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ペンと紙で脳のパワーを最大限に使う

原文:Pen and Paper Maximize Your Brain Power – Toshi Iwata – Medium

多くの人は、ペンと紙は常には持ち歩かないが、手には常にスマートフォンかカバンの中にはPCかタブレットを持っているはずだ。メモを取ることは常にそれらデジタル機器のどれかであって、ペンと紙を使うことはまずない。

会議中、あるいは人のプレゼンテーションを聞いている時、あなたはノートパソコンでテキスト入力によってメモを取っている。突然あなたは、図を描きたくなった。なぜなら人が図やスライドを見せて説明しているから。スタイラスペンで絵を描くこともできるだろうし、携帯電話で図の写真を撮り、後で写真をメモに挿入することもできる。しかし、タイピングから瞬時に絵を描きたり、写真に切り替えたりするのに十分なスキルがないと、それらの作業にとらわれてしまい、話し手の言葉を聞き逃す可能性がある。

もう1つのシナリオは、問題を解決するため、または重要なプレゼンテーションの準備をするためなど、一人で深く考えるときだ。多くの人がPCのスクリーン上で、直接PowerPointを使って深く考えているのをよく目撃する。 「PowerPointのアウトラインモードで箇条書きでアイデアを書き出すことから始められる。そして後でこれをプレゼンテーションに使用することができる」とあなたは言うかもしれない。しかしそれでも脳のパワーは制限される。最近自分が深く考えた時のことを思い出してほしい。その考えていた時間の中のどこかの時点で、フォントサイズや色、ボックスまたはサークルなど、PCを使う作業が、本来あなたが考える必要のあることを邪魔していたことはなかっただろうか?

ペンと紙の利点

紙にメモを取ることであなたはフレキシビリティーを得ることになる。字や文を書く、ダイアグラムを描く、一旦書いたものを線で消す、重要な点を丸で囲む、概念図を素早く描くなどだ。あなたはツール自体について考えることなく、内容に集中することができる。これはミーティングでも大きな会議でも非常に重要だ。

ペンと紙は我々に「どう考えるか」という自由を与える。頭に突然浮かんだ一見クレイジーなアイデアにジャンプして、それをページの隅に書き留めることもできるし、様々な視点で物事を考え、多くの紙にそれらを書き出し、複数のアイデアを同時に行ったり来たりもできる。これらはアイデアがまだまとまっていない漠然としたブレインストーミングの初期段階に特徴的なことだ。プレゼンテーションのストーリーやブレインストーミングの結論を整理し、思考をまとめる時に手がかりとなるものだ。

ペンで紙にメモを取ることのさらに大きな利点は、全てのアイデアの断片を一望するために、机の上に何枚でもアイデアを書いた紙を広げることができることだ。違う視点で考えるために、これらの紙を並び替えてもいいし、違う紙の上の項目同士を線でつなぐこともできる。ペンと紙だからこれらの作業が瞬時にできるのだ。

今日のデジタル機器は、こういった作業には全く融通が利かない。複雑すぎて、スピードも遅すぎ、そしてスペースも限られている。大きな机の上の紙のように、複数のページを画面上で自由にシャッフルできるであろうか。複数のページ間でアイデア同士を1ステップで線で繋ぐことはできるであろうか。限られた画面上でドラッグやレイアウトに煩わされることなく、WordとPowerPointの複数のページを一目で簡単に確認できるだろうか。A4サイズの紙4枚の方が27インチiMacのスクリーンより大きいことに気づいているだろうか。

人間とペンと紙

私たちは2〜3歳の時から字を書き絵を描いてきた。ペンは基本的に変わっていないし、紙も同じ紙のままだ。私たちは皆これらの道具に精通している。これらのツールを使うのは簡単だ。ペンと紙を使うことによってあなたの思考が妨げられることはない。頭に浮かんだ言葉や図を自由に書き留めてることができる。バラバラでも図と文字を書くことから始められる。2枚目の紙を使って、1枚目の紙に書き出された考えを整理することができる。そして3枚目でさらにシャープにすることができる。

ペンと紙は、それ自体が思考の妨げにならないため、内容の理解に集中することができる。「理解する」とは、あなたが聞いたことを自分の言葉に直して解釈することだ。それはあなた自身のために抽象化する作業である。したがって、聴きながら一生懸命考える必要がある。メモを取るだけではない。あなたのメモはあなたが重要なことを記憶し、後で思い出すためのものだ。他人が読んで理解するためのものではない。

私の観察では、私が特に非常に創造的だと感心する人たちは、議論している時、ノートにペンで落書きと言ってもいいようなメモを取る。そのような人々との議論は非常に白熱する。ホワイトボード上で多くのアイデアを議論し、落書きや図を描くことになる。人間は熟考を通して理解する。話すときに自分の言葉を自分の耳で聞く、あるいは書いたものを読むことによって、自分の考えを客観的に評価できるようになる。ホワイトボードで一緒に落書きすることは、そこにいる人全ての考えを客観的に見直すことに役立つ。創造的で意味のある会話には、事前準備したPowerPointは必要ない。

実を言うと、私は過去に数回、異なるデジタルツールを使ってメモをとるようにしたことがある。最後に試したのはMicrosoft OneNoteだった。結局私はそれらやめて、A5サイズのノートとペンに戻った。ラップトップのOneNoteはとてもシンプルだが、タイトルや見出し、箇条書き、番号付きリスト、インデントなどの書式を設定することに意識を奪われてしまう。紙の上だと、これらは瞬時に、しかも無意識にできる。ノートへのメモはそれこそ落書きのようで汚い。しかしそれは私自身がわかればいいものなのだ。私の周りには、デジタルメモをやってみたが、結局ペンと紙に戻り、良い結果を得ている人が何人もいる。

私が本気で問題解決に臨む時は、ラップトップを閉じて机の奥に押しやる。続く1〜2時間で私の机は多くの落書きや手描きのグラフ、矛盾の図、因果関係図、計算、手描きの化学反応、あるいは物理学や工学の図などを含む数枚の紙で覆われている。このやり方こそが、新しい研究の方向性や、より良い解決策や結論を導くのに重要なのだ。

以上、もしまだ疑いがあるならば、数日間試してみることをお勧めする。 ラップトップを離れ、会話に深く関わる必要があるとき、または深く考える必要があるときは、ペンと紙だけを持って試してみてはどうだろうか。

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