじゃなくて、これまでの地球のどこにも存在しなかったような新しい音が作り出せるのであれば、そういうものをこそ聴きたい。自分にとっては、そういったものの原体験が、あのゲームボーイのピコピコとの出会いだったのですね。

Sa・Ga1のラストバトル「怒闘」は特に好きで延々と聴いていた

聴いていくうちに、どうやら同じピコピコでも聴こえかたの違ういろいろなピコピコ音がある。ブリブリ、ザリザリ、固い音も丸い音もある。また同じピコピコのようでいて、スーパーファミコンで鳴る音は生楽器っぽい、けど、生楽器とは決定的になにかが違う…というようなことが分かってきました。それがシンセサイザーという機械で作られている、とハッキリと認識していたかどうかは、実はよく覚えていません。

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そんなこんなで、中学生時代は来る日も来る日もゲームミュージックばかり聞いていました。『FF』、『ドラクエ』、『ロマサガ』、『聖剣』。そんなある日、テレビから流れてきた音楽に異様に惹きつけられてしまうのです。

時はバブル崩壊を経た1994年ごろ…激しく点滅する画面のなか、お立ち台の上で扇子を振るうおねーさん…には別に興味はなくて、その音楽!短いフレーズが何度も何度も何度も繰り返される、激烈にトリップ感を誘う音楽。ジャ・ジャ・ジャン!という、何でどうやって出しているのか分からない、分厚く特徴的な、脳に直接響くような気持ちいい音。

それがいわゆる「ジュリアナ」音楽…エレクトロニック・ダンスミュージックとの出会いだったのでした。

テクノと私(2):「ジュリアナ」が好き につづきます)

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